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団長の話
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会長と社長との駆け引きが闇の中で繰り返されている。
周平の知らないところで、周平は療養休暇として辞令が出た。加瀬が代行課長となったらしい。会社内のことだが、国崎から連絡があった。加瀬からは何の報告もない。マキに連絡を入れると、もう少し詳しい情報をくれた。鈴木取締役はしばらく、九州の福岡支店長として赴任が決まったとのこと。マキ曰く、会長の譲歩ということらしい。よく分からない。それから、相談役が役員会議に出席することになったらしい。
「何か浮かない顔をしてるね?」
今日は行くともなく、ホワイトドームに出勤した。ケイ君にはメールを入れたが返事がない。
「この間は団長が飲ませたね?」
「うん、記憶がないわね。それよりあんた達できたの?」
「誰と?」
「ケイ君よ。あの子は女よ」
いつか誰かからそんなセリフを聞いた覚えがある。
「団長が男だと聞いたことがあるがね」
「そういう噂があるようね。昼からビールにする?」
返事も待たずに、小瓶をポンと出す。
「狐はM商事の社員だってね?」
「ケイ君が喋った?」
「薬で吐かせたよ」
「ずいぶん怖いことだね」
「昔はこれをよく使った」
真顔で言う。
「あのサングラスの男、何者?」
「大学の友達だったっていうけど、実は覚えてないのよ。ただ、きちっと借用書があって、彼から大金を借りているの」
「覚えてないの?」
「霧にかかってるわ。でも、借用書の筆跡は間違いなく私で、病院で支払いをしたのも彼。だから、あの商売で返している」
初めて団長とこんなに長い話をしたように思った。
周平の知らないところで、周平は療養休暇として辞令が出た。加瀬が代行課長となったらしい。会社内のことだが、国崎から連絡があった。加瀬からは何の報告もない。マキに連絡を入れると、もう少し詳しい情報をくれた。鈴木取締役はしばらく、九州の福岡支店長として赴任が決まったとのこと。マキ曰く、会長の譲歩ということらしい。よく分からない。それから、相談役が役員会議に出席することになったらしい。
「何か浮かない顔をしてるね?」
今日は行くともなく、ホワイトドームに出勤した。ケイ君にはメールを入れたが返事がない。
「この間は団長が飲ませたね?」
「うん、記憶がないわね。それよりあんた達できたの?」
「誰と?」
「ケイ君よ。あの子は女よ」
いつか誰かからそんなセリフを聞いた覚えがある。
「団長が男だと聞いたことがあるがね」
「そういう噂があるようね。昼からビールにする?」
返事も待たずに、小瓶をポンと出す。
「狐はM商事の社員だってね?」
「ケイ君が喋った?」
「薬で吐かせたよ」
「ずいぶん怖いことだね」
「昔はこれをよく使った」
真顔で言う。
「あのサングラスの男、何者?」
「大学の友達だったっていうけど、実は覚えてないのよ。ただ、きちっと借用書があって、彼から大金を借りているの」
「覚えてないの?」
「霧にかかってるわ。でも、借用書の筆跡は間違いなく私で、病院で支払いをしたのも彼。だから、あの商売で返している」
初めて団長とこんなに長い話をしたように思った。
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