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癒着
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「おやっさん元気ですか?」
ミナミの歌舞伎座の裏にあるいかがわしいスナックで落ち合った。彼が藤尾の会社の大阪支店長である。とは言っても昨年に事務所を出して社員は2名ということだ。お釜バーということだが、ミーとは別世界のようだ。
「赤坂をやってたらしいね?」
「そうですわ。もともと大阪のグループの不動産会社にいたんですが、天皇と喧嘩をしてしまって藤尾さんに拾ってもらったんです」
30歳前くらいで目は荒んでいない。
「小林さんと大阪支社長とは?」
「まだ浅いですね」
「では大阪支社長と兵庫の代議士は?」
「そりゃあ太いパイプです。でも実際はダミーの社長がほとんど中継してますわ。毎日ダミーの社長が自分の会社のように支社長室の応接に座り込んでいますよ。若い奴らを飲みに連れていきますわ。金はふんだんに持っていますよ」
「支社長は?」
「飲むときは会社であとは一人で出掛けます。用地の取得は彼の判がないとできない。ほとんど最近は支社長の肝入りばかりです。こちらもグループなのになかなか決裁しないんですわ。どうも藤尾さんがバックを拒んだのが原因ですね」
体質は小林とそっくりだ。
「京都の今回の案件はご存知ですか?」
「底地ですね。さすがに批判が多く、ファイナンスの大阪支店では本店で否決になったと聞いています。それが小林社長が支社長と会って金が出たようです」
周平はもう1軒という誘いを断って、すっかり真っ暗になった道をふらふら通天閣の灯りに向かって歩いている自分に驚いている。昔この道をダンボールいっぱい詰めてリヤカーを何度も走らせた。
ミナミの歌舞伎座の裏にあるいかがわしいスナックで落ち合った。彼が藤尾の会社の大阪支店長である。とは言っても昨年に事務所を出して社員は2名ということだ。お釜バーということだが、ミーとは別世界のようだ。
「赤坂をやってたらしいね?」
「そうですわ。もともと大阪のグループの不動産会社にいたんですが、天皇と喧嘩をしてしまって藤尾さんに拾ってもらったんです」
30歳前くらいで目は荒んでいない。
「小林さんと大阪支社長とは?」
「まだ浅いですね」
「では大阪支社長と兵庫の代議士は?」
「そりゃあ太いパイプです。でも実際はダミーの社長がほとんど中継してますわ。毎日ダミーの社長が自分の会社のように支社長室の応接に座り込んでいますよ。若い奴らを飲みに連れていきますわ。金はふんだんに持っていますよ」
「支社長は?」
「飲むときは会社であとは一人で出掛けます。用地の取得は彼の判がないとできない。ほとんど最近は支社長の肝入りばかりです。こちらもグループなのになかなか決裁しないんですわ。どうも藤尾さんがバックを拒んだのが原因ですね」
体質は小林とそっくりだ。
「京都の今回の案件はご存知ですか?」
「底地ですね。さすがに批判が多く、ファイナンスの大阪支店では本店で否決になったと聞いています。それが小林社長が支社長と会って金が出たようです」
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