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ツキ
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夜に轟から携帯が入る。ちょうどNビルから出る時だ。
「小林を着けて来たら、銀座のクラブで例の許と会っている。資金は頼みますよ」
「領収書もな」
笑いながら携帯を切ったところに旗手社長が立っている。後ろに普段着に着替えたミーが遅れて出てくる。
「たまに3人で飲まないかね?」
「邪魔じゃないですか?」
「そう疑うなよ」
と笑いながら言われて、ミーの馴染のスナックにぶらぶら歩いていく。
「君はビールの小瓶らしいな」
どうもいろいろとミーから聞いているようだ。それにこの店にも時々二人で来ているようで、マスターは黙ってミーと同じブランディを注いでいる。
「小林は動き出したか?」
「はい。今許と会っています」
「君はミーのことで気を使っていると誤解しているようだが、ミーだけでここまで我慢しないさ」
ミーがふくれっ面になっている。
「実はな、この会社がここまで伸びたきっかけは本業の人材派遣の許可申請からだ。今の代議士と知り合う前にな、別の代議士のつなぎ役が小林だった。詳しいことは聞いていないが、かなり危ない橋を小林は渡っている。それで彼にこの会社が大きくなったらかなりのポジションを任せると約束した」
ミーが初めて聞いたという顔をしている。
「小林は欲の塊だ。どうも黒崎にうまく利用されたようだな。でももう限界だ」
「でもここまで踏み込まれたら」
「そうだ。打てる手は打つが後はツキだけだ」
「Yテレビの社長は手ごわいですよ」
「彼らも自分らの権益を新参者に取られたくない。ここは想定内の大きな山だ。でもこの山を越えなけりゃ新しい時代は来ない。今までのベンチャーはすべてここで食われてしまった」
「小林を着けて来たら、銀座のクラブで例の許と会っている。資金は頼みますよ」
「領収書もな」
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「たまに3人で飲まないかね?」
「邪魔じゃないですか?」
「そう疑うなよ」
と笑いながら言われて、ミーの馴染のスナックにぶらぶら歩いていく。
「君はビールの小瓶らしいな」
どうもいろいろとミーから聞いているようだ。それにこの店にも時々二人で来ているようで、マスターは黙ってミーと同じブランディを注いでいる。
「小林は動き出したか?」
「はい。今許と会っています」
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「でもここまで踏み込まれたら」
「そうだ。打てる手は打つが後はツキだけだ」
「Yテレビの社長は手ごわいですよ」
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