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植民地2

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 晩さん会が行われた後緊急に茉緒は王に呼ばれた。王の部屋の円卓にリーとゴラクと官僚が3人座っている。何度か内乱があって今は過半数が王の与党になっているが、まだ周辺の部族がまとめ切れていない。
「東インド会社は今の商館の横に軍の兵舎を置くと伝えてきている」
「承認を求めてきているのではないのですか?」
「いや、決定事項として伝えてきた」
 サンベット王の顔がに苦虫を潰したようになっている。
「あの横は商会の交流館では?」
「立ち退きを命じた」
「軍の規模は?」
 リーが書類を見て答える。
「今は少佐が百の兵を入れていますが、今後さらに拡大するものと思えます。東アジアへの中継地として考えているようです。軍船がここで食糧燃料の補給をします。多い時で千を超える兵がアユタヤに入ってきます」
「植民地化の流れだろう」
 ゴラクが答える。
「どうする?」
「戦力では排除は無理でしょう。まず王宮に常時千の近衛軍を配置します。私は下忍を軍と商館を常時見張らせます」
 日が暮れて王宮を出る。九郎が馬で迎えに来ている。
「ここに来るまで臨時の宿泊所となっている料亭に潜ってきました。ここには軍の少佐が入っていますが、ここにもう一人正体不明の人物がいました」
「正体不明?」
「少佐の上手に座っていました。どうも義足のような」








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