アユタヤ＊＊＊続復讐の芽＊＊＊

植民地4

　凜に声をかけて茉緒は女中として料亭に入る。他の女中と夕食の膳を5人分運ぶ。茉緒が化けると下忍も分からないようだ。声を出して部屋を開ける。例の５人がもう酒を飲んでいる。それぞれが女中の尻を触ったりしている。後ろから女将の凜が入ってきて、
「その用をする女は別に呼びますから」
と声をかけて入ってくる。女中は膳を並べると部屋を出ていく。茉緒はそのまま黒装束に変えて天井に潜る。ちょうど廊下の襖があいて九郎の言っていた義足の男が入ってくる。サングラスに長い髪の男だ。
「予定通り南蛮船に爆薬を仕掛けろ。明日の明け方にやる」
　茉緒は天井裏から屋根に顔を出して合図の笛を鳴らす。天井裏に戻るともうサングラスの男は消えている。あの男に何か感じるところがあった。茉緒は天井裏を料亭内の部屋を覗きまわる。4つ目の部屋に軍服を着た少佐が座っている。そこにあの男が入ってくる。
　男がサングラスを取った。統括部長だ。目の上に火傷の跡が残っている。生きていたのだ。
「軍艦はいつ出発する？」
「明日の朝には」
「艦長に伝えて置いたか？」
「はい。あの岬の館の最上階に大砲を撃ち込めと」
「この国のボスはあの茉緒だ。彼奴を消さないとこの国は取れない。軍は朝一番館に行き、茉緒の手下を全員引っ張れ。容疑は統括部長の暗殺だ分かったな」
　とんでもない作戦だ。茉緒は天井裏を出ると九郎たちを集め半島に向かって走る。下忍は花火をを上げすべての下忍を集結させる。