アユタヤ***続復讐の芽***

夢人

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嵐9

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 明け方の空に法螺貝と騎馬の音が地震のように響く。一斉に砦の兵が約束通り飛び出してきた。まだ馬にも乗っていない敵兵が慌てふためく。3倍もの包囲軍に飛び出してくることは考えられない。鉄砲の音が一斉に鳴り響く。ようやく丘の上でも兵が騒ぎ出す。茉緒は下忍とともに大将の陣幕近くに夜から張り付いている。
 丘の上から伝令の騎馬が30騎駆け出していく。陣幕に武将が鎧を着けて集まってくる。丘から見ると正面を突き破って砦軍が攻め込んでいる。完全に正面を取り囲んでいた騎馬隊は蹴散らされている。だが左右の騎馬隊が体勢を立て直している。丘から3百の騎馬が正面の坂を駆け下りた。
 この動きが僅か半刻で起こっている。やはり3分の1の勢力での奇襲はここが限界だ。砦から法螺貝がなって逆流のように騎馬が門に吸い込まれていく。この鮮やかな撤退も予想外だろう。茉緒たちは鉄砲を定められた武将に照準を合わせている。茉緒と下忍2人が大将を狙っている。
 同時に鉄砲が一斉に火を噴く。5人ほどの武将が床几から転げ落ちる。その中に大将もいる。だが確認する余裕はない。そのまま体を反対に向けると草むらの中を走り出している。この時が一番危ない。ここで撃ち取られてはこの奇襲も価値がなくなる。予想通り草むらに騎馬が駈け下りてきている。
 この時西側から砂煙が上がった。空に向けて一斉に銃撃が轟音のように響く。中央にアユタヤの旗が見える。さすがに茉緒も首を傾げて見ている。後ろから来た騎馬が戻っていく。その横にデリーの旗とカトマンズの旗が並んでいる。1刻ほどの対峙があったが丘から旗が消えた。
「どうした?」
「アユタヤからの伝令が来たところハル王女がこの情報を入れてデリーに連合軍の要請をしてくれたのです」
 ヒデが説明する。それが終わらないうちにハル王女が抱き付いてくる。見た目には女同士だから周りには不思議に映らない。だがヒデは俯いている。ヒデが千、ハル王女が千、デリーが千の連合軍だ。どうもこの砦の城主がデリーにも応援を依頼していたようだ。
「後で嫌な報告をしないと」
とヒデが耳元で囁く











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