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拮抗3

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 ゴラクと話をして商人隊長をビルマに送ることになった。これには宗久が豊臣の財宝を持って同行をした。リーはサンペット王子と王様の幽閉されている塔を調査して、そのまま食事担当の女官になりすましている。どうも王子の話ではチャクラバットが腹心をビルマに密かに送ったと言う。
 予想通り明け方に和寇の襲撃が始まった。両端に置いていた2隻の南蛮船に茉緒たちが乗り込む。港には新しい大砲を3艇据えつけている。
「どうだ数は?」
「50隻はいますね。囲い込むように後ろに回ります」
 船長がもう1隻に合図を送る。凜は大半の下忍の鉄砲隊を連れて薪を積んだ街道を見張る。これも予想通り都の門が開かれて親衛隊が出てくる。ヒデの子供隊が薪を積み上げて火をつける。
「ここはこらえないとな」
 大きく回り込むと大砲を一斉に撃ち始める。港からも大砲が撃たれる。さすがに数が多く港に和寇が乗り上げる。建物の中に残されていた鉄砲隊の射撃が起こる。
「港に突き進め!」
 茉緒の船は5隻ほどを沈めてリスクはあるが和寇の中に突き進む。何発かの砲撃を受ける。だが港に着こうとしている和寇を3隻沈める。もう1隻の南蛮船も港に突き進む。屋敷の向こう側から黒い煙が上がっている。凜は藤林の得意な投げ火薬玉を親衛隊に向けて投げている。もう戦いが始まって1刻半が経つ。
 和寇の船は半分ほどになっている。海に浮かんだ仲間を救い上げると撤退を始める。茉緒は追うことをしないで河口に突き進む。親衛隊が燃え上る薪を崩している。
「よし撃ち込め!」
 親衛隊に向けて砲弾を飛ばす。親衛隊が引き揚げていく。凜たちが建物から出てくる。よし守り切った!





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