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冷戦7

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 凜は豪を自分の屋敷に迎え入れた。茉緒は豪の代わりに護衛隊を率いることになった。とくにビルマ軍の盗賊騎馬隊にどう対処するかが課題だ。それと和寇の抜け荷をどう防ぐかだ。それで盗賊騎馬隊の通り道2か所に護衛部隊を百人と下忍を10人張り付けた。
「豪は大丈夫ですか?」
 酒場にサンベット王子がやってくる。後ろにリーが付いている。
「しばらく動けないが凜とうまくやっているから天国だろうな」
 王子は最近は王様の代わりに会議に出ている。
「親衛隊に手を入れているんだ。チャクラバットが総監だが直接軍を把握してるわけではないんだ。3将軍が5百の兵を束ねている。その一人と最近はいろいろ話をしている。彼は一番勇敢な将軍だよ」
「チャクラバットはどうしている?」
「ここ10日ほど王宮には出てきていない」
「それで私が屋敷に潜り込んだ」
 リーが口を挟む。
「チャクラバットはどうもビルマに行ったようだ。和寇の船を乗り継いで陸からビルマに入ったようだ。ゴラクさんにも確認してもらったけど、大将軍と追放された兄王と会っていたようよ」
「思ったより冷戦は短いかもね。だが大将軍は今までのように表からの侵攻ではなくて裏の戦いになる」
「裏の戦い?」
「そのためには今回の戦いが初戦になる」
 恐らくあの裏街道からのビルマが侵入してくる。それをどう防ぐかだ。
「これはまだ考えているところだけど、あの国境に抜け人村の基地を作るよ」
 下忍を今配置して調べている。

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