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大将軍7

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 ビルマの都はアユタヤよりずいぶん広い。商人に化けてリーに連れられて都に入る。大通りの正面が王宮だ。その周りに商店が続いている。その中でも立派な建物にリーが入る。
「久しぶりだな茉緒」
 宗久は前より白髪が目立つ。
「太閤の財宝が生かされるときだ。ここで2倍にも増やしたわ」
「さすが商売の腕は落ちてませんね?ところで今回の訪問はうまくいくのでしょうか?」
「根回しをしているがまだ内緒だがビルマは近々戦争を始める。周辺の部族がビルマから離れているのだ。だから大将軍は経済的に豊かなアユタヤを併合しようとしている。だがそれより先に周辺部族を抱き込んでいる国が攻め込んできているのさ。ここも日本の戦国時代に似ている」
「どこも大変ですね」
「それで内監を通じて王にアユタヤの商人会からの資金の提供を申し入れている。この金はあの財宝から出す。だが条件は出している。周辺部族にも商いを認めさせる。実は敵国まで荷を送ろうと考えている。茉緒の南蛮船に負けない大航海をするのだ。シルクロードに出るのだ」
「楽しみですね?」
「ああ、ここに来てまた夢が見れるさ」
「私は?」
「大将軍の動きを見張っていてほしいのだ。彼はこの際弟を監禁して兄をアユタヤに戻そうとしている。これは王の承認がなくても裏で強引に動く恐れがある」
「また昔のように忍者ですね」







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