復讐の芽***藤林長門守***

夢人

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魔王1

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 慎吾に手紙を渡し急ぎ足で抜け忍村に戻るとすぐに源爺の母屋に入った。片腕の年増の女忍が源爺の世話をしている。どうも夫婦の関係になったようだ。
「昨夜この村の麓の豪族が服部に襲われた。薬売りの話ではここ3か月で11の豪族が消えている」
「いずれここにも来ますね」
 頭の源爺は地図を広げて説明する。これは若い薬売りが集めた情報で作られている。
「服部は伊賀の半分を収めたことになる。だが問題もあるんだよ」
「それは?」
「百地や藤林と違ってめいめいが個人働きをしてきたから、これと言った後ろ盾がない。だから案外資金的には貧しいのだよ。畿内も統一が進んでいる。お抱えの忍軍以外を使うのは危険だと思ってきている。幸せなことに茉緒の活躍で抜け忍村のここは豊かだ」
「これは正式に言ってなかったのですが、藤林を乗っ取ることを考えています」
「そうだろうなと思っていたさ。それで頭を交代するわ」
「急がなくても?」
「茉緒はすでに魔王とまで噂されている。儂は留守居役さなあ」
「おめでとうございます」
 片腕の女忍が頭を下げる。
「お二人は今まで通り母屋で暮らしてください。まだまだすることが残っています。明日5人出せますか?」
「堺ですね。弾正はどうなのですか?」
「しばらく付いていこうと思っています」



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