復讐の芽***藤林長門守***

激動4

　秀吉の依頼で堺からの本願寺に入る抜け道の探索を依頼された。それ以降紅屋に下忍を張りつかせている。やはり10日後宗久の蔵から出た鉄砲と火薬が明け方山の方に向かう。茉緒は10人の鉄砲隊を連れてその後を追う。堺にいる秀吉にも繋ぎを入れておいた。
　本願寺に行くにはかなりの迂回をするようだ。人夫は30人ほどで浪人が10人警備している。山に入って尾根道から下り本願寺に入るようだ。その際信長の包囲網を通過せざるを得ない。今から1刻半後のその地点を秀吉に伝える。
「何より荷台の車を打つのだ」
　先回りして鉄砲隊を配置する。だがそれより先に反対側から襲撃が始まりバタバタと信長の関所の陣営の兵が倒れる。本願寺も部隊を出してきたようだ。茉緒は予定通り荷台を狙わせた。
「鉄砲は10艇、忍者が動いています」
「荷台を壊せば引き上げる」
　荷台がなければ運び込むことはできないだろう。本願寺の部隊の鉄砲がこちらに向けられる。荷台は見事に壊されている。降りてきた忍者は20人ほどだ。先頭にいる忍者が体型が慎吾に似ている。
「忍者を打ちますか?」
「いい引き上げる」
　ちょうどその時一斉に100艇ほどの鉄砲が火を噴いた。秀吉の軍が間に合ったようだ。人夫達も逃げ出していない。本願寺も部隊も忍者も姿を消した。秀吉は5百ほどの兵を出したようだ。これで堺からの裏道はなくなった。