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大返し6
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高松城の城主の切腹の日、すでに秀吉の先方隊が走り出していた。走り抜ける街道の手配をして回るようだ。黒田官兵衛は兵を2つに分け先方に入れ情報を探ることにし、自らは切腹に立ち合った。毛利に知られれば光秀の予想通りに挟み撃ちになる可能性があった。だがもちろんまだ中国にいる秀吉は光秀の計算の外だ。
朱雀は秀吉の側で護衛に付いている。まさかこの段階で黒田官兵衛に暗殺されることはない。朱雀は蠍を探している。そして遂に小姓姿の蠍を見つけた。手を出すことはできない。だがいつも見ていなければ不安だ。まだ傷の状態がよくないのか動きが悪い。
撤退が始まり秀吉が中堅に付き黒田官兵衛は殿にいる。秀吉はすべての財産を大判振る舞いしこの大返しに賭けたようだ。ほとんどの兵はもうへとへとで姫路すら危ういと見られた。だが朱雀にとってはこの走りはのんびりしたものだ。夜になると秀吉の陣を出て殿の黒田官兵衛の陣に潜る。
官兵衛は輿に乗っての移動だからやはり秀吉から遅れている。先方隊から入る情報を紙に落としている。噂に過ぎないものもすべて集めている。この頃には光秀の謀反が伝わってきている。だが不思議に毛利が追ってこなかった。これはツキが秀吉にあるのだろう。
「光秀が京を制圧し安土を燃やしたそうだな」
重臣の横に腰元として蠍がいる。
「早々詔が出たそうです。だがまだ信長の遺骸が見つからず探しているそうです」
一条兼良が動いたのだろう。光秀が天下を取れば賀茂家はない。揚羽はどうしているのだろう。きっと光秀を見張っているに違いない。小猿は戻れたのだろうか。
「光秀は地下道の在りかを知らなかったのか?」
「はい。恐らく出口の鉄の扉を閉めたので焼け死んだと思われます」
蠍が口を添えた。
「でかした」
やはり官兵衛の指示だったのだ。それはすでに秀吉には伝えてある。重臣が下がると横たわった官兵衛の着物を脱がせ体を拭く。そのうちに官兵衛の上に跨る。揚羽も秀吉にこういうことをしてきたのだろう。
朱雀は秀吉の側で護衛に付いている。まさかこの段階で黒田官兵衛に暗殺されることはない。朱雀は蠍を探している。そして遂に小姓姿の蠍を見つけた。手を出すことはできない。だがいつも見ていなければ不安だ。まだ傷の状態がよくないのか動きが悪い。
撤退が始まり秀吉が中堅に付き黒田官兵衛は殿にいる。秀吉はすべての財産を大判振る舞いしこの大返しに賭けたようだ。ほとんどの兵はもうへとへとで姫路すら危ういと見られた。だが朱雀にとってはこの走りはのんびりしたものだ。夜になると秀吉の陣を出て殿の黒田官兵衛の陣に潜る。
官兵衛は輿に乗っての移動だからやはり秀吉から遅れている。先方隊から入る情報を紙に落としている。噂に過ぎないものもすべて集めている。この頃には光秀の謀反が伝わってきている。だが不思議に毛利が追ってこなかった。これはツキが秀吉にあるのだろう。
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やはり官兵衛の指示だったのだ。それはすでに秀吉には伝えてある。重臣が下がると横たわった官兵衛の着物を脱がせ体を拭く。そのうちに官兵衛の上に跨る。揚羽も秀吉にこういうことをしてきたのだろう。
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日月神示は、その難解さから、書記した天明自身も当初は、ほとんど読むことが出来なかったが、仲間の神典研究家や霊能者達の協力などで少しずつ解読が進み、天明亡き後も妻である岡本三典(1917年〈大正6年〉11月9日 ~2009年〈平成21年〉6月23日)の努力により、現在では一部を除きかなりの部分が解読されたと言われているます。しかし、一方では神示の中に「この筆示は8通りに読めるのであるぞ」と書かれていることもあり、解読法の一つに成功したという認識が関係者の間では一般的です。
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なお、原文を解読して漢字仮名交じり文に書き直されたものは、特に「ひふみ神示」または「一二三神示」と呼ばれています。
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