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夢人

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天海の陰謀9

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 天海に言われたのか家老は師範代に柳生の村田与三と言う若者を入れた。彼は下忍を数人連れて伊賀上野城に入った。 狗は道場では練習することはない。まだ若いが剣筋が厳しい。真剣で立ち合うと難敵になる。宗矩と天海の間で綱引きがあるのだろう。今までのように服部一点張りではなさそうだ。
 この村田与三のことも文に入れて先に下忍を京之助の元に走らせた。その返事が狐の元にいる狗にもたらされた。狐は薬売りを一手に束ねている。
 すでに姫路を出て岡山に向かったと言う。姫路では修験者一団に襲われたと書いてある。だが京之助と狼では負けることはないだろう。すでに噂が振りまかれており幕府の耳にも入っているようだ。村田与三については狼が詳しい。兄弟子として10年ほど一緒だったが剣腕はとくに暗殺剣が凄く、宗矩が今は京之助の代わりとして使っているようだ。
「新しい隠れ家はどうだ?」
「しばらく服部の姿はないそうだわ。次の逃げ道としてそろりはあの狗が行った小さな港を考えているようだわ」
「そろりは逃げることばかりだな?」
「でも徳川の世だからそれくらい用心してもいいくらいよ。それで資金の依頼があったの」
「何をする?」
「あそこの港にあった材木の倉庫があったの覚えている?そろりが調べたら堺の問屋だったけど潰れたようで残った番頭が運営してきたみたい。それを買い取る交渉をしている。廻船が2隻あるわ」
「海賊にでもなるか?」
「高虎殿もいつまで徳川で生き残れるかしら?」
 確かに今の外様の生き残りは厳しい。すでに天海の手で有力外様大名は消されている。
「家老を引き込めないか?」
「女に目がないようよ。昔みたいに私がやろうか?」
「駄目だ」
「冗談よ。すでにくノ一を入れた」





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