けもの

夢人

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天海の子1

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 家康の死が公表された。高虎は江戸に登り葬儀を済ませて伊賀に戻った。ムササビは鼠と江戸に登らせてさらに天海に張り付かせた。戻るとすぐに高虎に呼ばれた。
「これからどうなる?」
「いえ相変わらず天海を見ていることです。秀忠はただの繋ぎです」
「次は江の可愛がっている評判のいい三男忠長だろう?」
「いえ、二男の竹千代です。竹千代は天海の子です」
「まさか、あの年で子は作れんだろう?」
「どうしたのか分かりませんが胡蝶が産んだ子のようです。だから高虎殿は竹千代を押すのです」
 この辺りはよく分からないようだ。だが高虎は生き残る力が強い。
 部屋を出ると蝙蝠からの合図があった。それで天井裏に上がった。
「どうした?」
「村田与三が伊賀上野城の天井裏の服部の忍者を5人切りました。続いて服部屋のムササビの下忍を3人切っています」
「なぜ動き出した?」
「お頭を誘き出しています。私が」
「止めておけ。勝てない。狐は?」
「もう半月港に行かれたと?」
 そうか。遂に買い取るのだ。
「それと繋ぎがあり京之助殿は今堺まで戻っておられます」
 その時黒い影が上がってきた。
「蝙蝠は下がっておれ」
 凄い刃風が来て狗は飛び上がって手裏剣を投げた。この隙に蝙蝠は消えている。
「狗か?」
「・・・」
 村田与三だ。京之助とは正反対の剣だ。京之助は柔らかく与三は荒い。狗はまっしぐらに突進をする。これに驚いて剣を振り回した。だが与三が切りつけたのは黒装束だけだった。





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