けもの

夢人

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けもの吠える6

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 渦巻獣道を出て西側から尾根道を走り服部の出没した場所を探す。薬売りが茂みから姿を現す。
「どうしたのだ?」
「渦巻獣道の北側から引き離そうとして動いたのですが、どうも服部は連携していたらしくさらに上にいた服部の別働隊に挟み撃ちを受けたのです」
 狗は薬売りがぶつかったという場所まで走った。2人の下忍の死体があった。深い森で挟み撃ちに会ったようだ。草の踏み倒された方に進んでいく。結果的に隠れ家から引き離したことになるが、全滅させられた恐れがある。5倍か6倍の服部に囲まれたことになる。さらに北に1刻走る。微かに剣の触れ合う音が森の奥から聞こえる。
「鉄砲を構えるのだ」
 ここからはさらに高い山が連なる。服部の死体が10ほど転がっている。鮮やかな切り口だ。これほど剣を使えるものは蝙蝠の部隊にはいない。服部が森を取り囲むように潜んでいるのが感じられる。狗は手前にいる20人ほどの服部に照準を当てた。一斉射撃が始まった。
 鉄砲を捨てると剣を抜く。これ以上撃つと味方を撃ちかねない。切り込むと蝙蝠が3人を相手に戦っている。その1人を切って背を合わせる。
「4人を失いました」
「仕方がない。ここに誰がいる?」
「京之助殿が山から現れたのです」
 そうだ。京之助がこの山に籠っていたのだ。大きな滝があり側の小屋に籠っていたのだ。狗はさらに奥に進む。京之助を取り囲んで服部が7人いる。京之助の動きがさらに滑らかになっている。すべるように囲みに入って2人を切り、振り返りざまにさらに2人倒す。もう3人が森の中に消えた。
「ついに最後の戦いか?」
「はい」
「一緒に戦う」





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