けもの

夢人

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けもの吠える10

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 すでに狗の手勢は40人を割っている。西側から攻めて来た服部が仕掛け爆弾で半数を失った。だが修験者のと戦いでは全滅もあり得る。空からの胡蝶の攻撃も何度も繰り返されている。だが攻めてくる側も渦巻獣道ではなかなか前には進めない。それに仕掛け爆弾の力も大きい。
「母屋に集まるのよ」
 狐の声がする。だが修験者は次の百も加わっていてその圧力が凄い。狗も京之助ももう体中が傷だらけだ。互いに20人ほど切った。
「いくら戻ってきた?」
「25人よ」
 床に穴が掘ってある。これはすでに長老が年寄りを使って半年もかかって掘っていたのだ。だが狐以外には漏らされていない。
「どこまで行く?」
「北の沢に出る。だがこの辺りには修験者がいるかもしれない。でも走り抜けるしかない。鼠が沢にいる」
 最後に京之助が戻っていて狐が床を塞ぐ。服部と修験者が母屋を取り囲んでいる。胡蝶が空から舞い降り、半蔵が茂みから出てきている。両者は争うことがない。半蔵は修験者が天海の指示で動いていることを知っている。取り囲んだがすぐに踏み込む危険を冒さない。
 既に母屋の周りに3百ほどが取り囲んでいる。
「やはり飛びこんでこない」
 狐が導火線に火をつける。
「行くぞ危ない」
「ぎりぎりを見て火をつけたの。先に母屋の周りに仕掛けた爆薬が弾ける。続いて母屋が爆発する」
 狐が坑道を走り出す。1発が爆発して坑道から夥しい土が落ちてくる。
「すべての火薬を使った」
 次の瞬間さらに大きな爆発が起こった。坑道が奥から崩れていく。
「沢の周辺に修験者が散らばっています」
 鼠が伝える。
「鼠は走れるか?」
「こんな怪我大したことありません」
「狐、私と鼠が走り出した後尾根に出て北に走るのだ」
 狗と鼠の足ではないと囮にはならない。








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