9 / 45
陥穽9
しおりを挟む
いつ寝たのかもわからない。何時もの不眠症だがどうもこの部屋は居酒屋の部屋ではない。古臭い木の香りがするが不快ではない。どちらかというと深い森の香りだ。この机は見たことがあるなと思う。でもこれは夢だ。障子から朝陽が漏れてきている。天井に光が踊っている。
短い髪の女性が部屋に入ってきて椅子に座る。誰だ。
「聖子か?」
「やっと会いに来てくれたのね?」
振り向いたのは3回生の夏に最後に会った聖子の服装のままだ。ゼミの最後の日の朝に別れたのだ。
「夢なのか?」
「夢とも言えるわ。私が呼んだの。実家に来てくれたでしょ?」
「ああ」
「手紙も何度も読んだわ。4回生の夏に来てくれた時は私はまだイランの獄に繋がれていた。君の手紙を見たのはその2年後よ」
「やはり死んだのか?」
「死んだけど蘇った。でも夢の中で呼び寄せる力はなかった」
「呼び寄せられたのか?」
「ええそうよ。私の思い出の中で君は生きていた」
「だがまだ信じられない」
「もちろん私も驚いている。何度も何度も念じて来たけどこうして呼び寄せるのに10年以上もかかった」
「私はもう歳を取っただろう?」
「いえ昔のまま、ロングの髪よ」
と言って手鏡を向ける。何と私も大学生のままだ。これはどういうことだ。まだ頭が混乱している。まさか私が死の世界に踏み込んでしまったのだろうか。
「ゆっくり説明するわ。君は死んでもいないのよ」
その時障子が開いて聖子の母が疲れた顔で入ってくる。だが彼女も私も見えないようだ。
「母とはどうしても会えないのよ」
「私が会いにきて伝えるよ」
「それは無理よ」
「また会えるか?」
「もちろんよ」
短い髪の女性が部屋に入ってきて椅子に座る。誰だ。
「聖子か?」
「やっと会いに来てくれたのね?」
振り向いたのは3回生の夏に最後に会った聖子の服装のままだ。ゼミの最後の日の朝に別れたのだ。
「夢なのか?」
「夢とも言えるわ。私が呼んだの。実家に来てくれたでしょ?」
「ああ」
「手紙も何度も読んだわ。4回生の夏に来てくれた時は私はまだイランの獄に繋がれていた。君の手紙を見たのはその2年後よ」
「やはり死んだのか?」
「死んだけど蘇った。でも夢の中で呼び寄せる力はなかった」
「呼び寄せられたのか?」
「ええそうよ。私の思い出の中で君は生きていた」
「だがまだ信じられない」
「もちろん私も驚いている。何度も何度も念じて来たけどこうして呼び寄せるのに10年以上もかかった」
「私はもう歳を取っただろう?」
「いえ昔のまま、ロングの髪よ」
と言って手鏡を向ける。何と私も大学生のままだ。これはどういうことだ。まだ頭が混乱している。まさか私が死の世界に踏み込んでしまったのだろうか。
「ゆっくり説明するわ。君は死んでもいないのよ」
その時障子が開いて聖子の母が疲れた顔で入ってくる。だが彼女も私も見えないようだ。
「母とはどうしても会えないのよ」
「私が会いにきて伝えるよ」
「それは無理よ」
「また会えるか?」
「もちろんよ」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる