44 / 45
昇華2
しおりを挟む
元本社社長の社長はほとんど社長室にはいない。彼は島流しのように仕事は全くない。何を思ったのかまるで人事の顧問のように人事部の部屋に住み込んでいる。明子は気にいったのか私の横に倉庫から机を出して来て並べた。社長は人事部員と窓際教室に出入りするし私の投資会社の資料も盗み読みする。さすがに顔が知れているので会社廻りはしていない。
「本社の社長からです」
明子が内線を回してくる。
「忙しそうだね?でも仕事をお願いしたいの」
女社長は顧問が極秘で進めている投資会社については知っている。
「専務に銀行に提出する債権計画を出させたけど全く問題外だったわ。彼は不良債権については全く他人事なのね?」
「ええ、人ごとで怒るばかりですよ。専務は派閥争いしか興味がないのです。でどんな計画が必要なのですか?」
「正統派の10年計画よ。全く困難である実態を銀行にまず知らせたいの」
「それで評価される実績を出すのですね?」
「その通り」
「それならすぐに提出できます」
元々私が審査部長にいた時に債権管理委員会に出したものを加工すればいい」
「そんなに簡単なものかのか?」
横で聞いていた社長が友達のように聞いてくる。彼は熱心にメモを取っている。本来のオーナーの期待した社長の姿だ。だが頭だけで考えてしまうところがある。
「元々前の社長の時に債権会議に初めてこの長期計画を出した時は私はこれを出して非難されたのです。10年もかかってまだ不良債権は半分が精一杯だったのです」
「まさか?」
「それが普通のファイナンスでは当たり前のことです。これは銀行が見ても不満だが認めるものですよ。バブルが弾けて実勢価格がどんどん下がるばかりです」
「そうか」
「だがこの会社には思い切った政策ができる力があります。経営はこの力がなくては生きていけません。今までそれをオーナーが」
「そうだな。私は経営をしていたわけではなかったのだな」
「今度は社長が経営をするのですよ」
「そんなチャンスが来るのかな?」
「必ず」
「本社の社長からです」
明子が内線を回してくる。
「忙しそうだね?でも仕事をお願いしたいの」
女社長は顧問が極秘で進めている投資会社については知っている。
「専務に銀行に提出する債権計画を出させたけど全く問題外だったわ。彼は不良債権については全く他人事なのね?」
「ええ、人ごとで怒るばかりですよ。専務は派閥争いしか興味がないのです。でどんな計画が必要なのですか?」
「正統派の10年計画よ。全く困難である実態を銀行にまず知らせたいの」
「それで評価される実績を出すのですね?」
「その通り」
「それならすぐに提出できます」
元々私が審査部長にいた時に債権管理委員会に出したものを加工すればいい」
「そんなに簡単なものかのか?」
横で聞いていた社長が友達のように聞いてくる。彼は熱心にメモを取っている。本来のオーナーの期待した社長の姿だ。だが頭だけで考えてしまうところがある。
「元々前の社長の時に債権会議に初めてこの長期計画を出した時は私はこれを出して非難されたのです。10年もかかってまだ不良債権は半分が精一杯だったのです」
「まさか?」
「それが普通のファイナンスでは当たり前のことです。これは銀行が見ても不満だが認めるものですよ。バブルが弾けて実勢価格がどんどん下がるばかりです」
「そうか」
「だがこの会社には思い切った政策ができる力があります。経営はこの力がなくては生きていけません。今までそれをオーナーが」
「そうだな。私は経営をしていたわけではなかったのだな」
「今度は社長が経営をするのですよ」
「そんなチャンスが来るのかな?」
「必ず」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる