アニメオタクがバンドして青春して良いですか??

チャウチャウ

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2. 黒髪美女の表裏

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ー始めにー
1話にて1年生からのスタートとなっておりますが、青春をモットーとし、1年後の2年生からのスタートとさせていただきます。よって、斗沢優一(とざわゆういち)は2年生の初日に雪浜 蒼(ゆきはまあおい)に部活勧誘され入部したという流れで進めさせて頂きます。

ープロローグー
桜舞う春、私立吹聖高校に入学した俺、斗沢優一はアニメオタクを隠し青春という青々しいモットーを掲げ正門をくぐった。あれから1年、満開に咲いた桜の花びらは、はやくも散りかける。放課後、中学から顔見知りだった雪浜 蒼と遭遇し、軽音部へ入部しなければアニメオタクを全校にばらすという脅迫により、渋々入部。
これから俺の青春はどうなるのだろうか...

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ー春風は永遠の向かい風ー

「後日から本格的に部活スタートするけれど..良いかしら?」

「~かしら?って貴方は何処のお嬢様ですか」

微小な溜息を漏らしつつ指摘する。

「そうよ、嘘だと思うならその目で見るといいわ」

「何を?」

「そうね...なら、私と一緒に帰りなさい」

「お、おう」

この時の俺は知らなかった。蒼があの雪浜家の娘だったとわ。
帰り道、俺は予想していた。
2人で帰る道中、多くの声が耳を揺さぶる。

「あの2人付き合ってるのか!?」

「くっそ、俺雪浜さんねらってたのに!」

「ねね、彼氏の方もまあまあのイケメンじゃない??」

全部聞こえてるぞお前ら!と言いたいくらいだ。実質俺は
2次元の嫁にしか興味がない。いくら隣に学年1の美女がいたって何も思わない。
軽音部について1つ疑問があったので蒼にとう。

「雪浜さん、2人ではバンドは...って何顔赤くしてるんですか!?」

「べ、別になんでもないわ!1人や2人男子と帰ったことあるのだから平気よ」

これは完全なフラグだなと口をひきつりつつ話を戻した。

「雪浜さん、2人でバンドは...」

「呼び捨てでいいと言ったでしょ」

話が進まない。

「オタクには呼び捨てというハードルは高すぎます」

「な、なら名前の方で呼んでちょうだい」

目を逸らしながら蒼は言う。

「分かりました、蒼さん。それより2人でバンドは出来ないと思いますが」

「言われてみればそうね」

この人俺より天然なのか??

「なので部活勧誘をしましょう」

「分かったわ」

お嬢様きどりの口調がしゃくにさわるが理由は後に分かる。そんな会話を弾ませながら蒼の家に到着した。

「ここが私の家よ」

...

「いくら俺でも冗談は通じませんよ。なんせこの旅館はあの雪浜家...雪浜 蒼..ま、まさか!?」

「そのまさかね」

そのまさかだった。江戸時代初期から今に次ぐこの旅館は小さな宿ではあるが、名を連ねる将軍や天皇までが宿泊された隠れ宿であり、世界で片手の5本指に収まる人気旅館である。近所で知らない人はいないだろう。

「蒼様、お帰りなさいませ」

「ただいま」

女将さんらしき人が出迎える。これは本物のお嬢様だな。
笑えない。

「蒼様、隣のお方は?」

「同じクラスの斗沢優一くん。色々あってね、、」

「それはおめでたいですね。優一様どうぞお入り下さい」

おめでたい?  それに蒼、大事な部分を色々あってねと濁すとわ。

「俺はもう帰ります。それでわ」

「何言っているのですか?  優一様ぜひお泊まり下さい」

「と、泊まる!?  お金ないので無理です!」

「お金など必要ありません。ぜひぜひ」

今日は絶対にダメだ。なんせ俺が好きなアニメ最終回直前10分拡大なんだぞ!!  とも言えない。仕方ない、蒼に助け船でも借りよう。

「なぁ蒼、こんな俺が泊まるのは嫌だろ? 帰らせてくれるよな??」

「私は構わないわ」

「なっ!」

俺の予定、計画がこの1人の女によって崩れていく。
心が夕日と共に、温かくも暗く沈んでいった。

錆びれきった鉄のような足をひきつりつつ旅館へ入った俺。
あの後蒼と別れ部屋へと案内された。

「富士の間です。どうぞごゆっくり」

「ありがとうございます」

そんな事1ミリも思ってない。

「申し遅れました。私、雪浜旅館に務める女中、長谷川
(はせがわ)と申します。」

30代後半というところか?背が立っており、とても美人な顔の成り立ちが着物とマッチしている。

「先程は無理に宿泊を要求して申し訳ございませんでした」

悪気があるな帰らせてくれ。とでも言いたいが、明日は土曜日と休日で旅館に入った以上後は引けない。

「私は優一様に伝えたい事があり、宿泊させて頂きました」

伝えたいこと、なんだろうか?  俺が温泉と食事をとった後、再び長谷川さんが顔を出した。

「で、伝えたい事とは何ですか?」

「蒼様についてのお話です」

悪い話では無さそうだな、と願う。

「実は、蒼様が友人をお連れになられたのは初めてのことです」

「いや、蒼さんに関してそれは無いと思います。中学から今まで見ている限り、いつも周りに友達がいますよ」

「しかしそれは見かけの友達です。蒼様は中学の頃、完璧な人材が裏目となり、嫉妬や妬みなどの理由でいじめを受けておられました。そのいじめにより周りの人を信じる事が出来なくなり、友達とは距離を置かれるようになりました。また、周りの友達は雪浜家の娘、完璧な人材と思われ苦しい思いをしていました。蒼様の父は旅館の社長であり母は旅館の女将です。両親は唯一の娘の蒼様に厳しく指導されており、あのような性格となってしまったのも事実です。ただ蒼様が望んでいるのは誰かに頼る事が出来る、
何気無い会話が出来るごく普通の女子高生になることを望んでおります」

次に続く言葉は『なのでどうか蒼様の手助けをして頂けませんか』だろ。長谷川さんが詰まらせながらも口を開く。

「なのでどうか蒼様の手助けをして頂けませんか」

はい、ジャストミート。
俺は友秋の様に立派で誰でも助けれる人柄では無い。

それに、「どうして俺なんですか?」

「それはそのうち分かります」

何だよそれ、流石の俺でも人の頼みを断る鋼のメンタルは残念ながら所持していない。よりによって美人な長谷川さんの頼みだしな。

「その頼み承ります。でも俺が出来るのはあくまで手助けです。最終的には蒼さんの気持ちの決断になります」

「それで十分です。本当にありがとうございます」

長谷川さんは微笑みながらも鋭く丸い目は潤んでいた。
母の代わりに長谷川さんが小さい頃から面倒を見てきたのだろう。長谷川さんは要件を済ませると、ごゆっくりと言い部屋からさって行った。
今日の1日多くの出来事があり、体も心もボロボロだ。妹に泊まりで帰れないと連絡を送り、深く布団を被った。
一生夢の中にいたいと強く願った。しかし奇しくも朝は来る。俺のラノベのセオリーは妹が『お兄ちゃん朝だよ』って優しくも力強く起こされるのだが現実は逆転している。
妹を起こさなければならないということもあり、いつの間にか俺は早起きが日常となっている。可愛い妹が俺の帰りを待っていると願い、制服に着替え受付へと向かう。

「おはようございます。優一様」

受付に居たのは長谷川だった。今は6時過ぎ、この人何時に起きているんだ?という疑問を胸にしまい、泊まらせて頂いたことにお礼を言おうとしたその時、

「悪いのですが、蒼様を起こしに行って下さいませんか?」

理解不能な言葉が耳を貫通する。流石に断ろうとしたが、長谷川の満面の笑みに潰され起こしに行くことにした。

蒼の部屋は別館で和とは一風変わり洋を醸し出す。
ここが蒼の部屋か、コンコンとノックする。

「優一です、蒼さん朝ですよ!起きてますか~?」

返事がない。

「入りますよ..」

ドアを開いた瞬間、俺はまだ夢を見ていることに気づいた。誰もがそう思うだろう。俺は蒼の部屋に目を疑った。
教科書やノート、服や下着が床中に散乱していた。あの雪浜 蒼がこんなに部屋を散らかすのはいくらなんでもずが無さすぎる。こ、これが理想と現実の差異か、腹が痛い。
蒼はしっかりと寝ていた。蒼白な顔を隠し、俺は足場にきよつけ蒼の元へ近ずいた。

「朝ですよ!起きて下さい」

「ん~うるさい!」

蒼の思わぬ一声、録音完了。これは萌える。寝返りする度に、蒼の甘いラベンダーの匂いが鼻をそそる。

「長谷川さん、今日は土曜だから早く起きる必要はないの」

最後の『ないの』にアクセントを重視して蒼が言う。

「優一ですが」

「優一くんは昨日帰ったじゃない」

「貴方が泊まっても構わないって言ったんですよ!?寝ぼけているんですか?」

「ん?あ、ぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!」

今までの寝言がまるで嘘のように目覚める。

「な、なんで優一くんがここにいるの!?変態!!」

ビンタをくらった。痛い。俺泣きそう。

「長谷川さんに頼まれたんです!!」

「そ、そう」

やられただけでは癪に障る。

「蒼さんって寝起き悪くて、ろくに部屋すら片付けられないお嬢様だったんですね、ガッカリです」

言葉のびんたが効いたせいか、蒼の頬が赤く染まる。隠しきれない状況を回避するかのように再び布団に潜り込む。
長谷川さん、一緒に部屋を片付けさせる為に起こしに行くことを頼んだのだろう。肌黒いな、長谷川さん。
仕方なく俺はその要望に便乗する様に言った。

「蒼さん、早く起きて一緒に部屋を片付けましょう」

「そんなの自分で出来るわ」

「そうですか、なら俺は用済みの様ですね。また来週お会いしましょう」

「ま、待ちなさい!」

その言葉と同時に裾を捕まれる。それは間接的ながらも強く握る感触が肌へ伝わってくる。

「一緒に片付けてちょうだい」

「嫌です、自分の部屋くらい自分で片付けて下さい。俺は貴方の召使いではありません!」

帰ろうとしたその直後、、

「待ちなさい!  優一くん!!」

『あぁ!!!!!!!!!!!』

寝起きでふらついたせいか、教科書がバナナの皮の役割を果たし蒼が滑る。

「ちょ、おゴ....ッッ痛ってー」

ん??なんだ? 後頭部はダメージを受けたが、前頭部、いや、顔は優しく包まれている初めての感触、少し息苦しい。体のありとあらゆる部分が密着し、蒼の匂いが強さを増す。俺はこの状況が死の予兆だと気づいたのはそれから数秒後の時だった。

「キャ...!  優一くんのバカ!!」

いや、お前がこの状況をつくり出したんだろ! と言いたかった。が、
「取り合えす部屋を片付けましょう」

「そ、そうね」

蒼さんのおっぱ、いや、胸の感触で脳が痙攣しつつも感嘆と話を進めた。

「ってか、お前も片付けろよ」

「お前って何様よ」

「蒼様、一緒にお片付けしませんか?」

「仕方ないわね」

蒼に対するストレスにより、細胞の核が潰れて行く。

「下着は私が片付けるわ。教科書、ノート類は優一くんが片付けて」

「了解です、ご主人様」

それから数分後、部屋の片付けが終わり、新鮮な春風が隅々へと行き渡る。なんということでしょう。足場は無くエロハプニングシーンをつくり出した部屋が綺麗になったではありませんか~!だな。
その後、俺はそのお礼として朝食を頂き、家へと帰る。

旅館から家へと結ぶ商店街。まだ朝は早いので、にぎわいを潜めている。
『トコトコトコ』   『トコトコトコ』
『スタスタスタ』   『スタスタスタ』
俺の足音がやまびこのように反復する。しかしここは商店街。後ろを見れば蒼がいる.....は?
何故蒼さんがついてくるんですか!? 貴方は俺のペットですか!? と言いたいが、ここはあえてスルーする。
ガラクタ屋、着物店を通り信号に引っかかった時、俺の裾が引っかかった。いや、捕まれた。俺は裾が弱点だ。

「もう、何なんですか! さっきから、貴方は家へ帰って下さい! 腹立つな!!」

湧き水のように噴水したストレスを蒼に浴びせる。

そんな俺に、


「その、ありがとね」


はがゆくも、真剣な気持ちを匂わせつつ蒼は言った。

赤が青へと変わる。 

蒼の一言は温かくもあまりに重たかった。







2話へ続く
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