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銀行員×20代OL
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ジンが服をいくつも買ってくれたおかげで、着るものには困らなくなりそうだ。
…下着も入ってたけど、これはジンが選んだのかな…?
あのイケメンが、女物の下着を購入すると考えたら、とても照れくさくなってしまう。
あと、化粧水や化粧道具、化粧落としなども入っていた。
必要最低限のものが入っていたので、これ以上ジンに頼むことはなさそうだ。
女の人がいない世界なのに、必要なものをこんなに揃えられるなんて…どこかにそういう専門店でもあるのかなぁ。
必要なものをそれぞれ収納して、一緒に片付けもした。
そろそろお昼ごろかと思われる時間になって、ようやく部屋の整理が終わったので、先ほどまでご飯を食べたりテレビを見ていた(多分リビング)部屋に移動することにした。
「ジンさん、部屋の整理終わりました…あれ?」
私がリビングに入ると、ジンは既にお昼ご飯を作り終えていたようで、テーブルにご飯を並べているところだった。
「ごめんなさい、朝だけじゃなくてお昼ご飯も任せちゃって…」
いろんなことをしてもらってばかりで、申し訳なくなってくる。
そんな私の反応を見て、ジンは首を緩く振った。
「これから先も、ご飯くらいは俺が作る。気にするな」
あれ、これってこれから先も、ご飯はジンが作るってこと?
でも、ジンは仕事をしているから、大変だよね?
「あの、ジンさん…。お世話になっている間は、私がご飯を作ります。こう見えても、料理はちょっとできますよ」
とても手が込んだものはレシピがないとできないけど…普段食べるご飯くらいなら自分でも作れる。
居候させてもらう身だから(というかもうそんな流れになってるし他に選択肢がないから)、私にできることはさせてもらいたい。
そんな思いで今後の料理担当を申し出た。
しかし…ジンは、ぴくりと眉間にしわを寄せて、「だめだ」と言った。
イケメンの怒った顔はとても怖い。
破壊力があるというか…とても緊張してしまう。
「あの、でも、何もさせてもらえないのは…」
「料理じゃない。…お世話になっている間って、なんだ…」
ぴりっと場が凍り付いた気がした。
…ずっとここにお世話になるのは、自分の事情を考慮したとしても、ジンの迷惑になるんじゃないかと思って、
「お世話になっている間」という発言は無意識に出た言葉だった。
「…悪い。お前の人生だ。俺がとやかく言うことじゃない。…ここにいるも出ていくも、好きにしたらいい」
初対面なのに、ジンが寂しそうに、でも穏やかにそう話す姿を見ると、自分がとても悪いことをした気分になる。
…ジンは、私にずっとこの家にいてもらいたいんだ…。
多分、私にいろいろ買い与えたことをもったいないから不機嫌になったわけじゃない。
”渡り嫁”は、女の人を望んでいる男の人の元にしか来ないって言ってた。
ジンは、女の人が来ることを望んでいて、その待望が叶い、私がこの世界にやってきた。
そんな私が他の男の人のものになるのは面白くないのかもしれない。
…もっとかわいい子が来たらよかったのに。
あのイケメンの横に並んで、”嫁”になる勇気は、私にはない。
気にしないようにしているけど、美しくもある彼と話すたびに、心臓がうるさくなってしまう。
昨日まで元彼のことを愛して結婚まで考えていたのに、もう目の前のジンに心揺さぶられそうなのだ。
浮気をした元彼がもちろん悪いんだけど、早々に別の男にときめいている自分は、元彼を責めることができるのだろうか。
「えっと、それじゃあ…これから先どうするか決めるまで、居候っていう形でここにいても良いですか?」
ジンが私の好きにしていいって言ったし、自分のこれからを決めるまでここにいさせてもらって、じっくり考える機会をもらえるのは、私としても願ってもない話だ。
ここはお言葉に甘えて…ジンを刺激しないように言葉を選んで、言質を取る。
私のその発言に、ジンは少し驚いた顔をした。
私の言葉を意外に思ったみたいだ。
でも、すぐにちょっと嬉しそうな顔をして、「好きなだけいてくれ」と言ってくれた。
ジンは、結構無口なのかと思っていたけど、感情が顔に出ているのが少しわかる。
この時、私はこれからしばらく続く彼との同居生活に対して、何とかやっていけそうに思えた。
…下着も入ってたけど、これはジンが選んだのかな…?
あのイケメンが、女物の下着を購入すると考えたら、とても照れくさくなってしまう。
あと、化粧水や化粧道具、化粧落としなども入っていた。
必要最低限のものが入っていたので、これ以上ジンに頼むことはなさそうだ。
女の人がいない世界なのに、必要なものをこんなに揃えられるなんて…どこかにそういう専門店でもあるのかなぁ。
必要なものをそれぞれ収納して、一緒に片付けもした。
そろそろお昼ごろかと思われる時間になって、ようやく部屋の整理が終わったので、先ほどまでご飯を食べたりテレビを見ていた(多分リビング)部屋に移動することにした。
「ジンさん、部屋の整理終わりました…あれ?」
私がリビングに入ると、ジンは既にお昼ご飯を作り終えていたようで、テーブルにご飯を並べているところだった。
「ごめんなさい、朝だけじゃなくてお昼ご飯も任せちゃって…」
いろんなことをしてもらってばかりで、申し訳なくなってくる。
そんな私の反応を見て、ジンは首を緩く振った。
「これから先も、ご飯くらいは俺が作る。気にするな」
あれ、これってこれから先も、ご飯はジンが作るってこと?
でも、ジンは仕事をしているから、大変だよね?
「あの、ジンさん…。お世話になっている間は、私がご飯を作ります。こう見えても、料理はちょっとできますよ」
とても手が込んだものはレシピがないとできないけど…普段食べるご飯くらいなら自分でも作れる。
居候させてもらう身だから(というかもうそんな流れになってるし他に選択肢がないから)、私にできることはさせてもらいたい。
そんな思いで今後の料理担当を申し出た。
しかし…ジンは、ぴくりと眉間にしわを寄せて、「だめだ」と言った。
イケメンの怒った顔はとても怖い。
破壊力があるというか…とても緊張してしまう。
「あの、でも、何もさせてもらえないのは…」
「料理じゃない。…お世話になっている間って、なんだ…」
ぴりっと場が凍り付いた気がした。
…ずっとここにお世話になるのは、自分の事情を考慮したとしても、ジンの迷惑になるんじゃないかと思って、
「お世話になっている間」という発言は無意識に出た言葉だった。
「…悪い。お前の人生だ。俺がとやかく言うことじゃない。…ここにいるも出ていくも、好きにしたらいい」
初対面なのに、ジンが寂しそうに、でも穏やかにそう話す姿を見ると、自分がとても悪いことをした気分になる。
…ジンは、私にずっとこの家にいてもらいたいんだ…。
多分、私にいろいろ買い与えたことをもったいないから不機嫌になったわけじゃない。
”渡り嫁”は、女の人を望んでいる男の人の元にしか来ないって言ってた。
ジンは、女の人が来ることを望んでいて、その待望が叶い、私がこの世界にやってきた。
そんな私が他の男の人のものになるのは面白くないのかもしれない。
…もっとかわいい子が来たらよかったのに。
あのイケメンの横に並んで、”嫁”になる勇気は、私にはない。
気にしないようにしているけど、美しくもある彼と話すたびに、心臓がうるさくなってしまう。
昨日まで元彼のことを愛して結婚まで考えていたのに、もう目の前のジンに心揺さぶられそうなのだ。
浮気をした元彼がもちろん悪いんだけど、早々に別の男にときめいている自分は、元彼を責めることができるのだろうか。
「えっと、それじゃあ…これから先どうするか決めるまで、居候っていう形でここにいても良いですか?」
ジンが私の好きにしていいって言ったし、自分のこれからを決めるまでここにいさせてもらって、じっくり考える機会をもらえるのは、私としても願ってもない話だ。
ここはお言葉に甘えて…ジンを刺激しないように言葉を選んで、言質を取る。
私のその発言に、ジンは少し驚いた顔をした。
私の言葉を意外に思ったみたいだ。
でも、すぐにちょっと嬉しそうな顔をして、「好きなだけいてくれ」と言ってくれた。
ジンは、結構無口なのかと思っていたけど、感情が顔に出ているのが少しわかる。
この時、私はこれからしばらく続く彼との同居生活に対して、何とかやっていけそうに思えた。
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