51 / 94
第八章 サボテン岩の戦い
2
しおりを挟む
「パッチやリリーってさ、召喚されてない時ってどうなってるのかな?」
サボテン岩の中は意外と入り組んでいた。中には誰の気配もなく、突入した時には持っていた警戒心は、角を曲がる度に薄れていった。
太陽の光が無くても、壁に並べられた蝋燭たちが、ひっそりと洞窟内を照らしてくれている。
「召喚って疑問が多いんだ。例えば、召喚されているときに、魂が込められていた器のアクセサリーが壊れたらどうなるの? とかね」
握りしめていた警戒心を放り投げた途端、妙に手持ち無沙汰になってしまったヒカルは、何でも良いからカリンダと話がしたかったのだ。
「そんなの私にも分からないわよ。ウインに聞いたら?」
「知らないの? お兄さんのことなのに」
「ウインはウイン。私は私なの」
二人はさらに奥へと足を進めた。サボテン岩の中は一本の上り坂から枝分かれした小部屋が、蟻の巣のようにたくさんある。
坂道をどのまで登ったか分からないけれど、突然、前を歩くカリンダが立ち止まった。
「どうしたの?」
「しっ! 今、何か音がした」
カランコロン。
急に緊張感が走る。
小部屋へ続く曲がり角の前だ。カリンダとヒカルは足を止めて先の様子を伺っていると、蝋燭の火で照らされた壁を、一体の影が通り過ぎていった。
この先に誰かがいる。
カリンダと目があった。黄色い瞳は「準備は良い?」と言っている。
コクンと頷くと、すぐにカリンダはヒカルの手を引っ張った。
「ちょ、ちょっとタイム!」
「なに!?」
「いや……てっきり、タイミングを合わせて行くのかと」
「確認したでしょ? ちゃんと合わせたじゃない」
そういう訳じゃなくて、とは言えなかった。再び、曲がり角の向こう側からカランカランと音がしたから。
気付かれた?
二人は顔を見合わして、「静かに」とお互いに合図を送りあった。
「三、二、一で行こう」
「……わかったわ」
ヒソヒソ声で、再度確認し合う。
呼吸を整え、カウントを始めようとカリンダに目で合図を送る――と同時に、カリンダはまたしてもヒカルの手を引っ張った。
二回目の急ブレーキ。二回目のカリンダの「何なの?」という顔。
「今、行けって合図くれたじゃない!」
「三、二、一で行くって言ったろ?」
「だから何よそれ?」
喉元まで出かけた反論の言葉を飲み込んで、ヒカルはぐっと堪えた。
ここは大人になろう。姿はパピーだけど。
ヒカルは何も言わず、ずっと左手に着けていた腕時計を外した。自分の処女作だ。青い文字盤が綺麗でお気に入りだったから、パピーの姿でもちゃんと着いていてくれて安心した。
懐中時計と確認し、竜頭を操作して、秒針の進みを同じにする。
「よし」
「何してるのよ?」
進みが同じ事を確認してから、カリンダに腕時計を渡してやった。
「何これ?」
「いい? このずっと動いてる細くて長い針があるでしょ? これが一番上の『12』のところに来たら行く。それが合図だ」
秒針はもう四〇秒を経過している。
「もうすぐだ。準備はいい?」
「ねえ、ちょっと!」
有無を言わさず、今度はヒカルが前に立つ。
あと一〇秒――五二、五三、五四……。
カリンダも覚悟を決めたのか、視線を腕時計の文字盤に移す。
五七、五八、五九――『12』!
秒針が『12』を指した瞬間、ヒカルとカリンダは同時に曲がり角から飛び出した。
良し! 成功だ!
そして見つけた。曲がり角の向こうに潜んでいた物陰の正体を。
「助けて!」
意を決して、ようやくお互いのベストタイミングで飛び出せた二人の先に見えたもの――それは、オレンジ色と黄色の肌をした、か弱いボルボルの少女が一人、頭を抱えて震えている姿だけであった。
〇
「助けて……ください」
小さな小さなその体を丸めて、涙声で必死に懇願するその姿に、二人は拍子抜けてしまった。
「だ、大丈夫よ」
優しく声をかけながら、カリンダはゆっくりと少女に近づく。
「私たちはあなたの敵じゃないの」
「ひっ!?」
カリンダのそっと出したはずの手でさえも、ボルボル少女は怯えるばかり。
どうしたものか、とカリンダと顔を見合わせたその時だった。
「うおおおお!」
物陰から勢い良く飛び出してきたのは、二人が探していたエバーではないか。
「その子から離れろおおおお!」
エバーはカリンダに向かって、持っていた木の棒を振り上げる。
「カリンダ!」
突然のことで、体制が整っていないカリンダは、エバーの突進を避けられそうにない。
カチ――。
振り下ろされた木の棒が、カリンダの目の前で止まった。
両手で覆い、小さな体をさらに小さくしようするボルボルの少女。そして、必死の形相で飛びかかるエバー。
揺れる蝋燭の火も止まる時間の中で、ヒカルはエバーを岩壁の目の前にまで移動させた。
「ごめんね」
――カチ……ドン!
時間が動くのと同時に、エバーが壁に頭を思い切りぶつけた。握りしめていた木の棒がカランコロンと転がっていく。
「何が起きたの?」
一瞬の出来事。もちろんカリンダもそう見えたはず。目の前に飛びかかってきたエバーが、次には壁に一人手に頭をぶつけているのだから。
「君がしたの?」
「さて、エバーは見つかったね。すっかり伸びちゃっているけど」
カリンダには曖昧に返事をして、床に倒れたエバーに近づこうとすると、今度はボルボルの少女か、エバーの前に割って入ってきた。
肩は震え、涙のまま。しかし、その目はしっかりとこちらを見つめている。
「驚かせてしまってごめんね。でも大丈夫。俺たちはエバーの友達なんだ」
◯
サボテン岩の周辺で行われているパピーとボルボルの争いは、さらに激しさを増していた。両者一歩も引かず。しかし、多数に無勢。ボルボル軍が徐々に押されはじめていた。
ウインがサボテン岩に到着した時にはすでに争いは始まっていた。両者入り乱れる混乱の中を、彼はリリーを必死に探していた。
「リリー! どこだ!?」
目の前を一本の矢が飛んでいく。ボルボルの剣をかわし、後ろからパピーのタックルを食らう。
「痛てて……」
見つけたらすぐに器に戻せば良い。しかし、そんな考えが浅はかだとすぐに思いしった。
小さな種族たちの争いはあくまでも戦争なのだ。生半可な気持ちでは、すぐに骨を砕かれ、身を裂いてしまう。
すぐに立ち上がってみるけれど、こんなところじゃおちおち人探しなど出来やしない。
「おや?」
どうしたものか、と考えていると後ろから聞いたことのある声がした。
「あなたは!?」
ウインの後ろにいたパピー。彼は襲いかかるボルボル兵たちを見事な剣さばきで制圧し、再びウインの元へやってきた。
「こんなところで何をしておる旅のお方」
そう言いつつ、腰の短剣を抜くと、ウインの後ろに勢い良く投げつける。見ると、弓矢を構えていたボルボル兵がその場で倒れていた。
「巻き込まれたのか? 早くお逃げなさい」
ウインに手を差しのべてれたパピーは、なんと今朝町中で出会った紳士パピーであった。
サボテン岩の中は意外と入り組んでいた。中には誰の気配もなく、突入した時には持っていた警戒心は、角を曲がる度に薄れていった。
太陽の光が無くても、壁に並べられた蝋燭たちが、ひっそりと洞窟内を照らしてくれている。
「召喚って疑問が多いんだ。例えば、召喚されているときに、魂が込められていた器のアクセサリーが壊れたらどうなるの? とかね」
握りしめていた警戒心を放り投げた途端、妙に手持ち無沙汰になってしまったヒカルは、何でも良いからカリンダと話がしたかったのだ。
「そんなの私にも分からないわよ。ウインに聞いたら?」
「知らないの? お兄さんのことなのに」
「ウインはウイン。私は私なの」
二人はさらに奥へと足を進めた。サボテン岩の中は一本の上り坂から枝分かれした小部屋が、蟻の巣のようにたくさんある。
坂道をどのまで登ったか分からないけれど、突然、前を歩くカリンダが立ち止まった。
「どうしたの?」
「しっ! 今、何か音がした」
カランコロン。
急に緊張感が走る。
小部屋へ続く曲がり角の前だ。カリンダとヒカルは足を止めて先の様子を伺っていると、蝋燭の火で照らされた壁を、一体の影が通り過ぎていった。
この先に誰かがいる。
カリンダと目があった。黄色い瞳は「準備は良い?」と言っている。
コクンと頷くと、すぐにカリンダはヒカルの手を引っ張った。
「ちょ、ちょっとタイム!」
「なに!?」
「いや……てっきり、タイミングを合わせて行くのかと」
「確認したでしょ? ちゃんと合わせたじゃない」
そういう訳じゃなくて、とは言えなかった。再び、曲がり角の向こう側からカランカランと音がしたから。
気付かれた?
二人は顔を見合わして、「静かに」とお互いに合図を送りあった。
「三、二、一で行こう」
「……わかったわ」
ヒソヒソ声で、再度確認し合う。
呼吸を整え、カウントを始めようとカリンダに目で合図を送る――と同時に、カリンダはまたしてもヒカルの手を引っ張った。
二回目の急ブレーキ。二回目のカリンダの「何なの?」という顔。
「今、行けって合図くれたじゃない!」
「三、二、一で行くって言ったろ?」
「だから何よそれ?」
喉元まで出かけた反論の言葉を飲み込んで、ヒカルはぐっと堪えた。
ここは大人になろう。姿はパピーだけど。
ヒカルは何も言わず、ずっと左手に着けていた腕時計を外した。自分の処女作だ。青い文字盤が綺麗でお気に入りだったから、パピーの姿でもちゃんと着いていてくれて安心した。
懐中時計と確認し、竜頭を操作して、秒針の進みを同じにする。
「よし」
「何してるのよ?」
進みが同じ事を確認してから、カリンダに腕時計を渡してやった。
「何これ?」
「いい? このずっと動いてる細くて長い針があるでしょ? これが一番上の『12』のところに来たら行く。それが合図だ」
秒針はもう四〇秒を経過している。
「もうすぐだ。準備はいい?」
「ねえ、ちょっと!」
有無を言わさず、今度はヒカルが前に立つ。
あと一〇秒――五二、五三、五四……。
カリンダも覚悟を決めたのか、視線を腕時計の文字盤に移す。
五七、五八、五九――『12』!
秒針が『12』を指した瞬間、ヒカルとカリンダは同時に曲がり角から飛び出した。
良し! 成功だ!
そして見つけた。曲がり角の向こうに潜んでいた物陰の正体を。
「助けて!」
意を決して、ようやくお互いのベストタイミングで飛び出せた二人の先に見えたもの――それは、オレンジ色と黄色の肌をした、か弱いボルボルの少女が一人、頭を抱えて震えている姿だけであった。
〇
「助けて……ください」
小さな小さなその体を丸めて、涙声で必死に懇願するその姿に、二人は拍子抜けてしまった。
「だ、大丈夫よ」
優しく声をかけながら、カリンダはゆっくりと少女に近づく。
「私たちはあなたの敵じゃないの」
「ひっ!?」
カリンダのそっと出したはずの手でさえも、ボルボル少女は怯えるばかり。
どうしたものか、とカリンダと顔を見合わせたその時だった。
「うおおおお!」
物陰から勢い良く飛び出してきたのは、二人が探していたエバーではないか。
「その子から離れろおおおお!」
エバーはカリンダに向かって、持っていた木の棒を振り上げる。
「カリンダ!」
突然のことで、体制が整っていないカリンダは、エバーの突進を避けられそうにない。
カチ――。
振り下ろされた木の棒が、カリンダの目の前で止まった。
両手で覆い、小さな体をさらに小さくしようするボルボルの少女。そして、必死の形相で飛びかかるエバー。
揺れる蝋燭の火も止まる時間の中で、ヒカルはエバーを岩壁の目の前にまで移動させた。
「ごめんね」
――カチ……ドン!
時間が動くのと同時に、エバーが壁に頭を思い切りぶつけた。握りしめていた木の棒がカランコロンと転がっていく。
「何が起きたの?」
一瞬の出来事。もちろんカリンダもそう見えたはず。目の前に飛びかかってきたエバーが、次には壁に一人手に頭をぶつけているのだから。
「君がしたの?」
「さて、エバーは見つかったね。すっかり伸びちゃっているけど」
カリンダには曖昧に返事をして、床に倒れたエバーに近づこうとすると、今度はボルボルの少女か、エバーの前に割って入ってきた。
肩は震え、涙のまま。しかし、その目はしっかりとこちらを見つめている。
「驚かせてしまってごめんね。でも大丈夫。俺たちはエバーの友達なんだ」
◯
サボテン岩の周辺で行われているパピーとボルボルの争いは、さらに激しさを増していた。両者一歩も引かず。しかし、多数に無勢。ボルボル軍が徐々に押されはじめていた。
ウインがサボテン岩に到着した時にはすでに争いは始まっていた。両者入り乱れる混乱の中を、彼はリリーを必死に探していた。
「リリー! どこだ!?」
目の前を一本の矢が飛んでいく。ボルボルの剣をかわし、後ろからパピーのタックルを食らう。
「痛てて……」
見つけたらすぐに器に戻せば良い。しかし、そんな考えが浅はかだとすぐに思いしった。
小さな種族たちの争いはあくまでも戦争なのだ。生半可な気持ちでは、すぐに骨を砕かれ、身を裂いてしまう。
すぐに立ち上がってみるけれど、こんなところじゃおちおち人探しなど出来やしない。
「おや?」
どうしたものか、と考えていると後ろから聞いたことのある声がした。
「あなたは!?」
ウインの後ろにいたパピー。彼は襲いかかるボルボル兵たちを見事な剣さばきで制圧し、再びウインの元へやってきた。
「こんなところで何をしておる旅のお方」
そう言いつつ、腰の短剣を抜くと、ウインの後ろに勢い良く投げつける。見ると、弓矢を構えていたボルボル兵がその場で倒れていた。
「巻き込まれたのか? 早くお逃げなさい」
ウインに手を差しのべてれたパピーは、なんと今朝町中で出会った紳士パピーであった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
東京ダンジョン物語
さきがけ
ファンタジー
10年前、世界中に突如として出現したダンジョン。
大学3年生の平山悠真は、幼馴染の綾瀬美琴と共に、新宿中央公園ダンジョンで探索者として活動していた。
ある日、ダンジョン10階層の隠し部屋で発見した七色に輝く特殊なスキルストーン。
絶体絶命の危機の中で発動したそれは、前代未聞のスキル『無限複製』だった。
あらゆる物を完全に複製できるこの力は、悠真たちの運命を大きく変えていく。
やがて妹の病を治すために孤独な戦いを続ける剣士・朝霧紗夜が仲間に加わり、3人は『無限複製』の真の可能性に気づき始める。
スキルを駆使して想像を超える強化を実現した彼らは、誰も到達できなかった未踏の階層へと挑んでいく。
無限の可能性を秘めた最強スキルを手に、若き探索者たちが紡ぐ現代ダンジョンファンタジー、ここに開幕!
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる