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第二話 疑い
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パーティでダンデ様と婚約の約束をしてから、少し時間が経った。
お母様とお父様に報告をした時はそれはそれは喜んでくれていたので、そんな2人の顔を見れただけでも、ダンデ様を選んだ甲斐があった。
「フェルナ様。お召し物をお変え致します」
朝食を食べてから私は自室に戻って、煌びやかなドレスに着替えた。
綺麗な格好に着替える理由は、今日はダンデ様が、久しぶりに我が家にやってくる日だから。
私としても婚約をするからには、仲良くしていきたい。たまに来てくれる日には、交流をしたい気持ちがある。
「……ねぇ、ダンデ様はまだいらっしゃらないのかしら?」
「はい、まだいらっしゃっておりません」
待ち遠しくて仕方がないと私が思っているようにも聞こえるような事を使用人に聞いてしまう。
しかし、別にダンデ様に会いたくて仕方がないわけではない。
「そろそろ、約束の時間なのだけれど……」
時計を見れば、訪ねてくるという約束の時間を少しだけ過ぎていた。
ただ、何の連絡も無い。なにかあちら側に問題があったのではないかと気を揉んでしまうのは、普通の事だろう。
「本当に何の連絡もないの?」
「はい、いただいておりません」
「何かあったのかしら……?」
それから、結構な時間を心配しながら過ごした。
あまりにも来ないので、そろそろこちら側から連絡を入れようかとした時。
「フェルナ様!ダンデ様がいらっしゃいました!」
使用人がそう報告してきた。
案内されて私の元にやって来たダンデ様は、清潔で美しい服装だった。
「ダンデ様、ようこそいらっしゃいました」
「ああ、久しぶりだな」
……はい、久しぶりですね。
「ダンデ様が何か事件に巻き込まれてしまったのではないかと心配していたのですが……」
「大丈夫だ」
……なら、良かったですけど。
「そうだ、隣国のソフティエ・ヨカダン様から名産の紅茶の茶葉をいただいたのです。是非ともダンデ様に召し上がっていただきたいのですが」
「それは良いな」
……そうですね、良いですね。
…………
…………
…………
…………
…………え、それだけですか?
私、心配していたのですけど。いや、勝手に心配していただけですが。私の元に訪ねるのいう用事は、何も言わずとも遅刻して良いような用事なのでしょうか?
……まぁ、身分は下なので、仕方のないことかもしれませんね。
「……フェルナ、そのドレスは初めてみるな」
「……ええ!ダンデ様がいらっしゃるとお聞きしましたので、ダンデ様に見合う女性になれるように、特注で作っていただいたのです」
「そうか。では、今すぐ着替えて来てくれ。それほど煌びやかでは落ち着かないではないか」
………………なるほどぉ?確かに煌びやかで、目にうるさかったかもしれなかったですねぇ?ダンデ様の着ていらっしゃる服と同じで。
……ま、まぁいいです。確かに、わざわざ作ったドレスを着てくるなんて、重かったですわね。
「分かりました。質素なドレスに着替えて参ります」
「ああ」
ダンデ様の横を通って、自室に向かおうとした時。
思わず、足を止めてしまった。
「……ダンデ様?」
「なんだ?」
ダンデ様と目が合う。
ガラス玉を頭蓋骨にくっつけただけみたいな、深くて冷たい瞳だった。
「……いえ、何でもないです」
思わず目を逸らして、歩き出した。
ダンデ様、香水を変えられたのですか?
そう聞こうとした口は、自然と閉じられた。
聞いたとしても、ダンデ様はしらばっくれるだろう。
そんなくだらないことは、聞くまでもなかった。
お母様とお父様に報告をした時はそれはそれは喜んでくれていたので、そんな2人の顔を見れただけでも、ダンデ様を選んだ甲斐があった。
「フェルナ様。お召し物をお変え致します」
朝食を食べてから私は自室に戻って、煌びやかなドレスに着替えた。
綺麗な格好に着替える理由は、今日はダンデ様が、久しぶりに我が家にやってくる日だから。
私としても婚約をするからには、仲良くしていきたい。たまに来てくれる日には、交流をしたい気持ちがある。
「……ねぇ、ダンデ様はまだいらっしゃらないのかしら?」
「はい、まだいらっしゃっておりません」
待ち遠しくて仕方がないと私が思っているようにも聞こえるような事を使用人に聞いてしまう。
しかし、別にダンデ様に会いたくて仕方がないわけではない。
「そろそろ、約束の時間なのだけれど……」
時計を見れば、訪ねてくるという約束の時間を少しだけ過ぎていた。
ただ、何の連絡も無い。なにかあちら側に問題があったのではないかと気を揉んでしまうのは、普通の事だろう。
「本当に何の連絡もないの?」
「はい、いただいておりません」
「何かあったのかしら……?」
それから、結構な時間を心配しながら過ごした。
あまりにも来ないので、そろそろこちら側から連絡を入れようかとした時。
「フェルナ様!ダンデ様がいらっしゃいました!」
使用人がそう報告してきた。
案内されて私の元にやって来たダンデ様は、清潔で美しい服装だった。
「ダンデ様、ようこそいらっしゃいました」
「ああ、久しぶりだな」
……はい、久しぶりですね。
「ダンデ様が何か事件に巻き込まれてしまったのではないかと心配していたのですが……」
「大丈夫だ」
……なら、良かったですけど。
「そうだ、隣国のソフティエ・ヨカダン様から名産の紅茶の茶葉をいただいたのです。是非ともダンデ様に召し上がっていただきたいのですが」
「それは良いな」
……そうですね、良いですね。
…………
…………
…………
…………
…………え、それだけですか?
私、心配していたのですけど。いや、勝手に心配していただけですが。私の元に訪ねるのいう用事は、何も言わずとも遅刻して良いような用事なのでしょうか?
……まぁ、身分は下なので、仕方のないことかもしれませんね。
「……フェルナ、そのドレスは初めてみるな」
「……ええ!ダンデ様がいらっしゃるとお聞きしましたので、ダンデ様に見合う女性になれるように、特注で作っていただいたのです」
「そうか。では、今すぐ着替えて来てくれ。それほど煌びやかでは落ち着かないではないか」
………………なるほどぉ?確かに煌びやかで、目にうるさかったかもしれなかったですねぇ?ダンデ様の着ていらっしゃる服と同じで。
……ま、まぁいいです。確かに、わざわざ作ったドレスを着てくるなんて、重かったですわね。
「分かりました。質素なドレスに着替えて参ります」
「ああ」
ダンデ様の横を通って、自室に向かおうとした時。
思わず、足を止めてしまった。
「……ダンデ様?」
「なんだ?」
ダンデ様と目が合う。
ガラス玉を頭蓋骨にくっつけただけみたいな、深くて冷たい瞳だった。
「……いえ、何でもないです」
思わず目を逸らして、歩き出した。
ダンデ様、香水を変えられたのですか?
そう聞こうとした口は、自然と閉じられた。
聞いたとしても、ダンデ様はしらばっくれるだろう。
そんなくだらないことは、聞くまでもなかった。
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