訳ありエルフを嫁にするため、現役復帰を決意した元賢者の俺

ささやんX

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第三章 後妻の突っ込み

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 これは、罠だ。あくまでも平静を装って返事をせねば…
「リベリアちゃんが来るかは分からないな、統括本部にも人は大勢いるからね」
 注意していたのに、いきなり、地雷を踏んだ。
 たちまち、セルケトさんの機嫌が悪くなった。
「リベリアちゃん?はぁ、娘をちゃん付けで呼んでるんだぁ」
 これは、黙ってやり過ごすしかない。
「これじゃ、いざとなったら、私を取るか娘を取るかはもう決まっているわね」
 これでできれば鎮火したい。
「いや、そこは間違いなく”お前”だよ」
 いや、地雷は一つじゃなかった。
「へぇ~私は、お前呼ばわりなんだ。昨日、ベッドで私をどうお呼びになられましたかフィアス、いいえ、ご主人さま~」
 お前って、妻は呼ばれて嬉しいんじゃないのか? くっそわざとだ、眼が笑ってやがる!
 しかし元賢者で、七賢人のリーダ格だった私が、引退後数年でこのザマだ。
「セ、セルちゃん」
「そう、じゃあここは、どうお呼びになられて」
 彼女は自分の胸を指差す。
「……」
「言わないと、フィアスがピーーーした、ここも言わせようかしら」
変な汗が出てきた。
「声が出るくらい気持ち良かったわよ、あ、な、た」
 私から視線を外さずに彼女の指が下のほうに動いた。
「ぱいぱい」
 これで終わりにしてくれ。
 彼女は満面の笑顔で私に言った。
「フィアスちゃんの大好きなのは、大好きなセルちゃんのぱいぱいでした~」

 私は、ふうっと鼻から、息を出した。
 確かに彼女の胸は嫌いではない。少しでも劣勢を挽回せねば…
 私は、彼女の眼をまっすぐ見て、口を開いた。
「私は、セルケト、君に惚れている」
「えっ」
 私は、左手を彼女の前に左手を差し出して、その顎に手を掛けた。
「こらこら、おっさんがイケメンの真似を…」
そう言いながら、セルケトは多少戸惑っている。
(恋愛ってね、傍から見たらこっぱずかしいものなんだろ)
 私は片手をテーブルに置いて、セルケトのほうに身を乗り出してた。
 そして止まった。彼女は別に拒否したわけじゃない。
 彼女はテーブルに置いた私の手を見つめていたから。
(どうした?)
 彼女の言う通り、口づけで黙らそうと私は考えていた。
 彼女も私の策を知りながら、乗ってくれていたはずなのだが…
(まさか、また地雷踏んだか?)
 セルケトは私の指を手を重ねて言った。
「私もよ、フィアス、愛してる」
 彼女から私の唇を重ねてきた。
 その時、彼女が何を見たかに気が付いた。
 左手の中指から外側へ三本、少し変色した指を見たのだ。

 私もだいたい覚えている、まだ昨晩の事だからな。
 彼女がハニートラップを仕掛けているのは、もっと前から分かっていた。
 ただ、できれば懐柔したいと思っていたら、それが動き始めたんだ。
 裏切り者を処分するための魔道具のチョーカーが彼女の首を絞め始めたのだ。
 とにかく、私は三本の指を身代わりにしてその場は彼女を救った。
 私としては治癒魔法でくっつくだろうと高を括っていたが、そう簡単にはいかなかったんだよなぁ。
 一見、この指は繋がっているように見えるが、落ちた指それぞれを魔法でソコに配置しているだけ。転生する前の記憶で、”ファンネル”という言葉がイメージに合っている。とにかく、ここでは、治らない。

 セルケトさんは、自分が救われた事をより鮮明に思い出したのだろう。
 彼女は、椅子に座りなおした。
 そして、口元を緩め、首を傾げながら私を見ている。
「貴方は少しずるいと思うな」
(いや、たまたまだから)
 彼女は、その指も治さなくちゃねと言いながら言葉を繋いだ。
「それで、昼から来る騎士団の話だけど、検分と言って形式的なものじゃないの?」
 いきなり、話を本線に戻してきた。
 私はほっとしながら、庭を見た。陽の光があたって、眩しく輝き全てを隠している。
「…そう、リベリアが来たほうが厄介かもしれない」
 慎重に、地雷を避けながら言った。
「娘が厄介なの?嫌われているの?」
 まぁ、年頃の娘には、そういう時期あるよねとセルケトは頷く。
「それは違う!」
 声が大きくなってしまった。まだ注意が足りてない。
「彼女は、過去視ができる。それでも半日くらいだろうが」
 そんな能力者が来たら、かなり厄介だ。昨晩の事で嘘は絶対バレる。
「昨晩はしてないけど、シーツは今からでも洗うわ」
 まあ、洗うにこしたことはないんだが。
「でもさ、露天風呂はどうしようもないわね」
 あぁ、今の今まで、庭の露天風呂の事は忘れていた。
 酒が入っていたとはいえ、自宅の庭とはいえ、…自分の放った残滓も残っているだろう。ま、そこは、報告書に書けないだろう。
「…それもそうなんだが…、君の素性がバレる」
 過去視をしなくても、リベリアちゃんが来なくてもその可能性は高い。
 目の前の娘は、行商のおばちゃんではないのだ。説明を求められる。
 それに敵の死体を検分したら、私の”殺り方”と違いモノがある事うと気が付くだろう。目の前の愛らしい、見かけがどうであれ騎士団は、彼女を疑うだろう。
 森にいる熊とか魔物のしわざと意識誘導ができればいいが。
「ねぇ、フィアス、そもそもこの会話見られるんじゃないの?」
「あっ、そうだ」
 思わず天を仰いだ。彼女に振り回され過ぎて頭が正直回っていない。
 もう、色々バレる前提で、対応を考えないといけない。
 いきなり、セルケトは席をたって私に抱きついた。
 柔らかい胸を顔に押し付けてくる。
「愛してるわ、フィアス」
「あぁ、私もだ」
 それにしても、いきなりのコレには、訳がわからなかった。
「だから、こんな父親の姿を過去視で熱心に見ないでしょ」
 セルケトさんが私の耳たぶを甘噛みしながら、そう囁いた。
 そして私のズボンに手を伸ばしてきた。おいおい…
 さすがに、リベリアちゃんは目を背けるだろし、それに私も見られたくなかった。
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