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第四話 愛娘とイケメン
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暖かい陽射しには心地よさはあるが、日陰となるとここが雪が積もる山間である事を思い知らされる。少しの風にも小さな刃が仕込んであるようで痛い。
「やっぱり、バレると考えたほうがいいよな」
大量の白い息を吐き出しながら、小さくなった屋根のつららを手で払った。
私とセルケトさんは小屋の裏口を出た所で話していた。
「逃げるにしても、この雪じゃあね」
セルケトは私の腕に手を回してきた。
これは本当に寒いからだろう。私は彼女の肩の手を回した。
問題は降る雪ではなく、積もった雪のほうだ。
どこへ行くにしても足跡が残ってしまう、すべてが後手に回っている。
(とりあえず、相手の出方次第だな)
二人の打合せはそこで終わりとなって、私が小屋の角へ小便に向かった。
最悪、彼女はハニトラ要員だったという所までだよな。
そんな事を考えながら、ズボンを下げた。
じょ~~~
つららで手を洗いながら、裏口へと向きを変えると、いきなり扉が開いた。
「ちょっと!、昼過ぎに来るって話じゃなかったの!」
初めて、セルケトさんの慌てた顔を見た。
居間兼台所に戻ると、玄関のベルが鳴った。
騎士団が来たのは分かっているが、それ以上の情報は無い。
それでも、待たせるわけにはいかない。
愛娘リベリアちゃんが来たかもしれないからだ。
セルケトさんの肩を軽く叩いて、ついでに軽く胸を揉んで玄関へと向かう。
「元帝国七賢者の一人、フィアス・インテグリフ様いらっしゃいますか?」
外から若い男の声がする。
玄関の扉を開けると、新兵は私に一礼をすると右に体をずらして直立不動の姿勢をとった。
「お久しぶりですインテグリフ様。我らが副団長がお見えです」
どうやら新兵ではなく、しかも会った事があるらしい。すまん忘れた。
少し離れてこちらに歩いてくるのが二名いる。
一人は銀色のコートの長身金髪の男。
その背中に長剣を携えた帝国騎士団<北神>副団長、
ガレス・ブレイドは、私を認めると軽く手を上げて会釈をした。
年齢も離れているし立場も違ったので、あまりは話した事はない。
ただし団長はよく知っている。というか腐れ縁に近いものがある。
もう一人は小柄で白いフードを深めに被った白いコートの団員がいる。
雪が不慣れらしく杖、魔法使いか?でバランスを取りながら副団長の後ろを歩いている。
「あの方は騎士団統括本部、リベリア・インテグリフさんです」
新兵は小声で教えてくれた。もちろん教えてくれる前に気が付いているさ、我が娘だから。
二人が小屋の近くに来ると、小さくて白い天使が長くて銀色を追い越して私の前に来る。
そして、フードを上げてリベリア・インテグリフが私に挨拶をする。
「お久しぶりですお父様、いえ、フィアス・インテグリフ様」
愛くるしい声を聞いて思わず目頭が熱くなる。手元を離れたのが14歳だったか。
久しぶりの再会で声が出ない。…ほんとうに可愛い
母親と同じ銀色のミディアムヘアを青いリボンで後ろに束ねてある。
意思の強そうな眉と緑色の瞳、鼻、口は確かに母親によく似ている
声が出ない私の代わりに声を出したやつがいた。
「お久しぶりです、お父様、とりあえず中に入れてもらえませんか?」
後ろから長身のイケメンがさわやかに言う。だが、私はこいつの父親ではない。
なのになぜ、お父様と私を呼ぶ。答えは一つしかないじゃないか。
ここでか、このタイミングでか!心臓がバクバク音を立て始める。
「ガレス・ブレイド!娘はまだ14歳だぞ」
こういう場合、父親は相手を一発ぶん殴って良かったよな。
いや殴った所で意味がない。貴様、少し試させてもらうぞ。
怒りじゃないからな、勘違いするな!
一瞬で右の手のひらに魔法陣が構築されていく。炎の攻撃魔法がもうすぐ発動する。
見せてもらおうか副団長ガレス・ブレイド、その実力とやらを。
それを見て、ガレス・ブレイドはあわてて否定する。
「冗談ですよ、インテグリフ様、娘さんとは何もありませんよ」
「それにお父様、私は17歳です」
コートの前を開けて胸を張るリベリアは、私の記憶より少し大きくなっていた。
「・・・あ、そうか」
私は魔法陣を握り潰すしかなかった。
私も少し冷静になって二人を部屋に招き入れる。
二人は小屋の奥に立つセルケトさんに気が付くが何も問わずテーブルに座る。
テーブルの上のポットから、二人にお茶を淹れる。
私とガレスは、調査済のテーブルを挟んでお茶をすすっている。
身長の差で、私が彼を見上げる形になるのは癪だが。
ガレスは翠色の瞳に穏やかな顔をして私と私の横に座ったリベリアを見ている。
「なぜ私をお父様と呼んだ?」
どうも悪意を感じる。
「同じ姓じゃないですか、単なる区別ですよ」
こういう冗談が好きな奴の顔が急に頭に浮かんだ。
「それは団長(ハゲ)の入れ知恵か!」
「ご明察、さすが元賢者様、私の本意ではないですから」
私は力なく椅子の背もたれに身体を預けて天井を見た。
「やっぱり、バレると考えたほうがいいよな」
大量の白い息を吐き出しながら、小さくなった屋根のつららを手で払った。
私とセルケトさんは小屋の裏口を出た所で話していた。
「逃げるにしても、この雪じゃあね」
セルケトは私の腕に手を回してきた。
これは本当に寒いからだろう。私は彼女の肩の手を回した。
問題は降る雪ではなく、積もった雪のほうだ。
どこへ行くにしても足跡が残ってしまう、すべてが後手に回っている。
(とりあえず、相手の出方次第だな)
二人の打合せはそこで終わりとなって、私が小屋の角へ小便に向かった。
最悪、彼女はハニトラ要員だったという所までだよな。
そんな事を考えながら、ズボンを下げた。
じょ~~~
つららで手を洗いながら、裏口へと向きを変えると、いきなり扉が開いた。
「ちょっと!、昼過ぎに来るって話じゃなかったの!」
初めて、セルケトさんの慌てた顔を見た。
居間兼台所に戻ると、玄関のベルが鳴った。
騎士団が来たのは分かっているが、それ以上の情報は無い。
それでも、待たせるわけにはいかない。
愛娘リベリアちゃんが来たかもしれないからだ。
セルケトさんの肩を軽く叩いて、ついでに軽く胸を揉んで玄関へと向かう。
「元帝国七賢者の一人、フィアス・インテグリフ様いらっしゃいますか?」
外から若い男の声がする。
玄関の扉を開けると、新兵は私に一礼をすると右に体をずらして直立不動の姿勢をとった。
「お久しぶりですインテグリフ様。我らが副団長がお見えです」
どうやら新兵ではなく、しかも会った事があるらしい。すまん忘れた。
少し離れてこちらに歩いてくるのが二名いる。
一人は銀色のコートの長身金髪の男。
その背中に長剣を携えた帝国騎士団<北神>副団長、
ガレス・ブレイドは、私を認めると軽く手を上げて会釈をした。
年齢も離れているし立場も違ったので、あまりは話した事はない。
ただし団長はよく知っている。というか腐れ縁に近いものがある。
もう一人は小柄で白いフードを深めに被った白いコートの団員がいる。
雪が不慣れらしく杖、魔法使いか?でバランスを取りながら副団長の後ろを歩いている。
「あの方は騎士団統括本部、リベリア・インテグリフさんです」
新兵は小声で教えてくれた。もちろん教えてくれる前に気が付いているさ、我が娘だから。
二人が小屋の近くに来ると、小さくて白い天使が長くて銀色を追い越して私の前に来る。
そして、フードを上げてリベリア・インテグリフが私に挨拶をする。
「お久しぶりですお父様、いえ、フィアス・インテグリフ様」
愛くるしい声を聞いて思わず目頭が熱くなる。手元を離れたのが14歳だったか。
久しぶりの再会で声が出ない。…ほんとうに可愛い
母親と同じ銀色のミディアムヘアを青いリボンで後ろに束ねてある。
意思の強そうな眉と緑色の瞳、鼻、口は確かに母親によく似ている
声が出ない私の代わりに声を出したやつがいた。
「お久しぶりです、お父様、とりあえず中に入れてもらえませんか?」
後ろから長身のイケメンがさわやかに言う。だが、私はこいつの父親ではない。
なのになぜ、お父様と私を呼ぶ。答えは一つしかないじゃないか。
ここでか、このタイミングでか!心臓がバクバク音を立て始める。
「ガレス・ブレイド!娘はまだ14歳だぞ」
こういう場合、父親は相手を一発ぶん殴って良かったよな。
いや殴った所で意味がない。貴様、少し試させてもらうぞ。
怒りじゃないからな、勘違いするな!
一瞬で右の手のひらに魔法陣が構築されていく。炎の攻撃魔法がもうすぐ発動する。
見せてもらおうか副団長ガレス・ブレイド、その実力とやらを。
それを見て、ガレス・ブレイドはあわてて否定する。
「冗談ですよ、インテグリフ様、娘さんとは何もありませんよ」
「それにお父様、私は17歳です」
コートの前を開けて胸を張るリベリアは、私の記憶より少し大きくなっていた。
「・・・あ、そうか」
私は魔法陣を握り潰すしかなかった。
私も少し冷静になって二人を部屋に招き入れる。
二人は小屋の奥に立つセルケトさんに気が付くが何も問わずテーブルに座る。
テーブルの上のポットから、二人にお茶を淹れる。
私とガレスは、調査済のテーブルを挟んでお茶をすすっている。
身長の差で、私が彼を見上げる形になるのは癪だが。
ガレスは翠色の瞳に穏やかな顔をして私と私の横に座ったリベリアを見ている。
「なぜ私をお父様と呼んだ?」
どうも悪意を感じる。
「同じ姓じゃないですか、単なる区別ですよ」
こういう冗談が好きな奴の顔が急に頭に浮かんだ。
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