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罪032
しおりを挟む俺の名前は佐伯 武
作者の筆記ミスのせいで名前がコロコロと変わってしまった…しがないモブキャラである。
だが、こんな俺も最初は違ったんだ。
このブルームワールドに勇者として迎えられ、姫様と良い関係を築き、つい先日まで順風満帆な日々を送っていた。
そのまま魔王を倒し、姫様と結婚。
子供を産み…ティン国の王として、明るい国、明るい家庭を築く筈だった。
それが何と言う事だ…。
姫様の正体は魔王軍の吸血鬼…。
更に俺は、別の魔王幹部に飲み込まれ危うく死ぬ所だった。
あれ以来…俺は魔族、魔物など「魔」のつくものには恐れをなしている。魔法もそうだ!
魔のつく言葉を聞くと震えが止まらなくなる。
その恐怖を紛らわしてくれるのが酒だ。
もう、酒なしでは生きて行けない身体になってしまった。
「あんた!いつまで寝てるんだい?いい加減働いたらどうだい?」
そう言ってベッドに寝転ぶ俺から布団を引き剥がすのは俺の彼女、ナターシャである。
勇者であった俺のファンで、道に座り込み希望を失っていた俺に声をかけてくれた女だ。
今は彼女の家に住まわせて貰っている。
全てを失くした俺に優しい声をかけてくれるナターシャ。そんな優しい彼女に俺は惑わされ…何度も夜を共にする内に彼女を抱いてしまった。
それから2人は付き合う事となった。
ハッキリ言ってナターシャの見た目は相当なものだ。トロールかドワーフか…その仲間では無いのかと思われても仕方ない程の容姿だ。
俺の2倍はある体型の彼女たが、作る飯は美味く、仕事もしない俺の面倒を見てくれる良い女。
でもな…どうしても容姿が引っかかるんだ。
そのせいだろうか…心が全く満たされないのが本音と言ったところか。
それもこれも…全てはあの男のせいだ!
緑髪の綺麗な女、赤髪ケンタウロスの爆乳の姫、更にはリンゼ姫までもが、あの男の虜になっている。
それだけじゃ無い…!
最近ではピンク色の派手な頭をしたファンキーな可愛い少女に、思わず抱きしめたくなるケモ耳幼女なんてのも引き連れて歩いてやがる。
どれもこれも一級品の美女達だ!
何故だ!何故!あの男ばかりに美女が寄り付く!
羨ましい…いや、そうではない。
これは嫉妬では無いんだ。
これは…これは…元勇者の正義感だ!
あの悪魔が英雄扱いだと?
アイツは怪しい…。何故なら彼の周りに居るのは全て美女だが、その中の数人は人外だ!
きっと人外供を集めて何かを悪巧みしているに違いない。魔王の幹部だった姫様が奴の側に居るのが良い証拠だ。
俺はアイツの本性を暴き出し、いつかきっとまた勇者へと返り咲いてやる!
これはそんな俺の冒険ファンタジーである。
ナターシャから金を借りて…俺は今、ケンタウロス国へと来ている。
真白が住む家は白い豪華な洋館…。
俺が住む六畳一間のレンガの家とは大違いだ。
ケンタウロス国の姫と結婚した財産か?
汚い奴め…どうせ財産目当てで馬女と結婚したのだろう…いや、乳目当てかもしれんな…。
どちらにせよ最低な男だ。
そんな男は成敗してくれる!
元勇者の俺だからだろうか…無性に正義感が疼くぜ。
こっそり奴の洋館を覗き込んでみるが…あの男の姿は見当たらない。
この洋館で何か凄い悪事が繰り広げられていると俺は睨んでいる。
魔王軍の秘密基地…はたまた、世界を牛耳るための革命軍の基地か…。
そんな予感が俺の脳裏を掠めるんだ。
「ん?あんた…そんな所で何してるのよ?」
げっ…こいつは…ピンク頭のファンキー女!
早速、厄介な奴に出会っちまったぜ。
「いや、素晴らしい家だなと思って見惚れていたんだ。」
「ふーん。まぁ、私の家に比べると小さいけど…ここは此処で悪くないのよね。住めば冷奴って言うじゃない?」
「冷奴?都では無いのか?」
「ぷぷぷ。あんた馬鹿なの?都の中に建てた家に住んでいて都って….そんなの当たり前じゃない!もっと勉学に励みなさいよ!良い大人が情け無いわね。冷奴の様にシンプルだけど味わい深いって事なんですけど…ねぇ、聞いてるのおじさん!」
自慢気に語るファンキー少女。
おじさんとは失礼な奴だ。こう見えても俺は24歳。
あの大勇者である聖夜とは一生親友だと語り明かした仲でもあるんだぜ。
訳のわからん事を言う少女だが、不思議なのは発言だけじゃ無い。背中に背負った大きな翼!
あれは何だ?
ファッションなのか?
地球でも羽のついたリュックを背負っていた奴が居たが。あれと同じ様なものか?
「じゃあ、おじさんサヨナラ。とぉーっ!」
「えっ?えーーっ!ええええっ!」
少女は背中に背負った翼をバサリと広げ、拳を突き上げながらスーパーマンの様に空高く天を舞って行ったのだった。
驚いて尻餅をついちまったぜ。
あの翼は本物だったのか…あの少女も化け物だった訳だ。益々、妖しいじゃねーか。
「ん?誰かが洋館から出てくるぞ。あれは…。」
洋館から姿を現したのは、変身を解いた…魔物。
いや吸血鬼だ。くっ、相変わらず良い女だぜ。
もう一度、あの身体を隅から隅まで味いてーな。
しなやかな身体のライン。クーッ、溜まんねーぜ。あぁ、もう一度だけで良い…抱き合いてーな。
いや待てよ。あのヤリマンなら頼めばやらしてくれるかも知れん。要は試しだ。
「よ!よー。姫様!その姿でも美しいな!」
「あら?あなたは?んーと。誰だったかしら?」
おいおい、あれだけ愛し合って夜な夜な抱き合った俺を忘れるとは…大概だな。
チッ…まぁ、良い。
「俺だよ。武!ほら、勇者の武だ!城では良く2人でベッドの上で愛し合ったじゃないか?どうだい?今夜あたりまた俺と一晩。」
「な、な、何を言い出すのかしら?真白に聞かれたらどうしてくれますの!妙な誤解を産む発言はしないで頂けるかしら?」
吸血鬼は頬を赤らめながら照れた様に焦りを顔に出している。
ん?何だ?こんな純情な顔もできるのかよ?
猫被りな女だな。
「あの男に知られちゃ不味いってのか?なら、黙っててやるからよ。どうよ?今晩?」
「今晩?私と今晩何をなさるおつもりですの?」
少し顔付きが変わった吸血鬼。彼女はムッとした表情で話しを続けるのだった。
「あなたが何処の誰かは存じませんが、私はもう、昔の私じゃなくてよ。この身体は真白の物。ほかの誰にも触れられたくなくってよ。分かったかしら?何を期待していのか存じませんが、サッサと消えくださる?昼間っから、家の前で女をベッドに誘うなんて汚らわしくてよ。」
「うっ…。何て女だ。カマトトぶりやがってよ。汚れた体を今更清めても遅セーんだよ。、バーカ。このヤリマン女が!」
「ふっ…そんな事で私が落ち込むとでも思ったのかしら?こんな身体でも、彼は何1つ文句も言わずに綺麗だと言ってくれますの。その言葉だけで私は充分ですの。他の誰に何を言われたても構わないですわよ。じゃあ、私は急ぎの用がありますの。これで失礼しますわね。御機嫌よう。」
良い匂いを漂わせ、颯爽と立ち去る吸血鬼は凛とした面持ちでスタスタと歩いて行った。
チッ…。まぁ。良いや。そもそも化け物と性行為なんて気持ち悪くて後味が悪くなりそうだしな。
それよりも真白の奴、どうやってワガママ姫様を虜にしやがったんだ?
金の力か?それとも弱味を握って….。
その両方か?全くもって解せない男だぜ。
「そうそう、思い出しましたわ。あなた….あの時ゴーレムに私と取り込まれた男ですわね。」
「ひっ….。」
急に背後から声が聞こえる。
姫様の声だ…さっき向こうへ行った筈なのにいつの間に俺の背後に?
「ひっ…なんだ!い、いつの間に?」
振り向くとそこには真っ赤な瞳を輝かせながら、牙を剥き出しにした吸血鬼の姿…。
彼女はすぐさま、全身を無数の蝙蝠に変えたのだった。
俺の周りを飛び回る無数の蝙蝠達…。
「ひっ….うわっ!やめろ!やめろ!」
振り払っても、振り払っても、纏わりつく蝙蝠達…俺は頭を抱えて…地面にしゃがみ込んだのだった。
ひーっ。血を吸われる。やめてくれ…。
「貴様か!怪しい男と言うのは?アビリルに卑猥な言葉を吐いたと言うのは誠か?」
「ひっ….。」
俺の背後から聞こえる女の声…それは姫様の声では無かった。
目を開け顔を上げると…俺に纏わりつく無数の蝙蝠は何処かへ消えて去っていた。
俺は恐る恐る声の方へ振り向く…。やはりというか、そうだ…こいつは…ケンタウロス女。
スイカの様な2つの胸をプルリと揺らし、キュッと引き締まった腰…。エロい…エロ過ぎる。
一度で良いからあの胸に挟まれたい。
何て性欲を唆る胸なんだ。
「き、貴様!どこを見ている。ハッ…さては貴様、私の胸を…頭の中で揉みくちゃにしているのだな?せ、せ、セクハラ!いや、これはもしや…ち、痴漢!なんと言う事だ。すぐ側に旦那様の居る場所で痴漢行為に合うなんて…それを知った旦那様は、私に嫉妬し、汚されたお前の身体を俺色に染めなおしてやる!とか何とか…私の服を引きちぎり…無理矢理に、強引に…ひゃん。これはジェラシーに燃えるレイププレイ…。ひゃん。ダメだ。旦那様、そんな強引に…でも、良い…。あぁん。」
何だ?このケンタウロス女…1人でブツブツと呟きながら、ナヨナヨクネクネと身体をよじらせてやがる。どうした?この一瞬で彼女に何が起こったというのだ?
「おい…お前さっきから1人で何を呟いてやがる。」
「この痴漢男め!乙女の敵だ!私が成敗してくれる!その後は…旦那様と…ひゃん。」
おいおい…痴漢だと?俺が何をした?
ケンタウロス女は背中から弓を取ると俺に向け構え始めた。えっ?それで俺を射抜く気か?
「射手の眼刺し!一本矢!」
「うわぁ、ちょっ、うわあああ!」
神速の速さで俺の身体を掠めた光の矢…。
それは洋館の外堀をまるで豆腐の様に軽く撃ち抜いたのだった。
「ひっ…。うわああああっ。」
俺は死に物狂いで洋館を立ち去った。
危ない女だ…いきなり痴漢扱いの上、悩む事なく俺を射抜こうとしやがった。
まともな考え方じゃねーぜ。
人間なんて死んでも構わねー。
そんな感じだったな。
あんな凶暴な女を嫁にしているんだ…真白の奴…。
人間を殺す洗脳教育でもしてやがるのか?
何て恐ろしい男なんだ。
うっうわっ!
「痛てててっ。」
慌てて走ったせいか、日頃の運動不足のせいか…足が縺れて転んでしまった。
くっそ。足を捻ったか…。
「はわわわっ…あの…大丈夫ですか?」
転んだ俺に手を差し伸べる天使の声…見上げるとそこに居たのは…緑髪の女!
こいつは確か…ティン国で購入したという…掘り出し物の性奴隷!
こんな美女を性奴隷にしやがって、金で人を買うなんざ…とんでもねー男だ。
奴隷なのを良い事に…やりたい放題されてるのだろうな…。何て可哀想な子なんだ。
差し出す手は白く…細く、そして緑の鱗…。
ん?げっなんだこりゃ…鱗?こいつはトカゲ人間だったのか?
うっ…駄目だ。俺は爬虫類が苦手なんだ…。
昔、妹がイグアナを飼い始めた時も…俺は気持ち悪くて…家に居ることを避けた。
そのせいで一人暮らしを始めた程だ…。
「あの…大丈夫ですか?起き上がれますか?」
「ああ、大丈夫だ。1人で起き上がれる。」
ひー。彼女には悪いが触りたくねー。
良く見れば顔にも鱗があるじゃねーか。
うっ…服で隠しているがもしや、身体にも…。
ダメだ…。彼女には悪いが生理的に受け付けない…。あんたは良い人だが…爬虫類系は無理なんだ!すまねーな。
俺は彼女の手を避けるように立ち上がった。
そのまま彼女は差し出した手をそっと引いた。
心配そうな顔で俺を見ているが…性格は優しい女子の様だな。
身体中に鱗さえ無けりゃ、惚れていた所だぜ。
「あの…何処かでお会いしましたでしょうか?」
「あ、いや、余りにも綺麗なんで見とれてしまっただけですよ。」
「はわわわっ…そんな….綺麗だなんて….主人様以外でそんな事言われたの初めてです。折角の告白…有り難いですが…私には愛する主人が居ます。今も主人様の為に腕を鈍らせてはいけないと…ミニバナナを大量に購入して来た所です。」
「そうですか…バナナが好きなんですね。」
「はい…大好きです。これを今から食しながら、思いをはせるのです。ミニバナナ…これを優しく舌で撫であげながら…齧り付く…。すると先端から溢れるのは待ちきれないと我慢なさった愛の蜜…。それを私はペロリと舐め取りますが…ネバリと糸を引きバナナと私の唇が繋がるのは透明な愛の糸。そして私は再度…ミニバナナを口に頬張る。口の中に広がる甘くて卑猥な味。そして、ミニバナナは私の口の中で等々、大きなバナナへと変貌を遂げる。我慢しきれず私の喉元まで押し入ってくるバナナ…。噎せ返る咳を堪えバナナを味わう私の喉奥に苦味のあるピリッとした蜜の味が広がるのです。」
何だ?この女は…何を言っている?
バナナ?バナナは甘いだろうが?なぜ苦味が?
それに何だこの卑猥な表現は…ミニバナナで何をしているんだ?
しかし、良く見るとエロい格好だな。
こんな格好させて、あの男は…好き放題、取っ替え引っ替え女共を抱いているって訳か…。
どうしてだ?何故、こんなにも差が開いちまった?
あいつは悪魔で…俺は勇者なんだぜ?
「クルル!そいつは痴漢だ!気を付けろ!」
「げっ!馬女….追って来やがったのか。」
「はわわわっ….痴漢!主人様以外の人とは御免です!ふぁあああああっ!」
ボーーーーーッ!
「うぐああああああっ!熱!熱ち!うぐああ!」
咄嗟に炎を躱したが…髪の毛が燃えちまった。
何なんだこの女は…口から火を吐きやがった。
こいつも化け物だ!
こいつらみんなまともじゃねー。
逃げなきゃ、逃げなきゃ殺される。
「うわあああ化け物だ!来るな!近寄るな!うわあああ!」
◆◇◇
はぁはぁはぁはぁ…。
何て女共だ…。髪の毛がチリチリになっちまった。
はぁ…。さて、どうするかな。
あんな化け物だらけの家…近寄るだけでも命の危機に陥ったんだ。
あの男には関わらない方が身のためなのか…。
広場にあるベンチに腰掛け…息を整える。
無我夢中で走った。こんなに走ったのはゴーレムに追われた時以来だな。
だが、さっきの化け物女達に比べたらゴーレムなんて大した事ねーな。ほんと可愛いもんだったな。
何故、俺はゴーレムなんぞに恐れていたのか、ほんと馬鹿馬鹿しくなるほどだぜ。
ん?誰かが、大きな声を上げ歩いてくる。
「おい待てよクロネ!お前また真白の所に行くのか?シュガーを見つける気はねーだろ?」
「ボルグ、嫌なら着いて来なくて良いのです!」
「あっ?何だ、いつも俺には愚痴愚痴と小姑の様に文句を垂れる癖によ。自分は何だ?男にうつつをぬかして仕事を放ったらかしやがって。」
ん?獣人の男と少女が睨み合っている。
何だ喧嘩か?
あれは!あの少女は確か…真白と一緒に街で歩いていたケモ耳じゃねーか。
何だおい…。真白との浮気がバレて彼氏と喧嘩って所か?真白の奴…何でもかんでも手を出すからだ。
日本なら犯罪レベルだぜ。ロリコン野郎が…。
というか、可哀想に…まだ幼い少女…じゃねーか。
彼氏は相当お怒りの様だぜ。
こりゃ、一波乱あるな…。
「男の癖に器の小さいフニャチンなのです。文句があるなら力づくで止めれば良いのです。」
「あぁ?そう言えばお前とは小さい頃以来…やりあってねーな。確か…4勝3敗で俺が勝ち越しているっけ?」
「逆なのです。4勝3敗で私が勝ったままなのです。」
「いや、記憶違いだぜそりゃ。俺が勝ち越してる」
「私なのです!」
おいおい…ここからじゃ話の内容は聞き取れねーが、こりゃかなり揉めてやがるな。
真白のせいで、1組のカップルが破局だ。
全くとんでもない女垂らしだぜ。
「重力波!」
「暴風の壁!」
男獣人と女獣人が魔法を行使した刹那、空気が重くなり、風がゴーゴーと音を立てて舞い散る。
ひっ…。何だおいこりゃ…
2人の周りの地面がベコリとヘコみやがった。
それに…すごい風だ!
俺は慌てて石のベンチにしがみついた。
風は2人を中心に大きな竜巻となり、地面にはヒビが迸る。
ひっ…何だこの戦いは…こんなものカップルの痴話喧嘩を通り越して魔王と勇者の戦いじゃねーか。
あの少女も化け物かよ。
ひっ…ひー。飛ばされる。
スゲー風だ!
「うっうわああああああああっ」
◆◇◆
「ん?ちょっと待てクロネ!」
「…?何か叫び声が聞こえたのです。」
2人は魔法を解除し、辺りを見回す。
だが、広場には人っ子独り居なかったのであった。
武が座っていたベンチ…そこには彼の姿はもう無い。
そう、彼は余りの暴風に耐えきれず、風と共に去っていったのであった。
遠くまで風に飛ばされた武は運良く川に落ち、命だけは助かったのであった。
◆◆◆
「ふぁっくしょーん!うぅっ寒い…。」
化け物共め。くっそ。
髪は焼け焦げ…服はボロボロ…おまけにびしょ濡れだ。
このままじゃ風邪を引いちまうぜ。
何か風避けになる物…
そうだ…魔法…久々に使ってみるかな。
「土城壁!」
流石は元勇者である。
武は魔法を行使し、土の壁を作り、それを重ね合わせ小さな土の家を建てたのだった。
ゴーレムにやられて以来、魔法を使うことすら恐れていた武だが、自分の身を守る為、魔法で家を建てたのだった。
その家はブルームワールドでは存在しない近代的デザインであった。
武はそこで身体を乾かし、ティン国へと帰宅したのだった。
◆◇◆
今回の落ち…。
武がようやく家に到着したのは翌日の深夜であった。周りは寝静まった深夜にも関わらず…家の明かりはついたままだった。
武は恐る恐る家の扉を開け中に入った。
そこには武の帰りを寝ずに待ち続け、心配して泣き叫ぶナターシャの姿があったのだ。
テーブルの上には冷めきったスープと無数の手料理…が並べらていた。
ナターシャの容姿は武のタイプでは無いかも知れない…。だが、武はナターシャの泣き叫ぶ姿を見て、こんな駄目な俺にも心配して泣いてくれる女は居る。ずっと待っててくれる女が居たんだ。
そう思ったのだった。
その安心感からか、武の目からは涙が零れ落ちた。
本当の愛を見つけた武。
この後、彼は土魔法を生かしてナターシャと共に建築業を始める。
近代的で画期的なデザインが功を奏して…彼はブルームワールドに名を残す偉大な建築家となるのだが、それはもっと先の未来の話。
今の武には知る由も無かったのだった。
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