「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井

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リリアは昔からどんなに傷つけられても気高かった。
人前で弱さを見せたがらない少女だ。
こっそり泣いている事もあったが、それも偶然知ったくらいだ。

酒場の娘のキャロルも、同様に虐めていた奴らも、リリアの凛とした部分には気づいている。
それが強がりだとしても、弱みを見せまいとする態度に気付かされる。
いくらいたぶっても、リリアに勝ったという気はしなかった。
だから彼はリリアのお願いが腑に落ちる。

「そんなことかよ。あの精霊王と並んで歩けばお前の事なんか誰も見ねえよ。ある意味、無加護なんて見慣れてるしな」

「それじゃあ私のせいでエレスがひどい目にあうかもしれないじゃない」

(そんなわけないだろ)

相手は精霊達だぞ、とブライアンは思ったがリリアの目は真剣そのものだ。

そこにいるだけで畏敬の念を集め全ての人間の頭を垂れさせる存在に、そんな事を心配するなんてどこかズレているんじゃないかとブライアンは思う。

精霊は自分の意思で姿を現したり隠す事が出来るようだが、先ほどの様子からして精霊王はリリアと共に花精霊祭を楽しむつもりだろう。
だとしたら人々の頭はあの美貌の精霊王の事しか考えられないはずだ。
一度会話したブライアン自身も、また精霊王を目の前にすればその存在の事でいっぱいいっぱいになるのは想像できた。

「それに、エレスや大精霊達には姿を隠してもらうつもりよ」

「そうなのか? 一緒に祭りを見て回る気っぽかったけど」

「精霊が人前に姿を現す事なんてそうそうないんでしょう? それにエレス達はどうしたって目立つじゃない。私、この森の小屋で静かに暮らしていたいの。精霊王や大精霊がいるって知られたら、国中騒ぎになるんじゃないかしら」

「あー、まあ騒ぎどころじゃないだろうな」

それこそ、まず国王から招聘がかかる。
下手したらリリアは精霊絡みの罪で死罪になってしまう可能性もあるだろう。

「……分かったよ。ちょっと無理はしてもらうがお前だって分からないようにしてやる。俺が近くでサポートすればまあ、バレないだろ」

「本当? さすがブライアン、いつも大人の前では猫被ってるだけあるわね」

「うるせえよ。それより俺がお前の近くにいる事で精霊達が気を悪くしないようにちゃんと説明しとけよ」

「大丈夫だと思うけど……確かにブライアンは、精霊達に嫌われていたわね」

ブライアンが嫌われているというより、精霊達はリリアだけを溺愛しているのだが、リリアはそこまで分かっていないらしい。
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