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第2幕 逃亡劇の果てに
03
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ベッドにダイブし、ぼんやりと部屋の天井を見つめた。
まだ高一だし、自分には必要ないか。
けど……彼女居たら楽しいのかな?
合コンに行ったからって、できる訳じゃないけど……。
ゆうちゃんみたいな理想的な女の子、中々居ないもんな……。
ゆうちゃん可愛かったなぁ……って、ゆうちゃんは悠斗じゃん!
先日夢でも見た幼い頃を思い出し、黒歴史でも可愛いものは可愛いと顔をにやけさせ、ひとりをいいことにベッドの上を転がり回る。パタンと大の字で仰向けになり、また天井を見上げる。
「悠斗に彼女か……きっとその子は滅茶苦茶幸せなんだろうな。合コン、誘ったら喜ぶかな……」
瞼を閉じると悠斗が笑う姿が脳裏に浮かぶ。親友が喜ぶことは自分も嬉しい。けれど、もし悠斗に彼女ができたとき、自分という存在が悠斗には必要なくなるのだと思うと、寂しいような複雑な気分になり胸に詰まりを感じていた。
知らぬうちに眠ってしまっていたようだ。
目を覚ますと階下から物音が聞こえてきた。
あれ?
誰か居る?
悠斗……来ているのかな?
目を擦りながらリビングに向かう。
「悠斗?」
「あら、居たの? ただいま。あんた寝ていたの?」
「なんだ、おふくろかよ」
「それ、久々に帰って来た母親に言うセリフ?」
「おぉ……久しぶり、そしてお帰り」
悠斗ではなかったと思いつつ、おふくろと夕飯を食べながら話しをしていると、そういえば……とおふくろが思い出したように言う。
「あんた夏休み七月二十一日からよね? お父さんも纏まった休み取れるらしいから、海外旅行にって計画しているけど、行くわよね?」
「えーっ、急すぎだし……。俺はパス! もう高一だし、親と一緒に仲良く旅行なんてないわ。オヤジと新婚旅行気分で行ってくれば?」
「えーー! そんな寂しいこと言わないでよー」
「俺も色々予定あるの!」
話を切り上げ黙々と夕飯を平らげる。海外には惹かれたが家族三人で旅行の図が想像できず、拗ねるおふくろの話を聞き流し部屋へと戻った。
しばらくすると階下で話し声が聞こえ、階段を登る足音がすると俺の部屋の扉が開く。
「瀬菜、ただいま」
「おう、悠斗お帰り。遅かったな。へへっ……お前、俺んちの子みたいだ」
「ん? そのうちそうなる予定だけど?」
「ぶはっ! なんだよそれ!」
俺が突っ込みを入れると、悠斗はニコッと微笑み隣に腰掛けた。
「それはそうと、おばさんガッカリしていたよ?」
「おふくろはほっといていいの。夏休み中に旅行とかって言っていたけどパスした! 宿題とかもきっとわんさか出るだろうし」
「ふふっ、長期で行くみたいだし、ひとりで宿題は大変だもんね」
「まぁ、そんなとこ!」
ニーっと笑い、遠回しに悠斗に宿題を見てねとお願いする。
調子がいいねと言いながら、悠斗の表情が曇っていく。
「瀬菜……明日からなんだけど、本格的に夕涼みの手伝いして欲しいって言われちゃって。朝と夕方拘束されそうなんだ……」
「朝早くて帰り遅いってこと?」
「うん……夕方だけって話だったんだけどね? 人手不足みたいで、ほっとけなくて……」
どうやら女子のお願いに悠斗は陥落したらしい。
「お人好しだな。断ることも覚えたらどうだ?」
「そうだけど、一度引き受けたからには最後まで責任取らないと。それより瀬菜は大丈夫?」
「へっ? あっ、お前! 俺だってやればできる子だなんだぞ!」
「ん? ならモーニングコールも要らないよね?」
悠斗の言葉にウッと声を詰まらせる。
「……そこは……お願いします……」
控えめにお願いをする。ビックリするほど俺は朝が弱い。悠斗に起こしてもらう癖が付いてしまっているから困り物だ。
「ふふっ、時間になったら電話するよ。それだけ言いに来たんだ」
「……もう帰るのか?」
「うん、なに? 寂しい?」
まだ高一だし、自分には必要ないか。
けど……彼女居たら楽しいのかな?
合コンに行ったからって、できる訳じゃないけど……。
ゆうちゃんみたいな理想的な女の子、中々居ないもんな……。
ゆうちゃん可愛かったなぁ……って、ゆうちゃんは悠斗じゃん!
先日夢でも見た幼い頃を思い出し、黒歴史でも可愛いものは可愛いと顔をにやけさせ、ひとりをいいことにベッドの上を転がり回る。パタンと大の字で仰向けになり、また天井を見上げる。
「悠斗に彼女か……きっとその子は滅茶苦茶幸せなんだろうな。合コン、誘ったら喜ぶかな……」
瞼を閉じると悠斗が笑う姿が脳裏に浮かぶ。親友が喜ぶことは自分も嬉しい。けれど、もし悠斗に彼女ができたとき、自分という存在が悠斗には必要なくなるのだと思うと、寂しいような複雑な気分になり胸に詰まりを感じていた。
知らぬうちに眠ってしまっていたようだ。
目を覚ますと階下から物音が聞こえてきた。
あれ?
誰か居る?
悠斗……来ているのかな?
目を擦りながらリビングに向かう。
「悠斗?」
「あら、居たの? ただいま。あんた寝ていたの?」
「なんだ、おふくろかよ」
「それ、久々に帰って来た母親に言うセリフ?」
「おぉ……久しぶり、そしてお帰り」
悠斗ではなかったと思いつつ、おふくろと夕飯を食べながら話しをしていると、そういえば……とおふくろが思い出したように言う。
「あんた夏休み七月二十一日からよね? お父さんも纏まった休み取れるらしいから、海外旅行にって計画しているけど、行くわよね?」
「えーっ、急すぎだし……。俺はパス! もう高一だし、親と一緒に仲良く旅行なんてないわ。オヤジと新婚旅行気分で行ってくれば?」
「えーー! そんな寂しいこと言わないでよー」
「俺も色々予定あるの!」
話を切り上げ黙々と夕飯を平らげる。海外には惹かれたが家族三人で旅行の図が想像できず、拗ねるおふくろの話を聞き流し部屋へと戻った。
しばらくすると階下で話し声が聞こえ、階段を登る足音がすると俺の部屋の扉が開く。
「瀬菜、ただいま」
「おう、悠斗お帰り。遅かったな。へへっ……お前、俺んちの子みたいだ」
「ん? そのうちそうなる予定だけど?」
「ぶはっ! なんだよそれ!」
俺が突っ込みを入れると、悠斗はニコッと微笑み隣に腰掛けた。
「それはそうと、おばさんガッカリしていたよ?」
「おふくろはほっといていいの。夏休み中に旅行とかって言っていたけどパスした! 宿題とかもきっとわんさか出るだろうし」
「ふふっ、長期で行くみたいだし、ひとりで宿題は大変だもんね」
「まぁ、そんなとこ!」
ニーっと笑い、遠回しに悠斗に宿題を見てねとお願いする。
調子がいいねと言いながら、悠斗の表情が曇っていく。
「瀬菜……明日からなんだけど、本格的に夕涼みの手伝いして欲しいって言われちゃって。朝と夕方拘束されそうなんだ……」
「朝早くて帰り遅いってこと?」
「うん……夕方だけって話だったんだけどね? 人手不足みたいで、ほっとけなくて……」
どうやら女子のお願いに悠斗は陥落したらしい。
「お人好しだな。断ることも覚えたらどうだ?」
「そうだけど、一度引き受けたからには最後まで責任取らないと。それより瀬菜は大丈夫?」
「へっ? あっ、お前! 俺だってやればできる子だなんだぞ!」
「ん? ならモーニングコールも要らないよね?」
悠斗の言葉にウッと声を詰まらせる。
「……そこは……お願いします……」
控えめにお願いをする。ビックリするほど俺は朝が弱い。悠斗に起こしてもらう癖が付いてしまっているから困り物だ。
「ふふっ、時間になったら電話するよ。それだけ言いに来たんだ」
「……もう帰るのか?」
「うん、なに? 寂しい?」
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