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龍人の村編
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目を開くと視界が白く霞んでいた。誰かが私の名前を呼んでる。誰だろう……
「目を開けてるが、意識ははっきりしてないね」
「疲労だけが原因じゃないのか?」
「いや、疲労だよ。ただね使った魔法が強かっただけさ。休んでいれば治るよ」
あぁ、ソフィア様の声だわ。
「キュ、キュ」
ドラゴンちゃんが心配しているわ。起きなくちゃ。
「こら、静かにしないか。もう少し寝かせてやろう」
この声は……リュカ様。良かった皆無事なんだ。
「ルナ、目を閉じて。おやすみ」
ソフィア様の声が聞こえた後、ポカポカと体が暖かくなって私はそのまま寝てしまった。次に目を覚ました時、肌寒さに驚いた。うわ、寒い。え?私どんだけ寝てた?
ゆっくりとベッドから出てカーテンを開けると、空からヒラヒラと雪が舞い落ちていた。は?え?確かに雪深いとは聞いていたけど、ナニコレ。
「おや、起きてたのかい」
「あ!ソフィア様。ご迷惑お掛けしました」
「逆だよ。ルナのお陰で村に被害が出なかった」
そう言ったソフィア様が、ここに座れとベッドの端を叩く。素直にベッドに座ると、上着を着るようにと渡してくれた。
「寒いだろう。今朝から雪が降り出してね。リュカとオチビちゃんは出かけているよ」
ソフィア様は、私が寝てる間の事を教えてくれた。私達が魔物と遭遇した場所は村に近く、気づかずにいたら多くの村人が犠牲になった可能性がある。
「リーダーがいる群れでもリュカ一人でどうにかなるけどね。あの群れは普段の倍以上だったのさ」
ソフィア様は私が群れと遭遇してからまだ二日しか経ってないから、リュカ様とドラゴンちゃんは村人と一緒に手分けして他にも大きな群れがいないか確認してくれているらしい。そんなに異常な群れが出るって、この近くで何か起きてるの?
「調査結果が出るまでに時間が掛るだろね」
「そうですか。ドラゴンちゃんに影響はないのですか?」
「それも今のところ分からんね。だから暫くは私が暫くは一緒にいる事になったよ」
「一緒にいる、ですか?」
一緒に暮らしいるのに変な言い方をするなぁと考えていた私は、ソフィア様の次の言葉て納得した。
「そうさ。ドラゴンの保護と護衛でルナと一緒に行くのさ」
「私とって学園に戻る時に、ソフィア様も一緒に村を出るってことでしょうか?」
「そういう事だ。うちの脳筋とは大違いだ」
脳筋って何の話しですか。それより寮は生徒以外入れないし、どうするつもりなのかしら?
「寮は生徒を巻き込む危険があるからね。家を借りたよ」
「え?」
「それと私一人じゃ心配だから、リュカとケビンも泊まれる家にしてある」
「っ!?お、お仕事はどうされるのですか?」
「心配要らないよ。家から通えるさ」
いや、心配します。保護とか護衛とか急に、どうしてそうなったんですか?
状況の変化について行けずにいると、ソフィア様が苦笑いした。
「驚いてるね。こんな事になったのはオチビちゃんの属性が原因なんだよ」
そう言って聞かされたのは、根拠もない噂というか伝説。無属性のドラゴンの血を飲むと不老不死になるとか、龍人と同じ力が手に入ると言われいるらしい。でも、根拠もないのに……
「根拠はないが、まだ産まれて間もない個体は珍しいからね。それだけでも危険なのさ」
「それならドラゴンちゃんを谷に返すことは出来ませんか?」
「説得してみたがね無駄だったよ。ルナの傍から離れたくないってさ」
「そうですか……」
説得が駄目だと聞いて思い出したのは、翁さんとの会話。意地でも付いて来そうと言ったら否定しなかったもの。私が言っても駄目よね。だったら
「ソフィア様、私と契約するとドラゴンちゃんは守れますか?」
「守れるさ。でもね、一度契約すると簡単には解除出来やしない。しかもオチビちゃんは無属。何が起きるか分かりゃしないんだ」
一度、言葉を切ったソフィア様は、真っ直ぐ強い視線を私に向けた。
「ただの同情や一時的な感情で決めるんじゃないよ。契約をすればオチビちゃんの面倒を一生みるんだ。貴族の生活を捨てなくちゃいけない」
「貴族の生活を捨てる」
「そうさ。政略的な関係に利用されない為にも家から離れなくちゃいけない。お前は女の子なんだよ。既成事実を作ろうとする不届き者も出てくるだろうよ」
ソフィア様の言葉を聞いてハッとした。既成事実を作るって、つまり無理矢理結婚まで持ち込んでドラゴンちゃんを利用するって事よね。そんな事、絶対に嫌。
「普通に暮らす事も出来ないだろうね。その覚悟が出来てから契約をしな。勿論、家族にも伝えてからだろう」
「あ、はい。分かりました」
ソフィア様に言われるまで家族の事を考えていなかった事に気づいて反省した。お父様は兎も角、お母様とお兄様には伝えなくちゃ。
「目を開けてるが、意識ははっきりしてないね」
「疲労だけが原因じゃないのか?」
「いや、疲労だよ。ただね使った魔法が強かっただけさ。休んでいれば治るよ」
あぁ、ソフィア様の声だわ。
「キュ、キュ」
ドラゴンちゃんが心配しているわ。起きなくちゃ。
「こら、静かにしないか。もう少し寝かせてやろう」
この声は……リュカ様。良かった皆無事なんだ。
「ルナ、目を閉じて。おやすみ」
ソフィア様の声が聞こえた後、ポカポカと体が暖かくなって私はそのまま寝てしまった。次に目を覚ました時、肌寒さに驚いた。うわ、寒い。え?私どんだけ寝てた?
ゆっくりとベッドから出てカーテンを開けると、空からヒラヒラと雪が舞い落ちていた。は?え?確かに雪深いとは聞いていたけど、ナニコレ。
「おや、起きてたのかい」
「あ!ソフィア様。ご迷惑お掛けしました」
「逆だよ。ルナのお陰で村に被害が出なかった」
そう言ったソフィア様が、ここに座れとベッドの端を叩く。素直にベッドに座ると、上着を着るようにと渡してくれた。
「寒いだろう。今朝から雪が降り出してね。リュカとオチビちゃんは出かけているよ」
ソフィア様は、私が寝てる間の事を教えてくれた。私達が魔物と遭遇した場所は村に近く、気づかずにいたら多くの村人が犠牲になった可能性がある。
「リーダーがいる群れでもリュカ一人でどうにかなるけどね。あの群れは普段の倍以上だったのさ」
ソフィア様は私が群れと遭遇してからまだ二日しか経ってないから、リュカ様とドラゴンちゃんは村人と一緒に手分けして他にも大きな群れがいないか確認してくれているらしい。そんなに異常な群れが出るって、この近くで何か起きてるの?
「調査結果が出るまでに時間が掛るだろね」
「そうですか。ドラゴンちゃんに影響はないのですか?」
「それも今のところ分からんね。だから暫くは私が暫くは一緒にいる事になったよ」
「一緒にいる、ですか?」
一緒に暮らしいるのに変な言い方をするなぁと考えていた私は、ソフィア様の次の言葉て納得した。
「そうさ。ドラゴンの保護と護衛でルナと一緒に行くのさ」
「私とって学園に戻る時に、ソフィア様も一緒に村を出るってことでしょうか?」
「そういう事だ。うちの脳筋とは大違いだ」
脳筋って何の話しですか。それより寮は生徒以外入れないし、どうするつもりなのかしら?
「寮は生徒を巻き込む危険があるからね。家を借りたよ」
「え?」
「それと私一人じゃ心配だから、リュカとケビンも泊まれる家にしてある」
「っ!?お、お仕事はどうされるのですか?」
「心配要らないよ。家から通えるさ」
いや、心配します。保護とか護衛とか急に、どうしてそうなったんですか?
状況の変化について行けずにいると、ソフィア様が苦笑いした。
「驚いてるね。こんな事になったのはオチビちゃんの属性が原因なんだよ」
そう言って聞かされたのは、根拠もない噂というか伝説。無属性のドラゴンの血を飲むと不老不死になるとか、龍人と同じ力が手に入ると言われいるらしい。でも、根拠もないのに……
「根拠はないが、まだ産まれて間もない個体は珍しいからね。それだけでも危険なのさ」
「それならドラゴンちゃんを谷に返すことは出来ませんか?」
「説得してみたがね無駄だったよ。ルナの傍から離れたくないってさ」
「そうですか……」
説得が駄目だと聞いて思い出したのは、翁さんとの会話。意地でも付いて来そうと言ったら否定しなかったもの。私が言っても駄目よね。だったら
「ソフィア様、私と契約するとドラゴンちゃんは守れますか?」
「守れるさ。でもね、一度契約すると簡単には解除出来やしない。しかもオチビちゃんは無属。何が起きるか分かりゃしないんだ」
一度、言葉を切ったソフィア様は、真っ直ぐ強い視線を私に向けた。
「ただの同情や一時的な感情で決めるんじゃないよ。契約をすればオチビちゃんの面倒を一生みるんだ。貴族の生活を捨てなくちゃいけない」
「貴族の生活を捨てる」
「そうさ。政略的な関係に利用されない為にも家から離れなくちゃいけない。お前は女の子なんだよ。既成事実を作ろうとする不届き者も出てくるだろうよ」
ソフィア様の言葉を聞いてハッとした。既成事実を作るって、つまり無理矢理結婚まで持ち込んでドラゴンちゃんを利用するって事よね。そんな事、絶対に嫌。
「普通に暮らす事も出来ないだろうね。その覚悟が出来てから契約をしな。勿論、家族にも伝えてからだろう」
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