[完結]アタンなんなのって私は私ですが?

シマ

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 顔色の悪い二人を無視して殿下は、寮母に書類が届いていない事を伝え、付き添いの部下に配達所の受付記録を早急に確認するように伝えました。

「さて、そこの二人は何故、私の邪魔をしたのか説明して貰おうか」

 静かな怒りを滲ませる殿下は近寄れば斬られそな雰囲気。あーあ、仕事の邪魔をするからこうなるのよ。と呆れた顔で二人を見ていると、ハンソン令息が慌てて私の事を指さしした。

「お、お言葉ですが!こ、この女に国への書類を扱う様な仕事が出来るとは思えません!!」

 良いこと言ったと言わんばかりのドヤ顔に若干……いえ、かなりイラッとしますが、ここは敢えて相手の思うままに語らせ様と思いましたが……

「貴様、彼女を愚弄する気か」

 殿下の怒りに油を注いでしまったハンソン令息は、何故、殿下が怒っているのか理解出来ない様で言葉を詰まらせ視線をさ迷わせています。

「ハウル、お前も座って話を聞いてくれ」

 学園長の言葉に黙って頷いた殿下が何の躊躇いもなく私の隣に座ります。その距離の近さに向かいに座る二人は呆気にとられた様な表情見てしています。まぁ、公式の発表前ですから、その反応が当然なのですが……

「叔父上、彼女に何があったというのですか?」

「今朝、学園の玄関前で、その二人がありもしない虐めを理由に婚約破棄を叫んで騒ぎを起こした。その被害者がアーデン君だ」

「ほう……ありもしない虐めに婚約破棄とは」

 殿下の冷たい視線を受けて震えるハンソン令息だったが、横のウォーレ令嬢は気にする様子もなくどんな虐めを受けたか、どれだけ辛かったかと涙がながらに語っている。殿下が黙って聞いている事で味方に出来ると思ったのか上目遣いで可愛いアピールしたり胸を寄せて色気をアピールしたりと一人で忙しそうだわ。でも、それは殿下にとって悪手でしかないよね。

 ご兄弟と歳が離れている殿下は、花々しく活躍する二人の元で手の届く王族と認識され、幼い頃から令嬢方の猛アピールを受けたせいか女性に嫌悪感を持つようになってしまいました。このままでは結婚どころか仕事にまで支障をきたすと考えた王太子に頼まれて私が一緒に仕事をする事になったのは約三年前。最初の頃の殿下は女性というだけで部屋にも入れてくれないから大変だったわ。私以外にも女性が後継ぎの家はあるので、何としても治して貰わなければいけなかったのですよね。

「……私……辛かったです」

 俯き涙を流すウォーレ令嬢を隣のハンソン令息が慰めハンカチで涙を拭いている。そんな二人を冷めた目で見ていた殿下は、わざとらしい大きなため息を吐き出しました。あー、殿下はかなりお怒りのご様子ですわね。

「話は以上か?」

「ッ!!」

「くだらない。貴様が虐めを受けたと言っている期間、彼女は学園には登校せず私と災害救援と復旧工事に携わっていた」

「え?……し、知りません。私は災害だの復旧だの何も聞いていません!!」

 殿下の言葉を聞いてハンソン令息が慌てて首を横に振って否定しますが、災害復旧対策で学園を休んでいた生徒は私だけではなかったはずです。私が休んでいる事は知らなくても災害を知らないっていうのは無理があるんじゃないかしら?

「婚約者でもない男に休学の報告する必要はないだろう。しかも、この災害は南部の都市複数に渡る大災害。国内で知らぬ者などいないと思っていたが……間違いだった様だな」

 白い顔で視線を彷徨わせる二人に殿下は今回の嵐で起きた災害の規模と損失を大まかに語った。

我が国で年間に消費される食糧の三分の一程が収穫不能。
南部の五つの領で起きた洪水と土砂崩れ。
主要都市間の道路の寸断。
そして、家や仕事を失くした領民への救済。

 多岐に渡る状況把握だけでも数日を要し、騎士団だけでは手に負えず、ギルドへの魔法使いや回復師の応援要請。城や同時に災害を受けた領への連絡。

「そして、今回の災害で一番被害が大きかったのがアーデン領だ。アーデンは我が国一の食料生産を誇る領地。自領が大変な時に学園に通う暇などない」

 ハッキリと殿下が言い切ると、二人は何も言い返せずに黙り込んで俯きました。傍若無人の二人も流石に現役の王族に歯向かう事はしないみたいです。やっと静かになったので私は再び手を挙げて学園長に発言の許可を求めました。

「アーデン君、どうぞ」

「ありがとうございます。ハンソン令息との婚約の話は一年程前に打診が御座いましたがお断りしております」

 確かにハンソン子息との婚約の話はありました。ですが余りにもこちらが不利な条件と子息の学園での成績や素行の悪さ。そして、ハンソン家の借金だらけの経済状況を知ると父は絵姿の確認すらせずに断りましたわ。

「馬鹿な……格上の打診を蹴っただと……」

 随分と驚いていらっしゃいますが、あの内容なら他の方もお断りだと思いますわ。婿入りの為の費用の負担を全額こちらに求めていましたし、領地経営学を修めていない上に学園の成績の下位ですもの。再教育するより他の方を探した方が早いとなりましたわ。


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