[完結]アタンなんなのって私は私ですが?

シマ

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「君は私や学園の事を馬鹿にしているのかな?」

「え?そ、そうじゃなくて、えっと、ほ、ほら!届け出が遅れてまだ書類に書かれていないとかって事ですよ」

 学園長の静かな怒りに気付いたのかウォーレ令嬢が慌てて言い訳をしますが、火に油を注いだだけになりましたわ。先ほど自分で二週間ぐらい前に虐めを受けたのなら既に届け出が成されていなければなりません。
 学園長が最新の公式文書だと言って見せたのは、作成された日付の部分には昨日の日付が書かれていました。

「大体、伝達魔法で即座に情報共有が出来るこの時代に、学園内で必要となる情報が古い等、許される事ではない」

 そうです。学園内では社交マナーの実技を兼ねたパーティーが年に五回、必ず行われます。その時、身内若しくは婚約者がパートナーとして同席するのです。間違っても別人を連れて来たり出来ないよう姿絵付きで登録しなければならない決まりなのです。婚約者同士の場合、姿絵を登録する時に二人並んで登録して、身長差や体格の違いも明確にしなければならない決まりです。そんな事をしてもいないのに婚約者と勘違いするなんて、平民ならまだしも貴族の子息足るものがあり得ません。学園長が呆れて大きなため息を吐き出した時、机の上の通話機から呼び出しベルが鳴りました。来客のようです。

『叔父上、お忙しい所お申し訳ありません。そちらにアーデン嬢がいると伺ったのですが、まだ居ますか?』

「あぁ、いるぞ。込み入った話をしているが急ぎか?」

『至急、書類で確認したい事がありまして、そうですね十分ほどお時間を頂きたいです』

「ならば学園長室まで来てくれ」

『はい、直ぐに参ります』

 通信で話していた相手に心当たりのあった私は、思わず学園長と煩い二人を交互に見ていました。学園長は私と視線が合うと黙って頷いただけでしたが、この二人の前で話しても問題ナシと判断したようですね。間もなくドアがノックされると、書類の束を手に持った男性が入って来ました。

「あ、ご歓談中でしたか。お邪魔してすみません」

「構わん。書類の確認が終わってからアーデン君の事で確認したい事があるが時間はあるか?」

「はい、問題ありません。では先に確認させて頂きます」

 そう言って足早に私の前に来た男性はこの国の第三王子のハウル殿下です。この国の王子は三人いらっしゃいますが、兄弟の仲は良く第一王子は王太子として陛下と共に国営に付き、第二王子は騎士団を纏め第三王子は内政補佐として文官を纏め上げております。

「アーデン嬢、ここ数字についてなんだが、収穫量が例年の三倍になっているのは何故だか分かるかい?」

「はい……ここは領地の西側の沼地を開拓した成果ですわ。こちらのララワンという芋は湿地の方が収穫量が増えると分かり、去年から作付を増やしました」

「成る程、では今年の被害は?」

「差ほど被害はありませんが収穫は二ヶ月程先です。その他の作物も壊滅的でしたが、短期で収穫が出来るイネネは豊作となり来月から収穫と出荷が可能となります」

 ハウル殿下は私の返答に納得したのか頷いた後、新たに別の農作物の収穫についても再開の時期や出荷可能量を確認していきます。本来ならこういった話は現当主の父が対応するべきなのでしょうが領地が遠い為、次期当主である私が代理を勤める事も多々あるため何の問題もなく話が進みましたが良く見ると書類に抜けがあることに気付きました。

「あら?後から提出したはずの書類が足りませんわ。寮に戻った時に追加で手紙と共に寮母に発送を頼みましたが、出し忘れていないか確認しますわ」

「何?それは大問題だ」

 私と殿下の言葉に顔色が悪くなる二人は、殿下が早急に手紙と書類の行方を調査する様に指示を出す事を妨害しようとした。通信機に手を伸ばす殿下にハンソン令息が話し掛けて、ウォーレ令嬢は腕にしがみつこうとして振り払われています。先ず、王族に無許可で触ったり話し掛けてるのは不敬になります。そこまでして止めたい理由を察した殿下は氷の様な冷たい視線を二人に向けた。

「近づくな」

 殿下の一言で二人が動きを止めると、素早く通信機から寮母に確認の連絡をしました。

『アーデン様の書類でしたら国への提出書類を示す浅葱色の封筒に入っておりましたから直接、配達所に持って行く途中でウォーレ令嬢が自分が届けると勝手に持って行ってしまって……』

 通信機から困惑した寮母の声が部屋全体に響きます。寮母は一目で国に関する書類と分かるものを紛失するなんて無いだろうと思い彼女を追いかける事をしなかったらしいしです。まぁ、そうですよね。普通の方なら浅葱色の封筒は国への書類と認識しますものね。でも彼女は……

「あの地味な青の封筒が国への提出書類の目印?……そ、そんなの……知らない」


 知らないみたいですよ。
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