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1件目 さくら色の約束
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「悠人、起きて! 遅刻するよ!」
いつもの声で目を覚ます。カーテン越しに差し込む春の光と、聞き慣れた幼馴染の声。朝倉咲は、俺の家の隣に住んでいて、毎朝こうして起こしに来るのが習慣だ。
「高校三年にもなって、朝が弱いのは変わらないんだね」
制服のリボンをきゅっと結び直して笑う咲の姿は、いつの間にか“子供の頃の咲”じゃなくなっていた。
登校路、俺たちは変わらぬ距離感で歩く。だが、それを遠くから見つめる視線があった。
「悠人、おはよー! あ、咲ちゃんも」
金髪のツインテールが朝日にきらめく。陽キャ美少女・水瀬莉央が飛び跳ねるように近づいてくる。
「相変わらず仲良しだね、二人って。まるで新婚さんみたい」
「ちょ、莉央…!」
そのあとに現れたのは、無口でミステリアスな白川凛。いつも感情を表に出さないけれど、俺にはわかる。彼女が咲を見る目には、ほんの少しの嫉妬が混じっていた。
「三人とも、そろそろ教室行くわよ~!」
ギャル系教師・西園寺まゆが手を振りながら廊下の奥からやってくる。ショートスカートに金色のネイル、見た目は完全に派手だけど、生徒思いで意外と面倒見がいい。
「遅刻は減点だよ~? あと、廊下で告白とかも禁止だからねっ!」
「誰が告白するって…!」
すると後ろから、スタイル抜群の長身美女教師が二人並んで歩いてきた。
「まゆ先生、また軽率な発言を」
黒髪ロングで冷静沈着な氷室理沙先生がため息をつく。
「ふふ、青春って素敵ですよね」
もう一人、柔らかな雰囲気の高嶺紗希先生が微笑む。その視線が、俺と咲にそっと注がれた。
放課後、校舎裏の桜の木の下。
「ねえ、悠人。昔、ここで約束したの、覚えてる?」
「え?」
咲がそっと俺の腕を引いた。
「小学校の卒業式の日。私が“高校生になったら、ここでキスしよう”って言ったの。…忘れた?」
思い出が一気に蘇る。桜吹雪の中、泣きそうな笑顔で言った咲のあの顔。
「覚えてるよ。忘れるわけ、ないだろ」
俺は一歩、彼女に近づいた。
「…じゃあ、約束通り。してくれる?」
桜が舞う中、俺たちはそっと唇を重ねた。
「ふ……っちゅ……っ、んっ、れろっ……、はあっ……、ちゅっ、んっ……ペチョっちゅっ……ふ……ちゅ……っ、んっ……」
ただの幼馴染だったはずの関係は、この瞬間から少しだけ、変わった。
そして、遠くからそれを見ていた莉央と凛、そして三人の教師たちも、それぞれの春の訪れを感じていた——
いつもの声で目を覚ます。カーテン越しに差し込む春の光と、聞き慣れた幼馴染の声。朝倉咲は、俺の家の隣に住んでいて、毎朝こうして起こしに来るのが習慣だ。
「高校三年にもなって、朝が弱いのは変わらないんだね」
制服のリボンをきゅっと結び直して笑う咲の姿は、いつの間にか“子供の頃の咲”じゃなくなっていた。
登校路、俺たちは変わらぬ距離感で歩く。だが、それを遠くから見つめる視線があった。
「悠人、おはよー! あ、咲ちゃんも」
金髪のツインテールが朝日にきらめく。陽キャ美少女・水瀬莉央が飛び跳ねるように近づいてくる。
「相変わらず仲良しだね、二人って。まるで新婚さんみたい」
「ちょ、莉央…!」
そのあとに現れたのは、無口でミステリアスな白川凛。いつも感情を表に出さないけれど、俺にはわかる。彼女が咲を見る目には、ほんの少しの嫉妬が混じっていた。
「三人とも、そろそろ教室行くわよ~!」
ギャル系教師・西園寺まゆが手を振りながら廊下の奥からやってくる。ショートスカートに金色のネイル、見た目は完全に派手だけど、生徒思いで意外と面倒見がいい。
「遅刻は減点だよ~? あと、廊下で告白とかも禁止だからねっ!」
「誰が告白するって…!」
すると後ろから、スタイル抜群の長身美女教師が二人並んで歩いてきた。
「まゆ先生、また軽率な発言を」
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「ふふ、青春って素敵ですよね」
もう一人、柔らかな雰囲気の高嶺紗希先生が微笑む。その視線が、俺と咲にそっと注がれた。
放課後、校舎裏の桜の木の下。
「ねえ、悠人。昔、ここで約束したの、覚えてる?」
「え?」
咲がそっと俺の腕を引いた。
「小学校の卒業式の日。私が“高校生になったら、ここでキスしよう”って言ったの。…忘れた?」
思い出が一気に蘇る。桜吹雪の中、泣きそうな笑顔で言った咲のあの顔。
「覚えてるよ。忘れるわけ、ないだろ」
俺は一歩、彼女に近づいた。
「…じゃあ、約束通り。してくれる?」
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「ふ……っちゅ……っ、んっ、れろっ……、はあっ……、ちゅっ、んっ……ペチョっちゅっ……ふ……ちゅ……っ、んっ……」
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