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12件目 キスの順番キメました
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「あんた、そろそろ決めなよ。誰と付き合うのかさ」
夏の放課後、音楽室に集まったのは、俺と六人の美少女ギャルたち。全員、俺の幼馴染。全員、なぜか俺に好意があるらしい。そして今日、話し合いの場が開かれた。
「決めろって言われても……そんな簡単に――」
「じゃあさ、キスして、決めれば?」
さらっと言ったのは、金髪ツインの莉奈(りな)。中身は強気で姉御肌。言うことがだいたいぶっ飛んでる。
「え?」
「全員、順番にキスするから! 蒼(あおい)が一番“きた”って感じた子を選ぶ。それでフェアじゃん?」
「いや、そんなの……」
「じゃ、うちからな」
聞こえなかったふりをして、ピンク髪ショートの結菜(ゆいな)が俺の前に立つ。昔からよくケンカしてたけど、今はなんだか目つきが真剣で――
「目、閉じて」
言われるがままに目を閉じると、柔らかい唇がそっと触れた。甘く、優しいキスだった。
「次、行くね」
そう言って入れ替わったのは、静香(しずか)。黒髪ロング、普段は無口。でも今日は、何かを決めたような顔をしていた。
キスは、一瞬。だけど、その一瞬にすごく想いが詰まっていた。
「はい、あたし!」
ぐいっと前に出たのは、日焼け肌に金メッシュの夏海(なつみ)。一番長く一緒にいた幼馴染で、毎朝起こしに来てくれるやつ。
「昔の約束、忘れてないよね? じゃ、いくよ」
軽そうに見えて、キスは真面目で丁寧だった。ドキドキする、懐かしい感じがした。
「……次、いい?」
恥ずかしそうに言ったのは、銀髪ストレートの澪(みお)。小さな声と控えめな態度に反して、そのキスは大胆だった。目を閉じてても顔が熱くなる。
「私もいくね~」
フレアピンクの巻き髪、愛香(あいか)は明るくてムードメーカー。でも唇が触れた瞬間、真剣な想いが伝わってくる。
「最後は私ね」
残ったのは、長身モデル体型のレイナ。紫のインナーカラーが印象的で、いつも大人びている。
「一番年上なんだから、印象残さなきゃね」
そう言って彼女がしたキスは、大人っぽくて余裕があって、でもどこか切なかった。
キスが終わって、俺は何も言えなくなっていた。
六人全員のキスには、それぞれの“好き”が詰まっていて、どれも比べられなかった。
「……俺、決められない。全員、大事なんだ」
正直な気持ちを言うと、全員が少しだけ驚いた顔をした。でもすぐに笑い始める。
「じゃあ、今はそれでいいんじゃん?」
「うん。いずれ、選ばせてあげる。あんたがちゃんと、本気で向き合うって決めたらね」
「それまで、全員で“彼女候補”ってことで!」
俺の恋は、まだ始まったばかりだった。
放課後の教室に残った、少し照れくさくて甘い空気。それは、七人だけの秘密の始まりだった。
夏の放課後、音楽室に集まったのは、俺と六人の美少女ギャルたち。全員、俺の幼馴染。全員、なぜか俺に好意があるらしい。そして今日、話し合いの場が開かれた。
「決めろって言われても……そんな簡単に――」
「じゃあさ、キスして、決めれば?」
さらっと言ったのは、金髪ツインの莉奈(りな)。中身は強気で姉御肌。言うことがだいたいぶっ飛んでる。
「え?」
「全員、順番にキスするから! 蒼(あおい)が一番“きた”って感じた子を選ぶ。それでフェアじゃん?」
「いや、そんなの……」
「じゃ、うちからな」
聞こえなかったふりをして、ピンク髪ショートの結菜(ゆいな)が俺の前に立つ。昔からよくケンカしてたけど、今はなんだか目つきが真剣で――
「目、閉じて」
言われるがままに目を閉じると、柔らかい唇がそっと触れた。甘く、優しいキスだった。
「次、行くね」
そう言って入れ替わったのは、静香(しずか)。黒髪ロング、普段は無口。でも今日は、何かを決めたような顔をしていた。
キスは、一瞬。だけど、その一瞬にすごく想いが詰まっていた。
「はい、あたし!」
ぐいっと前に出たのは、日焼け肌に金メッシュの夏海(なつみ)。一番長く一緒にいた幼馴染で、毎朝起こしに来てくれるやつ。
「昔の約束、忘れてないよね? じゃ、いくよ」
軽そうに見えて、キスは真面目で丁寧だった。ドキドキする、懐かしい感じがした。
「……次、いい?」
恥ずかしそうに言ったのは、銀髪ストレートの澪(みお)。小さな声と控えめな態度に反して、そのキスは大胆だった。目を閉じてても顔が熱くなる。
「私もいくね~」
フレアピンクの巻き髪、愛香(あいか)は明るくてムードメーカー。でも唇が触れた瞬間、真剣な想いが伝わってくる。
「最後は私ね」
残ったのは、長身モデル体型のレイナ。紫のインナーカラーが印象的で、いつも大人びている。
「一番年上なんだから、印象残さなきゃね」
そう言って彼女がしたキスは、大人っぽくて余裕があって、でもどこか切なかった。
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「……俺、決められない。全員、大事なんだ」
正直な気持ちを言うと、全員が少しだけ驚いた顔をした。でもすぐに笑い始める。
「じゃあ、今はそれでいいんじゃん?」
「うん。いずれ、選ばせてあげる。あんたがちゃんと、本気で向き合うって決めたらね」
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