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17件目 夜の図書室で、君とキスを
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昼間の喧騒が嘘みたいに静まり返った放課後の図書室。
窓から差し込む夕暮れの光の中、僕は本棚の影で立ち尽くしていた。目の前にいるのは、幼馴染であり、今は三年生の先輩――黒崎イオリ。
長い黒髪に、血の気の薄い白い肌。整った顔立ちはどこか人間離れしていて、「妖しい」という言葉が似合う人だ。
けれど僕にとっては、小さい頃から一緒に遊んだ、ちょっと変わったイオリ姉ちゃんだった。
「ユウ、まだ帰らないの?」
イオリ先輩がゆっくりと近づいてくる。足音はまるで音を吸い込むように静かで、僕の鼓動ばかりが大きく響いている。
「なんで……ここに?」
「ふふ。あなたこそ。もしかして、私に会いにきたの?」
「ち、違……っ」
「そう。じゃあ、私は?」
イオリは僕の頬にそっと指を触れさせた。昔、風邪をひいたときにおでこを撫でてくれた、あの冷たい指先。でも、今は違う意味で心臓がざわついた。
「……私、あなたが好きよ。ずっと前から」
「え……?」
「気づいてたでしょ? それとも、子供扱いされてると思ってた?」
彼女の瞳は琥珀のように揺れていた。近づく距離、息が混ざるほど。僕は逃げる理由も勇気も失っていた。
「イオリ姉ちゃん、俺……」
名前を呼んだ瞬間、唇が重なった。柔らかくて、優しくて、けれど少し寂しげなキスだった。
「……ずっと、待ってたのよ?」
その声には、今まで見せたことのない大人の切なさがあった。
僕が何も知らなかっただけで、彼女はずっと隣にいて、僕の成長を見つめていたんだ。
「ユウは、私をどう思ってるの?」
正直、怖いと思ったこともある。学校では近づきがたい存在で、男子たちからも一目置かれていた。
でも、今目の前にいるのは、昔と変わらない――いや、少しだけ綺麗になったイオリ姉ちゃんだった。
「俺も……好きだよ。ずっと前から。だけど、子供だって思われるのが怖くて」
イオリは目を細め、ふっと笑った。
「大丈夫。キスした時点で、あなたはもう子供じゃないわ」
そう言って、彼女は僕の手を握った。その手の温もりは、どこまでも静かで、確かだった。
「んっ……ちゅっ、んっ、ずっとスキっちゅっれろっ、我慢しててちゅぴっれろっ、あむっちゅっ、だから……っ」
「おねーちゃんにっちゅっ、んっ……、これからもっ、チュッれろれろっあむっちゅぴっ、んっ……、あまえて……ね……?」
「んむ……ふ……ちゅぴっ、れろれろっえろつ、あむっちゅっれろれろっチュッ、んっ……」
**
図書室を出ると、空はもうすっかり藍色に染まっていた。
「明日も、ここで待ってるから」
イオリ先輩がそう言って手を振る。校舎の影に消えるその姿は、やっぱりどこか幻想的で。
でも、僕の唇には、確かに彼女の温もりが残っていた。
あの日、幼馴染と交わしたキスは、僕の世界を一瞬で変えてしまった。
窓から差し込む夕暮れの光の中、僕は本棚の影で立ち尽くしていた。目の前にいるのは、幼馴染であり、今は三年生の先輩――黒崎イオリ。
長い黒髪に、血の気の薄い白い肌。整った顔立ちはどこか人間離れしていて、「妖しい」という言葉が似合う人だ。
けれど僕にとっては、小さい頃から一緒に遊んだ、ちょっと変わったイオリ姉ちゃんだった。
「ユウ、まだ帰らないの?」
イオリ先輩がゆっくりと近づいてくる。足音はまるで音を吸い込むように静かで、僕の鼓動ばかりが大きく響いている。
「なんで……ここに?」
「ふふ。あなたこそ。もしかして、私に会いにきたの?」
「ち、違……っ」
「そう。じゃあ、私は?」
イオリは僕の頬にそっと指を触れさせた。昔、風邪をひいたときにおでこを撫でてくれた、あの冷たい指先。でも、今は違う意味で心臓がざわついた。
「……私、あなたが好きよ。ずっと前から」
「え……?」
「気づいてたでしょ? それとも、子供扱いされてると思ってた?」
彼女の瞳は琥珀のように揺れていた。近づく距離、息が混ざるほど。僕は逃げる理由も勇気も失っていた。
「イオリ姉ちゃん、俺……」
名前を呼んだ瞬間、唇が重なった。柔らかくて、優しくて、けれど少し寂しげなキスだった。
「……ずっと、待ってたのよ?」
その声には、今まで見せたことのない大人の切なさがあった。
僕が何も知らなかっただけで、彼女はずっと隣にいて、僕の成長を見つめていたんだ。
「ユウは、私をどう思ってるの?」
正直、怖いと思ったこともある。学校では近づきがたい存在で、男子たちからも一目置かれていた。
でも、今目の前にいるのは、昔と変わらない――いや、少しだけ綺麗になったイオリ姉ちゃんだった。
「俺も……好きだよ。ずっと前から。だけど、子供だって思われるのが怖くて」
イオリは目を細め、ふっと笑った。
「大丈夫。キスした時点で、あなたはもう子供じゃないわ」
そう言って、彼女は僕の手を握った。その手の温もりは、どこまでも静かで、確かだった。
「んっ……ちゅっ、んっ、ずっとスキっちゅっれろっ、我慢しててちゅぴっれろっ、あむっちゅっ、だから……っ」
「おねーちゃんにっちゅっ、んっ……、これからもっ、チュッれろれろっあむっちゅぴっ、んっ……、あまえて……ね……?」
「んむ……ふ……ちゅぴっ、れろれろっえろつ、あむっちゅっれろれろっチュッ、んっ……」
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図書室を出ると、空はもうすっかり藍色に染まっていた。
「明日も、ここで待ってるから」
イオリ先輩がそう言って手を振る。校舎の影に消えるその姿は、やっぱりどこか幻想的で。
でも、僕の唇には、確かに彼女の温もりが残っていた。
あの日、幼馴染と交わしたキスは、僕の世界を一瞬で変えてしまった。
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