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第六話 押しかけメイドは離さない 6

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「それで、……どーだったの……?」

 甘くも妖しく奈津美さんの一声に、一同の目線が俺に集中したから「どぅゆっ!」てなったが、正直にはどちらも善く出来ていた。

 やはり、開始直前までの予想通りに和式鉄板対高級洋式の闘いが選択し難いくらいに、内容も質も充実していた事は間違い無い。

 しかし、どうしても今後の事や経費面に至っては、高価な食材や光熱費の浪費が激しければ、破産の可能性も無いとは云えない。

 そもそも、奈津美さんの対応力に甘えながら、どの道にしても預ける事になるなら、フォーカス型奉仕は適切なのか。

 そうした意味でも、常に流浪の天使達や急な来客に備えた、充分な用意もあった分が加算されれば、奈津美さんに軍配が上がる。

 紫英流の料理が悪かったわけではなく、あらゆる要素や条件への対応力は今後に活かして、広い視野での行動力があれば尚良し。

 奈津美さんに票を投じた瞬間には、「わたくしでは……御厭ですか……。」と、紫英流の一言がグッサリと貫通してぶっ刺さった。

(おーぃえ?!)

 それでも奈津美さんが少く用意しなければ完食が難しく、フードロスも引き起こすから、コンプライアンス的にも良くなかった。

俺自体に尽くしてくれるのは有り難いし、この数日は実に快適で質は良いけども、他の事にも気を遣えれば本当に分からなかった。

 その後に俺が補足に「他も全部大事だから……。」と、視れば皿はソース以外キレイになっていて、それが何かの証明になったか。

 それが活かせるなら奈津美さんの負担軽減に、家事の一部を担当したり食事の準備等のサポート等、特技なら活かせる場面はある。

 更に奈津美さんをコッソリと確認したら、どこか青い様な顔色がかなり善くなっていて、体調も大分善くなったと見える。

 あとはどうしてもヤロウの部屋に置くのは、何故か毎回忍びないだけではなく、これもコンプラ的に問題かはこれまでのお約束。

 それも紫英流に納得して貰った上で、奈津美さんにはゴマを擦るだけ擦って、やはりお約束に俺は平身低頭を尽くしに尽くす。

 別段にして奈津美さんがこれまでに渋ったことは無く、『もう一人の俺』も有限だが、天使達の手前ではスマートにキマらない。





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