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私は学園から戻るとそのまま執務室に向かいました。
後ろからリーフが付いてくるのが分かります。
あの子は一体何をしているのでしょう?
「お父様……」
「わかった」
執務室に入るとシールドを張り、中の声が外に漏れないようにしました。
執務室に置いてある水晶を見ると、リーフが鍵穴からのぞきこんでいる姿が見受けられます。
「なんて卑しい子なの……」
「鍵穴にも細工をしておいてよかった」
「見てください、何を見ているんですかね?」
「ああ、あれでは王室から連絡があるわけだ」
「そんなにひどいのですか?」
「かなりひどいそうだ」
それはちょっと同情してしまいます。
「おや何か叫びだしたぞ」
「本当ですね」
本当に一体あの子は何しているのでしょう?
レディーらしくない行動をして、余計自分を追い詰めていると思うんですよ。
「何話しているのかしら」
リーフは執務室に向かうアリスたちを付けた。
お嬢様らしくない行為とは思うが好奇心に負け鍵穴から覗き込んでしまった。
すると中ではアリスが起こられているではないか!
「また何かやらかしたんだわ、いい気味だわ」
ニヤニヤ笑いながらリーフは中の様子を眺めた。
その光景がすでに中にいる人間に筒抜けだとは思わずにいた。
気が済んだのかニヤニヤしながら執務室を後にした。
メイドたちは気味の悪いリーフが苦手だった。
すぐに癇癪は起こすし、アリスの物をすぐに欲しがる。
そのせいでアリスはドレスを新調することもせず、リーフのお古をリメイクしてきていたのだ。
メイドたちは悔しかった。
でもアリスが我慢しているのに出しゃばることはできないと我慢したのだ。
メイドたちは知っていた。
アリスが商会を立ち上げて軌道に乗ったのだ。
今ではかなりの売り上げを誇っている。
リーフに知れるわけにはいかないのでベールに包ませている。
リーフが知ればその商会も欲しがるだろう。
だから誰にも見つからない屋敷の奥深くに別の屋敷を建て結界を張り誰も入れないようにしてあるのだ。
そこに入れるのはごく限られた人間だけだ。
リーフ以外は皆知っていること、誰も口には出さない。
アリスのために自分たちができることをするのだと決意しているからだ。
後ろからリーフが付いてくるのが分かります。
あの子は一体何をしているのでしょう?
「お父様……」
「わかった」
執務室に入るとシールドを張り、中の声が外に漏れないようにしました。
執務室に置いてある水晶を見ると、リーフが鍵穴からのぞきこんでいる姿が見受けられます。
「なんて卑しい子なの……」
「鍵穴にも細工をしておいてよかった」
「見てください、何を見ているんですかね?」
「ああ、あれでは王室から連絡があるわけだ」
「そんなにひどいのですか?」
「かなりひどいそうだ」
それはちょっと同情してしまいます。
「おや何か叫びだしたぞ」
「本当ですね」
本当に一体あの子は何しているのでしょう?
レディーらしくない行動をして、余計自分を追い詰めていると思うんですよ。
「何話しているのかしら」
リーフは執務室に向かうアリスたちを付けた。
お嬢様らしくない行為とは思うが好奇心に負け鍵穴から覗き込んでしまった。
すると中ではアリスが起こられているではないか!
「また何かやらかしたんだわ、いい気味だわ」
ニヤニヤ笑いながらリーフは中の様子を眺めた。
その光景がすでに中にいる人間に筒抜けだとは思わずにいた。
気が済んだのかニヤニヤしながら執務室を後にした。
メイドたちは気味の悪いリーフが苦手だった。
すぐに癇癪は起こすし、アリスの物をすぐに欲しがる。
そのせいでアリスはドレスを新調することもせず、リーフのお古をリメイクしてきていたのだ。
メイドたちは悔しかった。
でもアリスが我慢しているのに出しゃばることはできないと我慢したのだ。
メイドたちは知っていた。
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今ではかなりの売り上げを誇っている。
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リーフが知ればその商会も欲しがるだろう。
だから誰にも見つからない屋敷の奥深くに別の屋敷を建て結界を張り誰も入れないようにしてあるのだ。
そこに入れるのはごく限られた人間だけだ。
リーフ以外は皆知っていること、誰も口には出さない。
アリスのために自分たちができることをするのだと決意しているからだ。
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