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幼少期

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 第二王子のジークフリート様が突撃訪問に来てからすぐにお茶会の招待状が届いた。

 招待状が届いてから三日後、俺はおめかしをして馬車に揺られ王城に向かっていた。

 俺は憂鬱な気持ちで外を眺めていたが、唯一の救いはかわいいリオンが一緒と言うことだ。

 「僕の兄さまを呼びつけるなんていい度胸です」

 「一応王様ですよ」

 「兄さまは俺の番です」

 「兄弟で番はありえないと思います」

 「いいえ、番とはそういうものです」

 「そうですか……」

 かわいいけど、たまに着いて行けないところがある弟です。

 お母様は俺があまりにも暗く、行きたくないオーラ―を醸し出していたものだからつい出た言葉だと思う。

 「一度行けば、気が済むと思うので今日だけ我慢です」

 「そうですね。
 兄さまは僕が守りますからね」

 「ありがとう、怪我しない程度にね」

 俺はやる気に満ちたリオンを眺めながらため息をついた。

 どこでどう変わったのか、無口だと思ったリオンはそれはそれは饒舌に俺を口説いてくる。

 両親には相談したが、匙を投げられてしまった。

 「早く領地に帰りたいですね」

 「そうだね、早く帰って思う存分馬を走らせたいよ」

 「兄さまの馬は駿馬ですからね」

 「最近思う存分走れないからかなり拗ねているんだよ」

 貴族のたしなみとして習った乗馬は楽しく、お父様に頂いた馬との相性も良く領地にいた時はよく遠出していたくらいだ。

 「それも後二週間の我慢です。
 それまで乗り切りましょう」

 俺は自分に言い聞かせるように言った。

 いくら前世の記憶があるからと言って、今は子供だ。
 
 それに俺は経理だからそれほど偉い人には慣れていないしな。

 数字には強いけど、偉い人は苦手だ。

 リオンに慰められながら城に着くまで憂鬱な気分だった。

 慰めてくれるリオンを覗き込むとなぜか嬉しそうなのだ。

 俺のかわいいリオンはいったいどこ行ってしまったんだ!

 無口でも俺にべったりで兄たんと言って俺に甘えてくるリオンは本当にかわいかったのに!

 俺のリオンを返せ!

 心の中で思いっきり叫ぶことぐらい大目に見て下さい。
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