トラウマ持ち青年の変な日常

俺、、頑張ったぜ。

　古今東西、自己紹介とは相手に自分の良い部分と悪い部分を教えることになる。

　自己紹介で悪い部分って言ってもパッと思い付く人はいないだろう。

　ただ、思い付く人はそれは心当たりがあるだろう。言葉を終始はっきり言い、自分の名前やこれからの目

標、そして笑顔。これらはいい部分を上手く表していて、悪い部分を見せない隠してるのだ。そしてこの裏と

なるのが悪い部分だ。言葉を上手く言えなくモゴモゴとし、自分の名前は言えるが目標は明確じゃない。表情

も真顔だったり嫌な表情だったら相手に最悪の印象を植え付けることとなる。

　それからは面白いほど誰にも話しかけてもらえない。暫くたって相手に誘われても、自分の周りは皆を分か

っているのに自分は皆のことを何も知らない。暫くたった後じゃもう駄目なのだ。

　今からやるのはその地獄ともある意味面接とも思えることをやるのだ。

　自慢じゃないが俺は目が死んでいる&無表情だ。これじゃあ、俺は不利だ。

　頼れる蓬莱は人を人と思っていない。考えろ俺! 俺はやれば出来る子だろ! 祖父にそう言ってもらったじゃ

ないか!

「これでHRは終わりだ。さて、自己紹介だが私は最後にする。名前順に自己紹介をよろしくな。」

　そう言って、窓の方へ行きアイコスを吸っている。・・・生徒への気遣いなら嬉しい。

　oh………早速自己紹介始まってるよ。どうするどうする!

　『私の名前は不知火 聖と申します。好きなことはゲームをやることとアニメを見ることです。趣味を共有

出来る方とお友だちになりたいですよろしくお願い致します。』駄目だ!何か固い!

　名前順って言ってたよな?今は、、な行か!?やべぇって心不全になっちゃう^~

　考えろ!ほら頑張れ!Never give up!ってテニスの人も言ってたじゃないか!

「えーっと次はそこの君だね。よろしく。」

「ぇ………」

　あ、ああああ心臓がががががが

　皆の視線が集まって余計緊張する!自己紹介駄目でも生きろ俺!!

　そうだ。視線を下げればいいんだ。それで頑張って言葉を言えばいい。それで全員蓬莱って考えれば。

「し……不知火 ひじ…りで……す………えっと………その…………よろしく……お願いしま……す………」

　言えた言えたよ!養母(お婆ちゃん)!

　心の中でガッツポーズを取り席に座ると……

　チッ

　……………もう泣いていい?

「私の名前は蓬莱 沙夜です。よろしくお願い致します。」

　いいなぁ。そうやって言えるの。羨ましい。

　蓬莱が席を立つとこと座るところを男子は目を離さなかった。そりゃ美人だし、胸もそこそこあるしな。

　何か蓬莱の父親になった気分だ。俺は意外と父性があるかもな。

　そんなくだらないことを考えてるうちに自己紹介は終わり、先生の自己紹介となる。

「私の名前は高橋 琴子だ。教師歴3年程度だが教えるのには自信がある。数学を教えるがついてこれない奴に

は放課後ワンツーマンで勉強だ。これから4年間よろしく頼むぞ。」

　放課後ワンツーマンか。わざと0点とか取ろうかな。

「先生ー質問いいすっか?」

「いいぞ。皆も質問してくれ。答えれる範囲で答えるぞ。」

「ありがとうございますー。先生って結婚してるんですか?」

　いきなりだな。

「結婚?してるぞ。今年で5年目だ。」

　……………は? えっえ?さっき教師3年目って。え?高校教師になるには22,23歳は必要だろ?

　22で教師をやってるなら現在25歳、23で教師をやってるなら26歳。結婚して5年目ってことは、20,21歳で

もうしてるってことか!? お幸せに。

「まじっすか!?先生って何歳なんですか?めっちゃ若そうに見えますけど。」

　お前らぐいぐい行くなぁ。てか、女性に年齢を聞くのは失礼って習わなかったのか。俺は小学生3年生の頃

女の子の先輩に成り行きで年齢聞いたらビンタされたぞ。

「あまり答えたくないが、今年で25だ。」

　わっか! すげぇな。大人って。

　次から次へと先生への質問が止まらない。「結婚して一番楽しかったことは!?」「子供は作りましたか!?」

「相手はどんな方ですか!?」「キスはしましたか!?」「今でも愛してやまないですか!?」「指輪見せてくださ

い!」・・・・うるせぇな。それと誰だ、子供は作りましたか!?って質問したやつ。馬鹿か。

　先生も質問に全部答える。俺将来は教師にはならない。

「ふぅ。質問は終わったな。さて、今日も午前授業だからな。明日から本格的に授業を始める。それでは解

散。」

　あーー心の錨が一つ減ったな。19本あるから全部引き上げてくれ。

「自己紹介、頑張ったわね。寮に戻ったらコーヒー淹れてあげようかしら?」

「紅茶で頼む……」

「分かったわ。さて、ここに居ると聖君の肺と私の細胞が汚されるから戻りましょ?」

　疲れたからな。今日はもう紅茶飲んで寝よう。

「ん。そうする。」

「聖君ってホント裏表ないわね。正直なところも好きよ。」

「ありがとう。」

　無表情だと思うが、これでも結構嬉しい。

　俺から離れて、蓬莱はバックを持ち準備OKの合図をとる。俺もさっさと荷物を持って行こう。

「ねぇねぇ、蓬莱ちゃんって言ったっけ?これからカラオケいかない?」

　そう、チャラい男が蓬莱に近づき声をかけてた。だが、それには返事も相槌もしない。ただ、俺と居たとき

とは違う鋭い目付きで立っている。

「なぁ、返事ぐらいしてくれよ。あ、じゃあ、蓬莱ちゃんの寮に行っていい?そこで楽しもうぜ。」

　うわぁ。俺でもこいつの考えが分かるぞ。高校生がそんなことしてはいけないでしょ。

「ん……」

「さぁ行きましょ聖君。」

　一言で通じる仲って良いよね。

「さっきのやつ。お前を誘ってたけど返事ぐらいしても良かったんじゃない?」

「へ?」

　なんだ、その顔。あたかも、そんな人居たの?やだ、全然気づかなかっわ。見たいな顔をして。

「いえ、ごめんなさい。声をかけてた人居たのね。本当に気づかなかった。。」

「そんな……人の声も気づかないぐらい何か考えてたのか?」

「ずっと聖君の方を見てたわ。」

　嬉しいけど怖いな。