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一条君の過去
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あー疲れた。昨日軽い男をおんぶで運んで来たが想像以上に反動がでかい。肩は凝るし、腕と足は筋肉痛。
体を動かすことが痛くて面倒だ。ベッドに寝かせたから俺は蓬莱と何故か一緒に寝る羽目になった。ご奉仕一
週間以来だな。それに掴んで話してくれなかった。幸せだったが寝不足だ。
あいつは俺の30分前にいつも起きる。1時間程睡眠を取れたのはいいことだ。
俺は本来の自室へ行く。
「お、起きてたん……だな………」
「不知火君だよね!おはよう」
・・・・こいつ本当に男か?笑った瞬間ドキッってしたぞ。涙黒子が似合う男なんて早々いない。
「ここは寮だよね?僕の部屋じゃないってことは不知火君の部屋?」
「ん………」
すまないな。俺はまだ慣れてないんだ。
「じゃあ、ここに運んで来たのも不知火君なんだね!ありがとう!」
かわかっこいい、略してかわいい。
コンコン
叩く音が聞こえるとガチャっとドアの開く音が響いた。
「あら?不知火君起きたのね。それにそこの奴も。」
「ああ。」
「えっ!?なんでここに蓬莱さんが居るの!?」
そりゃあ、その反応するよな。学生の女子が男子と同居してるなんて聞いたら誰だって吃驚する。
「私と不知火君は一緒に住んでるの。」
「それっていいの?」
「入学式の日に許可を取ったから問題はないわ。」
「えぇ!?そんな前から!?」
どんどん暴露するなぁ。
「幼馴染みなの?」
「いいえ。」
こいつと幼馴染みだったら人生楽だったかもなぁ。ルナティックな人生からイージーになった人生。前から
出会っていたらトラウマは少なくて済んだかしれない。
「で、出会って初日で同居?」
「まぁ、そうね。」
一条君は唖然としている。
「何よ?悪い?」
針より鋭い目が一条を刺す。それに気付いたのかビクッと肩が動く。頑張れ、死ぬなよ。
「あれなんだね!ラブラブなんだね!」
おっとぉこれは蓬莱にクリティカルが入る。顔が真っ赤に染まったそれはタコを思わせる。
ボンッ、プシュウーと音がした気がする。
「一条と言ったわね、貴方。」
俺は無表情だが瞬時に蓬莱を見る。今、物凄く吃驚してるんだよ。
「そ、そうだけど何で知ってるの?」
「バックを見たからよ。それより、私は貴方を人と認識するわ。何て呼べばいい?」
「一条でいいよ?」
私は嬉しい。漸く蓬莱が二人目の人と認識出来る人が現れたなんだからな。学生生活で蓬莱を一番見てきた
のは俺だろう。だからだろうか?嬉しいんだよな。
「一条君、今日は休みにしといたわ。勿論私たちも。その変わり色々話を聞かせてちょうだい。居間で待って
いるわ。」
急ぎ足で出ていく。ラブラブと言う言葉が余程効いたんだろう、顔を伏せて出ていった。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~ラブラブだってぇ~ラブラブゥゥゥゥゥ~………』
・・・・・・どうやって対処をすればいいあれは。
「えーっと、どうすればいい?」
「い、居間で待ってる……」
振られても困るから俺も急ぎ足で出ていった。
居間では予備の椅子が出ていて蓬莱は紅茶を注いでいた。
表情はにこやかで頬は少し紅い。椅子に座り、紅茶を飲む。・・・・将来、蓬莱と一緒に喫茶店とか開くの
もいいな。
「す、座っていい?」
さっきまでベッドに居た一条が出てきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
お礼を言って歩いてくる。昨日見た腫れは見た目だけではなかった。おぼつかない足取りで歩いてる。余程
酷いことされたんだな。
痛いであろう腕と手を使い椅子を引き座る。
「あの、話を聞くって?」
「そ、その………昨日、何で先輩に…殴られていたんだ?」
顔から笑顔が消える。嫌だろうけど聞かなければ何事も分からない。俺はこいつを気に入った。出来ること
なら解決してやろう、そう思っている。それすら察したであろう蓬莱はニコッと微笑む。その、微笑みの意味
は「私もついているから大丈夫ですよ。」と言うことだろうか。分からないがそんな気がした。
「少し長くなるんですけどいいですか?」
俺は頷き、蓬来もそれに倣うように頷く。
「僕の家庭は僕が産まれてきた時から借金持ちでした。原因は両親の会社が倒産したため。ライバル社によっ
て潰されました。僕を育てるのも一苦労だったと思います。ある程度育つと頻繁に虐待に遭いました。小学校
に入ってもランドセルすら買えないのでそれが原因でいじめられたりもしました。何処にも居場所が無くてそ
れが嫌で家出しました。僕は体力が尽きるまで逃げて尽きた時は全然知らない場所でした。」
こいつも辛い思いしてきたんだな。蓬莱も真剣に聞いてる。
「目を覚ますとまた知らない場所でした。道ではなく建物の中に。するとお爺さんが現れて『道に倒れてたけ
どどうしたの?』と言われ、僕に遭った事を全部話しました。」
「そのお爺さんは僕の父の祖父だったのです。そこからはその祖父と一緒に暮らしました。」
じゃあ、何で昨日のいじめに繋がるんだ?以前の先輩か?
「そして、この学校に入学しあの人に会いました。」
「昨日……の奴、か?」
「はい……」
う~ん。分からん。それがどうして先輩にいじめられる原因になるんだ?
「一つ良いかしら?」
「何?」
「何でそれが寄生虫(先輩)のいじめに繋がるの?」
寄生虫と書いて先輩と読むのか。分からないだろ。ほら、一条君も困惑してる。
「はぁ。その先輩とやらのいじめよ。」
溜め息つくなよ。
「えっとその話にライバル社って出てきましたよね?その社長さんの息子が先輩です……僕を見たことあるの
か一目で気付いたらしいです。」
成る程。その息子とやらは勝ったつもりでいると。潰した上に追い討ちをかけると。
はぁ、しょーもない。
「先輩の名前は?」
蓬莱は不思議な事を聞く。
「えっと……鬼塚 月冴(おにずか つかさ)です。」
「鬼塚ってmark Xのスポーツメイカーの社長?」
「そ、そうです。よく知ってますね。」
そう、と呟く蓬莱。
「あ、ありがとうな………ここに残る、か?」
「大丈夫。自分のところに戻るよ。こちらこそありがとうね。」
今にも転びそうな歩き方で出ていった。
「不知火君、一条君気に入った?」
「まぁな。」
「分かったわ。じゃあ、その先輩潰す?」
は?なに言ってるのこの子は?
ただまぁ、気に入った奴がこんな目に遭ってるなら、先輩とやらを潰すのもいいかもな。
体を動かすことが痛くて面倒だ。ベッドに寝かせたから俺は蓬莱と何故か一緒に寝る羽目になった。ご奉仕一
週間以来だな。それに掴んで話してくれなかった。幸せだったが寝不足だ。
あいつは俺の30分前にいつも起きる。1時間程睡眠を取れたのはいいことだ。
俺は本来の自室へ行く。
「お、起きてたん……だな………」
「不知火君だよね!おはよう」
・・・・こいつ本当に男か?笑った瞬間ドキッってしたぞ。涙黒子が似合う男なんて早々いない。
「ここは寮だよね?僕の部屋じゃないってことは不知火君の部屋?」
「ん………」
すまないな。俺はまだ慣れてないんだ。
「じゃあ、ここに運んで来たのも不知火君なんだね!ありがとう!」
かわかっこいい、略してかわいい。
コンコン
叩く音が聞こえるとガチャっとドアの開く音が響いた。
「あら?不知火君起きたのね。それにそこの奴も。」
「ああ。」
「えっ!?なんでここに蓬莱さんが居るの!?」
そりゃあ、その反応するよな。学生の女子が男子と同居してるなんて聞いたら誰だって吃驚する。
「私と不知火君は一緒に住んでるの。」
「それっていいの?」
「入学式の日に許可を取ったから問題はないわ。」
「えぇ!?そんな前から!?」
どんどん暴露するなぁ。
「幼馴染みなの?」
「いいえ。」
こいつと幼馴染みだったら人生楽だったかもなぁ。ルナティックな人生からイージーになった人生。前から
出会っていたらトラウマは少なくて済んだかしれない。
「で、出会って初日で同居?」
「まぁ、そうね。」
一条君は唖然としている。
「何よ?悪い?」
針より鋭い目が一条を刺す。それに気付いたのかビクッと肩が動く。頑張れ、死ぬなよ。
「あれなんだね!ラブラブなんだね!」
おっとぉこれは蓬莱にクリティカルが入る。顔が真っ赤に染まったそれはタコを思わせる。
ボンッ、プシュウーと音がした気がする。
「一条と言ったわね、貴方。」
俺は無表情だが瞬時に蓬莱を見る。今、物凄く吃驚してるんだよ。
「そ、そうだけど何で知ってるの?」
「バックを見たからよ。それより、私は貴方を人と認識するわ。何て呼べばいい?」
「一条でいいよ?」
私は嬉しい。漸く蓬莱が二人目の人と認識出来る人が現れたなんだからな。学生生活で蓬莱を一番見てきた
のは俺だろう。だからだろうか?嬉しいんだよな。
「一条君、今日は休みにしといたわ。勿論私たちも。その変わり色々話を聞かせてちょうだい。居間で待って
いるわ。」
急ぎ足で出ていく。ラブラブと言う言葉が余程効いたんだろう、顔を伏せて出ていった。
『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~ラブラブだってぇ~ラブラブゥゥゥゥゥ~………』
・・・・・・どうやって対処をすればいいあれは。
「えーっと、どうすればいい?」
「い、居間で待ってる……」
振られても困るから俺も急ぎ足で出ていった。
居間では予備の椅子が出ていて蓬莱は紅茶を注いでいた。
表情はにこやかで頬は少し紅い。椅子に座り、紅茶を飲む。・・・・将来、蓬莱と一緒に喫茶店とか開くの
もいいな。
「す、座っていい?」
さっきまでベッドに居た一条が出てきた。
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
お礼を言って歩いてくる。昨日見た腫れは見た目だけではなかった。おぼつかない足取りで歩いてる。余程
酷いことされたんだな。
痛いであろう腕と手を使い椅子を引き座る。
「あの、話を聞くって?」
「そ、その………昨日、何で先輩に…殴られていたんだ?」
顔から笑顔が消える。嫌だろうけど聞かなければ何事も分からない。俺はこいつを気に入った。出来ること
なら解決してやろう、そう思っている。それすら察したであろう蓬莱はニコッと微笑む。その、微笑みの意味
は「私もついているから大丈夫ですよ。」と言うことだろうか。分からないがそんな気がした。
「少し長くなるんですけどいいですか?」
俺は頷き、蓬来もそれに倣うように頷く。
「僕の家庭は僕が産まれてきた時から借金持ちでした。原因は両親の会社が倒産したため。ライバル社によっ
て潰されました。僕を育てるのも一苦労だったと思います。ある程度育つと頻繁に虐待に遭いました。小学校
に入ってもランドセルすら買えないのでそれが原因でいじめられたりもしました。何処にも居場所が無くてそ
れが嫌で家出しました。僕は体力が尽きるまで逃げて尽きた時は全然知らない場所でした。」
こいつも辛い思いしてきたんだな。蓬莱も真剣に聞いてる。
「目を覚ますとまた知らない場所でした。道ではなく建物の中に。するとお爺さんが現れて『道に倒れてたけ
どどうしたの?』と言われ、僕に遭った事を全部話しました。」
「そのお爺さんは僕の父の祖父だったのです。そこからはその祖父と一緒に暮らしました。」
じゃあ、何で昨日のいじめに繋がるんだ?以前の先輩か?
「そして、この学校に入学しあの人に会いました。」
「昨日……の奴、か?」
「はい……」
う~ん。分からん。それがどうして先輩にいじめられる原因になるんだ?
「一つ良いかしら?」
「何?」
「何でそれが寄生虫(先輩)のいじめに繋がるの?」
寄生虫と書いて先輩と読むのか。分からないだろ。ほら、一条君も困惑してる。
「はぁ。その先輩とやらのいじめよ。」
溜め息つくなよ。
「えっとその話にライバル社って出てきましたよね?その社長さんの息子が先輩です……僕を見たことあるの
か一目で気付いたらしいです。」
成る程。その息子とやらは勝ったつもりでいると。潰した上に追い討ちをかけると。
はぁ、しょーもない。
「先輩の名前は?」
蓬莱は不思議な事を聞く。
「えっと……鬼塚 月冴(おにずか つかさ)です。」
「鬼塚ってmark Xのスポーツメイカーの社長?」
「そ、そうです。よく知ってますね。」
そう、と呟く蓬莱。
「あ、ありがとうな………ここに残る、か?」
「大丈夫。自分のところに戻るよ。こちらこそありがとうね。」
今にも転びそうな歩き方で出ていった。
「不知火君、一条君気に入った?」
「まぁな。」
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