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きっと二度目の恋。
言いたかった言葉。
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あんな事言っておきながら、
実はこれで終わりではない事を、メシアと俺は知っている。
だって、彼に脅されて言えと言われた言葉は、別物だったから。
俺も伝えたい言葉がある。
伝えなくては?でもどうやって。
そう思い、放課後、ティアナの学校で待った。
ティアナは出てこず、時間だけが過ぎると、俺の前には、メシアが居た。
「伝えられなかったんですか」
「―ああ」
「…ティアナさんは、今日は休みですよ」
昨日が雨だったから、風邪でも引いたのかもしれないなと言うと、メシアは「貴方のせいでね」言い残して去っていった。昨日とは全然違う、綺麗な夕焼け。これを、ティアナと見たかった。例え、もう会ってくれなくても、最後に思い出が欲しかった。自分は女々しくて、頼りなくて、それなのに年だけが上だ。徳も無く、ただ生きてきた。
ティアナの家に行くと、母親の目がある。それは困るし、親御さんも何があったかは気になってるかもしれない。
次の朝、ティアナを登下校の途中で待ち伏せして、ストーカーかと自分でツッコむ余力もない。
ティアナは制服を着て、そのまま学校とは違う道へ逸れて行った。お肉やさんでコロッケを買い、一人で川辺で石を拾っては投げて、何度も続かずに、辞めてぼーっとしている。コロッケを頬張り、もしゃもしゃと力なく食べると、今度はごみを捨てて、知らないおばあちゃんと話している。
おばあちゃんやおじいちゃんに好かれるのは、クレハにはない特徴なのかもしれない。
顔を赤らめてる辺り、学校をさぼったのをツッコまれたのか。そんなどうでもいい事を考えつつも、くすりと笑ってしまう愛らしさが、ティアナにはあった。腰の弱いおばあちゃんの手を持ち、親切に家まで案内すると、ナンパや勧誘をバッサリと断っていった。
こうしてみると、クレハとは全然違う一人の人間なんだと実感した。
当たり前だが、ティアナはクレハほど要領がよくなく、努力家なのかもしれない。だからこそ、勉強も伸びるし、素直で負けず嫌いで…コツコツと勉強して、進学校だった俺の高校に入りたいと日夜勉強していた。クレハは要領よく、甘えるし、ナンパや勧誘は俺に断らせていた。だから、努力している人間だからこそ、おじいちゃんやおばあちゃんに好かれ、優しいのもあって、友人も沢山居る。
クレハは友人は居なかった。
女友達は、クレハを嫌い、男友達と呼べるのかも微妙な感じだった。
だからこそ、守りたくなってしまった。
でも、強いはずのティアナが、河原で嗚咽を堪え、泣いてるのを見ていると、それもそれで守りたくなってくる。
クレハの事は過去の事。
そう思っても、
二人の顔はそっくりで。
双子の姉妹を見ているみたいだった。
ティアナに声を掛けようか悩んで、
その自分のエゴと自己表現を押し付けるのか悩む。
それは、愛の告白などではなかった。
交差点の、道路を挟んだ真向かい。
「…ティアナ」
電話を掛ける。ワンコールでティアナの喜んで出た顔が、こちらから見える。
ずきりと胸が痛み、
自分勝手な言葉を並べる。
『―レア!?どうしたの!?』
ズキズキズキン、胸の痛みが徐々に酷くなっていく。
「この間言ったのは、本心じゃない。」
ぱぁっと顔が綻び、『良かったぁ』と可愛らしい乙女の顔になる。
道路を横切る車の音が重なり、『どこに居るの?メシア君にどうせ何か言われたんだよね?』
喜々とした言葉が、蝕む。甘い砂糖菓子に毒が入ったみたいな感覚を頬張ってるみたいだ。
ずっと見てるのすら辛くて、
「言われたけど…そうじゃない。
俺は、好きだった彼女を殺したんだ。」
え、と声を飲むのが分かった。表情は俯いてて見えない。信号が青になって、歩いてくるティアナを追い越す。
雫が落ち、コンクリートの地面にぽつぽつと跡を作った。
これが、俺の残酷な伝えたかった、真実。
伝えたはずなのに、呼吸困難なぐらい心が息をしていなかった。
交差するはずの気持ちがガタリと音を立てて、崩壊した。
実はこれで終わりではない事を、メシアと俺は知っている。
だって、彼に脅されて言えと言われた言葉は、別物だったから。
俺も伝えたい言葉がある。
伝えなくては?でもどうやって。
そう思い、放課後、ティアナの学校で待った。
ティアナは出てこず、時間だけが過ぎると、俺の前には、メシアが居た。
「伝えられなかったんですか」
「―ああ」
「…ティアナさんは、今日は休みですよ」
昨日が雨だったから、風邪でも引いたのかもしれないなと言うと、メシアは「貴方のせいでね」言い残して去っていった。昨日とは全然違う、綺麗な夕焼け。これを、ティアナと見たかった。例え、もう会ってくれなくても、最後に思い出が欲しかった。自分は女々しくて、頼りなくて、それなのに年だけが上だ。徳も無く、ただ生きてきた。
ティアナの家に行くと、母親の目がある。それは困るし、親御さんも何があったかは気になってるかもしれない。
次の朝、ティアナを登下校の途中で待ち伏せして、ストーカーかと自分でツッコむ余力もない。
ティアナは制服を着て、そのまま学校とは違う道へ逸れて行った。お肉やさんでコロッケを買い、一人で川辺で石を拾っては投げて、何度も続かずに、辞めてぼーっとしている。コロッケを頬張り、もしゃもしゃと力なく食べると、今度はごみを捨てて、知らないおばあちゃんと話している。
おばあちゃんやおじいちゃんに好かれるのは、クレハにはない特徴なのかもしれない。
顔を赤らめてる辺り、学校をさぼったのをツッコまれたのか。そんなどうでもいい事を考えつつも、くすりと笑ってしまう愛らしさが、ティアナにはあった。腰の弱いおばあちゃんの手を持ち、親切に家まで案内すると、ナンパや勧誘をバッサリと断っていった。
こうしてみると、クレハとは全然違う一人の人間なんだと実感した。
当たり前だが、ティアナはクレハほど要領がよくなく、努力家なのかもしれない。だからこそ、勉強も伸びるし、素直で負けず嫌いで…コツコツと勉強して、進学校だった俺の高校に入りたいと日夜勉強していた。クレハは要領よく、甘えるし、ナンパや勧誘は俺に断らせていた。だから、努力している人間だからこそ、おじいちゃんやおばあちゃんに好かれ、優しいのもあって、友人も沢山居る。
クレハは友人は居なかった。
女友達は、クレハを嫌い、男友達と呼べるのかも微妙な感じだった。
だからこそ、守りたくなってしまった。
でも、強いはずのティアナが、河原で嗚咽を堪え、泣いてるのを見ていると、それもそれで守りたくなってくる。
クレハの事は過去の事。
そう思っても、
二人の顔はそっくりで。
双子の姉妹を見ているみたいだった。
ティアナに声を掛けようか悩んで、
その自分のエゴと自己表現を押し付けるのか悩む。
それは、愛の告白などではなかった。
交差点の、道路を挟んだ真向かい。
「…ティアナ」
電話を掛ける。ワンコールでティアナの喜んで出た顔が、こちらから見える。
ずきりと胸が痛み、
自分勝手な言葉を並べる。
『―レア!?どうしたの!?』
ズキズキズキン、胸の痛みが徐々に酷くなっていく。
「この間言ったのは、本心じゃない。」
ぱぁっと顔が綻び、『良かったぁ』と可愛らしい乙女の顔になる。
道路を横切る車の音が重なり、『どこに居るの?メシア君にどうせ何か言われたんだよね?』
喜々とした言葉が、蝕む。甘い砂糖菓子に毒が入ったみたいな感覚を頬張ってるみたいだ。
ずっと見てるのすら辛くて、
「言われたけど…そうじゃない。
俺は、好きだった彼女を殺したんだ。」
え、と声を飲むのが分かった。表情は俯いてて見えない。信号が青になって、歩いてくるティアナを追い越す。
雫が落ち、コンクリートの地面にぽつぽつと跡を作った。
これが、俺の残酷な伝えたかった、真実。
伝えたはずなのに、呼吸困難なぐらい心が息をしていなかった。
交差するはずの気持ちがガタリと音を立てて、崩壊した。
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