見えない明日に揺れる僕たちは

多田莉都

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第6章

ダンスイベント 3

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 教室に戻ると、真ん中ぐらいの席に二人の女子生徒がいた。
 彩夏と先に学級委員会から戻っていた柚葉だった。学校が貸与してくれているノートPCに柚葉が何やら打ち込んでいるようだった。

「遅くなってごめん、濱田先生と話してた」
「あ、うん。大丈夫だよ。いま参加希望を出してくれた人、まとめてたとこ」

 画面をのぞきこむと、Excelに表が作られていて名前ややりたいこと、部活経験なんかが入力されていた。
 今後やらなければいけないTODOリストなんかも別シートに作ってくれているらしい。
 柚葉とは一学期から学級委員を一緒にやってきた。わかったことは、柚葉はタイピングが異常なぐらいに早くて、資料まとめが本当に早くてキレイだということだ。
 
「いま何人ぐらい?」
「踊るよって言ってくれたのは、まださくらだけかな。あ、私を入れれば2人。ダンスじゃない部分も協力してくれるっていう人もいるよ」
「たとえば?」
「絵理沙は衣装とか手伝いたいって言ってくれてる。あと……蒼真は裏方やってくれるって。お兄さんが音響とか詳しいらしくて手伝いをお願いするって。これは大きいと思う」
「おおマジで? 律くんか」
「律くん?」

 彩夏が首を傾げる。

「彩夏は知らないかもだけど、蒼真の兄ちゃん。高校で軽音やってるからなぁ。すごい戦力だよ」
「わ、それはすごい!」

 バスケ部の中里蒼真には2つ上の兄・律樹がいる。小学校の頃から僕も知っている人で僕は「律くん」と読んでいる。
 高校では軽音部に入っていて、去年は律くんの通う高校の文化祭に行き、ライブでギターを弾いているところを観にいった。音響は僕がど素人の部分なので律くんが手伝ってくれるならすごく嬉しいことだ。

 衣装にしても僕のセンスじゃろくなものにならないので、絵理沙がいるのも助かる。絵理沙はこのクラスで一番といっていいほどのおしゃれな子で、しょっちゅう服や靴などを買いに行っていると美咲から聞いたことがある。

「私たちだけじゃできないとこだから嬉しいよね。何にしてももう少し人数がほしいよね」

 と柚葉は腕組みをしながら言った。
 
「そうだなー。ま、今日言ったばっかりだしな。いきなりは集まらないよ」

 僕の言葉に柚葉も「そうだね」と頷く。僕は学級委員会に持っていっていたクリアファイルと筆記用具を自分の机に置く。

「今週いっぱいは待てばいいよね?」

 背後からの柚葉の声に「それでいいと思う」と応えながら、僕はひとつ別のことを考えていた。

 柚葉がまとめてくれていた参加希望のリストで気になることがあった。
 
 こういうイベントなら参加するとすぐに言ってくれそうな奴の名前がなかった。彩夏とも仲がいいし絶対に乗ってくれると思っていたのに。
 
 待っていればいいことなんだろうか? と自分に問いかけてみても答えが出なかった。
 
 美咲の名前はそこにはなかった。
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