禿げブサメン、その正体が超優良物件だったという話

革酎

文字の大きさ
40 / 65

40.バレてしまったリゾート自宅

しおりを挟む
 その週末、源蔵は晶と美智瑠を自宅に招いて、最初の土日講習を開催する運びとなった。
 が、どういう訳か宅内は必要以上に騒がしい。
 というのもこの日、美智瑠は折角だからと意味不明な理由で早菜と詩穂、更にはリロードでのアルバイトを早上がりした冴愛までをも連れて源蔵宅を訪れてきたのである。
 試験勉強は広いリビングで進めるから良いとして、余計な来客三名はというと、源蔵宅内を自由気ままに歩き回り、かなり好き勝手に過ごしていた。
 まず早菜だが、彼女は二階部の一室から、

「楠灘さーん! ルームランナー、お借りしてイイですかー!」

 とスポーツウェアに着替えた上で呼びかけてきた。
 美智瑠が事前に源蔵の宅内施設を聞き出していた為か、この日来訪した女性は全員、スポーツウェアや薄手の部屋着、更には下着の着替えなども一式用意してきたというのである。

(もうホンマに、何しに来てんのよ……)

 源蔵は晶と美智瑠に情報処理資格試験の説明を行う傍ら、軽い頭痛を覚えていた。
 早菜が足を踏み入れているその部屋は、源蔵がプライベートジムとして設備を整えた一室であり、彼女がこれから使おうとしているルームランナーの他にベンチプレスやウェートマシン、エアロバイク、サンドバッグなどの諸々一式が揃っている。
 壁際にはサブスク契約を導入した4Kテレビも設置してあるから、映像や音楽を楽しみながら気軽に汗を流すことが可能となっていた。
 次いで別の部屋からは詩穂が、

「マッサージチェアー、お借りしますねー!」

 と、こちらも薄手の部屋着に着替えた上で声を飛ばしてきた。
 現在彼女が居る部屋は超高級マッサージチェアや足つぼマシン、その他色々な種類のマッサージ用家電が数多く揃っているリラックスルームだ。

「んほぉぉぉ……き、効く~……!」

 ドアを開けっ放しにしているのか、マッサージチェアに身を委ねている詩穂がまるで天国にでも昇天するかの様な変な声を垂れ流してきた。
 そして冴愛はというと、

「サウナだー! すっごーい!」

 などと叫びながらバスエリアへと特攻をかましていった。
 源蔵宅のバスエリアにはミストサウナとドライサウナの二室が完備されており、そのすぐ隣にはジャグジーバスと檜風呂が並んでいる。
 このバスエリアにはパノラマビューのガラス窓が張られており、東京都心方面の夜景を眺めながら入浴を楽しむことが可能だった。

「わー、イイなー……皆、楽しそー……」

 高級なデザイナーズダイニングテーブル上で参考書と問題集を開きながら、美智瑠が遊びまくっている早菜、詩穂、冴愛の嬌声に羨ましそうな顔を向けていた。
 が、今日は飽くまでも勉強会だ。
 試験に臨む以上はしっかりと学んで貰わなければならない。

「ほらほら、集中して下さいよ。遊んでる場合やないですからね」

 源蔵に注意された美智瑠は、仕方無さそうに生返事を返しながら手元の参考書に視線を戻した。
 一方の晶は源蔵に何かいわれるまでも無く、最初から試験勉強に全神経を注いでいた。矢張り彼女は自身が抱えている事情をよく分かっている。
 ここで手を抜こうものなら、その結果が全て自身に跳ね返ってくることを誰よりもよく理解している様子だった。
 この日の勉強会は、三時間を予定していた。
 それ以上は集中力と記憶力がどうしても維持出来ないと判断した為、三時間で上限を切った格好だった。
 尚、この勉強会が終わった後には、美智瑠もサウナとジャグジーバス、更にはマッサージチェアでじっくり体を休める腹積もりらしい。

(まぁ、別にエエんやけど……)

 源蔵は内心でやれやれと吐息を漏らした。
 そしてどうせなら、折角なので晶にもひと通り楽しんで貰おうと考えていた。彼女だけ諸々の設備を利用させないというのも、それはそれで不公平であろう。
 やがて予定の三時間が過ぎたところで、源蔵は夕食の準備に取り掛かった。
 結構な人数が居るということもあって、今宵はプチディナーコースを手掛けてやろうと考えた。
 その間、女性客五人はそれぞれの部屋で好き勝手に自由な時間を楽しんでいる。
 彼女ら曰く、源蔵宅は隠れリゾート施設だということらしい。

(いや……普通にただの個人宅やねんけど)

 そんなことを思いながら、源蔵は手早く調理を進めていった。

◆ ◇ ◆

 プチディナーコースに招かれた五人の美女達は、ダイニングルームから望む東京都心の夜景に感嘆の息を漏らしながら源蔵の手料理に舌鼓を打っていた。

「あぅ~……帰りたくないよ~……楠灘さん、アタシのお嫁になってくれませんかぁ?」

 源蔵がワインセラーから持ち出してきた最高級のボジョレーをがぶ飲みしながら、美智瑠が切々とした表情で訴えてきた。

「何しょうもないこというてはんのですか。明日もあるんですから、さっさと風呂入って寝て下さいよ」

 この日、招かれた女性五名は全員、源蔵宅に泊まってゆくことになっていた。
 客室として用意してある和室には五組の布団を敷いてある。彼女らにはそこで夜を過ごして貰う予定だ。

「オーナー、何気にハーレムじゃん。より取り見取りだねー」

 冴愛が意味深な笑みを寄せてきたが、源蔵は相手にはせずに、デザートのアイスクリームの準備に取り掛かった。

(勉強会やっていうとんのに、完全にリゾート気分になっとるがな)

 内心でぼやきつつ、それでも彼女らの自由にさせているのは、客として受け入れた以上は心行くまで楽しんで貰いたいという変なホスピタリティが働いた所為でもあった。
 やがてディナータイムも終わり、後は入浴などを済ませて就寝時間へと雪崩れ込むだけである。

「楠灘さーん! 一緒にお風呂入りましょうよー!」

 バスエリアの脱衣所から美智瑠が呼びかけてきたが、源蔵は洗い物やその他諸々に着手していた。

「もうエエからさっさと入って下さい。僕はやることようけあるんで」
「えー、ざんねーん」

 その後、晶とふたりで嬌声を撒き散らしながらミストサウナへと飛び込んでいった模様。

(今日は寝る時、ベッドルームに鍵かけとかなあかんな……)

 物凄く嫌な予感がした。
 就寝の際には彼女らに邪魔をされぬ様に、警戒には警戒を重ねておいた方が良いだろう。
 ただの勉強会で終わらせる筈が、気が付けば女子五人による都内プチリゾートお泊り会と化していた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...