●婚約破棄ですって…!!でしたら、私に下さい!!●

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★デビュタント〜準備編〜★

地獄のストレッチ〜セイラside〜

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セイラside


今日からデビュタントに向けて本格的な準備が始まる。
ドレスのデザインはなんだかんだルッスーリアと意気投合したのもあり、耐えられたわ。
あぁ…今度ルッスーリアにクジャークの髪留めを作ってもらうことになったのは2人には内緒よ。
2人にバレたらなかったことにされそうだもの。
まあ、その話はまた今度…ね。


それよりも問題はこの後なのよね。
私の何よりも大嫌いなシェイプアップ。
なんでそんな嫌うのかって??
そんなの簡単よ。
何を隠そう、私は大の運動音痴なのよね。自分でもびっくりするくらいに。
なにも最初は私も自分が運動音痴だなんて思ってなかったのよ??
むしろ、運動神経は良いと思ってたくらいだもの。
エトワール辺境伯領は魔の森と隣接しており魔獣が出没しやすく、何かあった時のために男性はもちろん女子供もある程度は護身できるくらいには戦えるくらいだもの。
なら、何故自分が運動音痴だと自覚したのかって??
…皆には内緒よ??…実はね、私自分で魔獣を狩ったことがないのよ。
魔獣を追いかけていたつもりなのに、いつのまにか自分が追いかけられていたわ。不思議よね。
木の陰に隠れて魔獣の隙をつこうとしたときには、足元の木の根に躓いて思い切り顔からスライディングしたこともあったわね。
あのときは、気まずかったわ。
だって、狩られるはずの魔獣まで反応に困ったような素振りをするんだもの。
あぁ、中でも1番ヒヤッとしたのは木剣で訓練をしようとした時ね。
木剣を振り下ろした瞬間…気がついたらあるはずの手の中に木剣がなかったのよ。
振り下ろした勢いで手からすっぽ抜けて、運の悪いことに近くを通りかかったお父様の後頭部に直撃していたわ…。
お父様は倒れるし、お母様とお姉様にはこっぴどく叱られるしで災難だったわ。
他にも挙げたらキリがないわね。
そんなこんなでルリやルカからも運動音痴の烙印を押されたのよね。
お父様の件の直後ということもあり、さすがの私も反論の余地はなく、認めざるを得なかったわ。


ここまでは、まだいいのよ。
運動音痴とはいえ、身体を動かすこと自体は好きな方だもの。
ただね、前にあまりの運動神経の無さに危機感を覚えたルリに一時期シェイプアップという名の拷問を受けたことがあるのよ。
あの時はシェイプアップ目的というよりは筋トレがメインだったけれど…それはもう酷い目にあったのよ!!
ルリってば日頃の鬱憤を晴らすかのようにすごく良い笑顔で腹筋200回とかやらせてくるのよ!?
運動音痴の私は1回でもキツいっていうのに…終えるまでご飯抜きなんていうのよ!!
さすがにあの時は200回もこなせなくて50回で許してもらったけれど…もう2度とやりたくないわ。
ルカはルカでルリを止めてくれるでもなく、私が筋肉痛の痛みでプルプル震えているのを笑いながらツンツンつついてくるのよ!?
あの恨み、忘れてないんだからね!!


まあ、そんなわけで、私はシェイプアップって言われると拒絶反応が起きるくらい嫌いなの。
なのに、今回は朝食のときにお母様とデビュタント準備をしっかりすると約束したのもあって逃げられなくなってしまったわ。
お母様を怒らせると本当に怖いのよ…。


そんなこんなで諦めてシェイプアップするしかなくなってしまったの。
けどね、黙って拷問される私じゃないわ。
ふふっ…見てなさい!!ルリ!ルカ!
あのときの恨み、ここで晴らしてあげるわ!!
完璧にやり切って絶対2人にぎゃふんと言わせてやるんだから!!


なになに…最初は股関節のストレッチからね。
片膝を折り曲げて軽く持ち上げる…あれ?おかしいわね。真っ直ぐ立てないわ。そもそも人間、片足で立つなんてできないわよ!!
バランスを取るには…そうよ!飛び跳ねねばいいのね!!
おお!!これならなんとか片足で立てるわ!!
ふふっ…今回の私は一味違うのよ。
これで良いかとルリに聞いたところ、2人とも頭を抱え出した。
どうしてかしら??
ルリもその場で飛び跳ねろなんて言ってないだなんて…飛び跳ねずに片足立ちなんてできるわけないのに変よね。
そう思っていたら、ルリから次のストレッチの指示が入ったわ。


お次は…肩甲骨のストレッチね。
両肩に手を添えて両肘を内回し、外回しに10回づつ。
これは知ってるわ!!うちの領地の人間が訓練してるのを見たことあるもの!!
…たしか、肘打ちって言ってたわ!!
あれ?内回しと外回しって何だったかしら…まあ、これで間違いないし良いわよね!!
10回づつ終えた頃には妙な達成感を感じてたわ。
2人とも私がやり切れるなんて思っていなかったのでしょうね。
顔を見合わせて驚いているわ。


次は…いよいよ体のストレッチ…いよいよ最後なのね!!
立って右手を持ち上げ上体を左に倒す。
これを反対も各10回づつね。
何故か最後だけルカが補助をすることになり、姿勢を作る手伝いをしてくれたわ。
ふむふむ。後はこのまま上体を左に倒せば良いわけね。
最後ということもあり、気合いを入れて上体を倒したところ、ドスっという大きな鈍い音が聞こえたと思ったら、補助してくれていたはずのルカが床に蹲って悶えていたわ。
一体何が起きたのかしら??


不思議に思っているとルリから今日はここまでで続きは明日という声が掛かったわ。
今日はストレッチだけでいいみたい!!
やったわ!!
きっと私が完璧にやり切ったから2人とも驚いて早めに切り上げたのね!!
ふふ…2人の間抜けな顔が見れて満足だわ!!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

実はお嬢様、全て完璧にやり切ったと思ってました。
実際はほぼほぼ間違っていましたが。





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