●婚約破棄ですって…!!でしたら、私に下さい!!●

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★デビュタント〜準備編〜★

ドレスのお披露目

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「それでは…気を取り直して…
こちらがセイラお嬢様よりご注文いただきましたドレスになります。
どうぞ、ご確認ください。」


ルッスーリアがトルソーにかかった布を取った。
瞬間、4人はさぞ安心したことだろう。


トルソーに着せられているドレスは、
デビュタントに相応しい純白のプリンセスラインのドレスだった。
デコルテが美しく見えるよう折り返しでオフショルダーになっており、遠目から見るとリボンのような形にも見える。
そこにパールを少し散りばめ華やかさが出されている。
ウエスト部分にも少し大きめなリボンが縫い付けられており、スカートの裾にも繊細なレースとフリルがあしらわれている。
どこからどう見ても可愛らしいデビュタントドレスと言えよう。


「わあ、とっても可愛らしいわ!!」


「あら、セイラちゃんにとってもよく似合いそうな可愛らしいドレスね!!」


「ええ、セイラに可愛らしい雰囲気にも合っているわ。」


セイラの感嘆の声とアリスとクロエの称賛の声が上がる。
そんな2人の言葉にデザイン作成時に同席していたルリとルカは安堵の息を吐いた。


"お嬢様の暴走をお止めするのは大変でしたが、ちゃんとしたドレスが出来上がってよかったです。(~)"


と心の底から思った2人であった。


「お気に召されたようでよかったです。
サイズの確認もさせていただきたいので、ご試着されてみてください。」


「ええ。ルリ!ルカ!お願いね。」


そういい、2人を連れ試着をしにいった。


~試着中~


「今朝はどうなることかと思ったけれど、ちゃんとしたドレスで安心したわね。」


「そうですね。セイラのことですからまた魔獣満載のドレスを仕立ててくるかと心配しましたもの。」


「さすがにデビュタントでそんなものオーダーする令嬢はいませんよ。」


「そうですよね。心配のしすぎでしたね。」


なんて会話をしているアリスとクロエに渋い表示をするルッスーリア。
そんなルッスーリアがたまたま視界に入り問いただそうとするクロエだったが…
先に試着をしたセイラが戻ってきてしまい、聞けずじまいで終わってしまった。


「お母様、お姉様、いかがかしら??
なかなか可愛いらしいと思うのですが…」


珍しく頬を赤らめながらモジモジと反応を伺ってくる。
そんなセイラは家族の贔屓目なしで見てもとても愛らしかった。


「ええ。とってもお似合いよ。セイラちゃん。」


「これでしたら、すぐに良い婚約者候補の方が見つかること間違いなしですわ!!」


これまた珍しく2人が食いつき気味で言ってくる。


「本当ですか!!よかったです!!
実はこのドレス、ビックカイーコの繭からとったシルクを使って作っているんです!!
ビックカイーコの繭からとるのは初めての試みでしたので少し心配でしたが…無事に出来上がった安心しましたわ!!



バッ


効果音が聞こえてきそうな勢いで全員がルッスーリアを振り返る。
ルッスーリアは気まずそうに視線を逸らしている。


「しかもです!このビックカイーコからとったシルクは強度があり、いかなる攻撃も防げるんですのよ!!
デビュタントで魔獣の奇襲にあっても安心ですわ!!」


「…セイラちゃん。デビュタントが行われる王城は騎士たちが頑丈に警備されてるわ。
王都の中心にある王城に魔獣の奇襲などありえないわよ。」


「えっ!でも…何があるかわかりませんし。」


「なにもありませんからね。」


笑顔のはずなのにアリスの目が笑っていない。


「まさか他にも魔獣を使ってないでしょうね??」


「「………………………………」」


セイラとルッスーリアが顔を青ざめながらお互いを見やる。


「その様子だと他にも使っているようね。
全部言いなさい。」


クロエがバサっと扇を広げながら言う。


「実はレースも…ダークスライダーの蜘蛛の糸から作っています…。」


「「はぁ…」」


こうなることは予想はしていたが、まさかな…とは思っていた。
簡単なデザインの装飾など変更するだけならなんとかなるが、生地から手に入れ直すとなるとデビュタントまでもう間に合わないだろう。


アリスとクロエはアイコンタクトをして頷いた。


「もうこのままいくしかありません。
幸い、魔獣を使っていると言われなければ分かりませんので…セイラ、絶対に当日は魔獣ドレスなどと口にしてはいけませんよ。」


「じゃないと、本当に魔獣を義弟と呼ばなくてはいけなくなるわ!!
絶対に口にするんじゃないわよ!!」


お母様の言うことはともかくお姉様の言っていることにハテナを浮かべながらも大人しく返事をするセイラ。


「はぁ…今日一緒に確認しておいてよかったわ。
昨日の話が実現するところだったわ。」


「これからもセイラのすることには気を配らなければなりませんね。」


「ええ。」


頭を悩ます2人であった。




~~~おまけ~~~


「ところで、そちらにらある箱はなにかしら??」


ギクっ


そそくさと2人の視線からある小さな箱を隠そうとしていたセイラとルッスーリアであったが、時すでに遅し。
クロエに見つかってしまった。


「これは…その…」


歯切れの悪い返事をするセイラにピンときたのかアリスが中身を見せるよう言った。
アリスがこれ以上激怒しないよう、おずおずと箱の中身を見せた。


「…セイラちゃん!!これはなんなんですか!!」


アリスの声が響き渡った。


「こ…これは、クジャークの羽の扇で…前から欲しかったのを作ってもらったんです!!」


半泣きでいうセイラ。


「これは没収です!!
セイラちゃんは1人で物を買うのはしばらく禁止しますからね!!」


楽しみにしていたクジャークの扇を取られて崩れ落ちるセイラであった。
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