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★デビュタント〜準備編〜★
デビュタント前夜
しおりを挟む時は経過し、
デビュタントを明日に控えたセイラ。
そのため、父も仕事を早く終わらせエトワール家は皆で夕飯を食べることとなった。
いつもセイラが奇天烈な行動を起こすことが多いため騒がしいエトワール家の食卓だが今日は妙に静かであった。
そんな重い空気の中、食事も終盤へ近づいた頃に当主であるベルナールが口を開いた。
「セイラ。明日はついにデビュタント当日だね。
準備の方はきちんと進んでいるかな??」
「…ええ。ドレスや装飾品なども全てお母様とお姉様のチェックも入っておりますし大丈夫ですわ。」
セイラがどこか拗ねたような口調で答える。
そう、ドレスとはあの魔獣ドレスのことである。
ベルナールもセイラならやりかねないと思いながらも、まさかなと楽観していた。
そんなときにアリスとクロエからセイラが魔獣ドレスを作り上げたと聞き遠い目をしたものだ。
2人からチェックが入ったというが実際は一から布を仕入れ作り直すには時間が足りないため、見た目だけはまともなのもあり、仕方なくお許しが出ただけだが…。
装飾品に至っては、デビュタント用でなく個人的に作ったものと言いつつもクジャークの扇をこっそりと使うつもりだったらしい。
それは日の目を見ることなくアリスに没収されたのは記憶に新しい。
その代わりにとアリスとクロエに品の良い真珠のネックレスとピアス、ティアラ…そして白のレースの扇を仕立ててもらったがクジャークの扇を使う気満々だったセイラは未だに不満を隠せないらしい。
そんな気持ちが表情や口調に表れているセイラにベルナールは少し表情を引き攣らせながらも
「そうかい。それは良かった。
デビュタントと言えば白いドレスや装飾品にティアラが必須だからね。
セイラは白がとても似合うからきっと明日は誰よりも美しいだろうね。
楽しみだよ。」
とすぐさま笑顔を作りながら言った。
まさに紳士の鏡とも言える。
「それに、ルリとルカのシェイプアップもあれから毎日やらされていたおかげで腰やお腹周りのお肉が落ちてドレスのサイズも小さくなりましたわ。」
食堂の端に控えている2人に視線を送りながら、これまた皮肉めいた口調で告げるセイラ。
これに対する答えは意外にもベルナールでなくクロエであった。
「あら、そう言われてみれば一回りくらい小さくなった気がするわね??
最近のセイラはお肉が付いてきていて…このままでは子豚令嬢と名を流すのではと心配していたんですのよ??
危うくエトワール辺境伯家が魔獣を養女にしたと汚名を流すところでしたわ。
ルリとルカには感謝しなさいね??」
さすがセイラの姉だ。
セイラの皮肉よりも更に上を行く皮肉…もとい言葉の暴力でセイラを黙らせた。
セイラはクロエの言葉に大ダメージを受けたのか「うっ……」と言葉に詰まってシュンとしていた。
「セイラちゃんもクロエちゃんもいい加減になさい。
明日はセイラちゃんのデビュタントなのだから、そんなにブー垂れてるんじゃありません。
セイラちゃんは不満があるのかもしれないけれど今回はただのデビュタントではないことはお分かりよね??
セイラちゃんのお婿さん候補探しも兼ねているのよ??
もし、セイラちゃんがお婿さんを見つけられなければ修道院に入らなければいけないのよ。
そうすれば、お父様やお母様、クロエちゃんとは滅多にお会いすることもできなくなるわ。
セイラちゃんはそれでもいいのかしら??」
アリスもセイラがお婿さんが見つからずに一生独身を貫き、修道院に行かなければならないという最悪の状態を想像しているのか目に薄らと涙を溜めながらセイラを説得する。
そんなアリスに席を立ちソッとベルナールが寄り添う。
さすがにアリスのその様子にセイラも思うところがあるのか大人しく謝った。
「お母様…申し訳ありませんでした。
私の考えが甘かったです。
皆、私のためを思ってのことだということを理解しきれておりませんでした。
お父様、お母様、お姉様…そして、ルリ、ルカ…ありがとう。
皆の想いに報いるために私、明日は頑張って素敵なお婿さんを探してきますわ!!
ですので、お母様…安心なさってください。
セイラはきちんと成し遂げますわ!!」
そう言いながら叫ぶセイラに食堂にいた皆がクスッと笑った。
~おまけ~
食事後の姉妹での会話
「そういえば、セイラ。あなた素敵なお婿さんを見つけてくると息巻いておりましたけれど…どうなさるおつもり??」
「どう…とは??」
クロエの言葉にキョトンとした表情で返すセイラ。
「あなた恋愛経験全くありませんでしょう??
ただ、立っているだけでは素敵なお婿さんはゲットできませんのよ??」
「えっ…そうなのですか??
お婿さんとは魔獣のように飛び出てくるものではないのですか??」
クロエの言葉に驚きの声を上げるセイラ。
セイラのセリフの方が驚きだ。
クロエはやはりと言ったように目を細めた。
「仕方ありませんね。
セイラに素敵なお婿さんをゲットする方法をお教え致しますわ。
よろしいですか…それは……………」
真剣にクロエに教えを乞うセイラであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一気に話が進みましたが、次回からはいよいよデビュタント編になります!!
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