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数日後の昼休み。
遙は会社近くのカフェで、高校時代からの友人で同僚である翔と久しぶりに会って会社の愚痴を話していた。
「いやー、相変わらずだな。
お前って昔から真面目すぎんだよ。」
翔はケラケラ笑いながらハンバーグを頬張っている。
遙は苦笑しつつ、コーヒーを啜った。
「別に……普通だろ。」
「で、最近どうなん? 彼女できた?」
唐突な質問に、遙はむせそうになる。
「な、なんでそうなる!」
「いや、そういうのも話題のひとつだろ。
……でもなぁ、お前なんか雰囲気変わったよ。
落ち着いたっていうか、なんか……幸せそう?」
(っ……!)
心臓が跳ねる。
すぐに顔を逸らし、コーヒーを飲むふりをした。
夜。
仕事を終えて悠真の家にいくと出迎えてくれた。
「おかえり。どうした? 顔赤いぞ。」
「……別に。」
遙はカバンを下ろし、ソファに腰を下ろした。
悠真が隣に座り込み、覗き込む。
「誰かに何か言われた?」
「……お前と会ってから、俺、雰囲気変わったって。」
「へぇ。」
悠真は口元を緩め、嬉しそうに目を細める。
「じゃあ、もうバレるのも時間の問題だね。」
「ばっ……バレていいわけないだろ!」
慌てて声を上げる遙に、悠真は吹き出した。
「いいじゃん、別に。
“俺の恋人です”って堂々と言ってやるよ。」
「……っ! 言うな!!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る遙。
その反応があまりに可愛くて、悠真はソファに倒れ込みながら笑い続けた。
「……マジでバカだ、お前……」
呆れた声でそう呟きながらも、遙の胸は不思議と温かかった。
「“俺の恋人です”って言ってやるよ。」
悠真のからかう声が頭から離れなくて、遙はすっかり不機嫌だった。
ソファで背を向け、スマホを無言でいじっている。
「……おーい、まだ怒ってる?」
悠真が背後から覗き込む。
「怒ってねぇ。」
短く吐き捨てるような声。
「いや、完全に怒ってるじゃん。」
悠真は苦笑しながらも、楽しそうに遙の肩に顎を乗せた。
「やめろ!」
遙は勢いよく身を引き、クッションを抱えて距離を取った。
「……っつーか、からかうなよ。
……俺が本気にしてんの、わかんねぇのかよ。」
ぽつりと漏れた言葉に、悠真の表情が少しだけ真剣になる。
「……ごめん。」
短く謝り、悠真はゆっくりと遙の手からクッションを取り上げる。
「遙が可愛いから、つい。
本気で嫌がるとは思わなかった。」
「……嫌じゃねぇよ。」
遙は視線を逸らしたまま呟く。
「ただ……俺はまだ、慣れてねぇんだ。
からかわれると、余計どうしていいかわかんなくなる。」
その言葉に、悠真はふっと微笑んだ。
「じゃあ、慣れるまで待つよ。」
そう言って、ゆっくりと遙の頭を撫でる。
大きな手の温もりに、遙は観念したように目を閉じた。
「……ほんと、バカだな……」
口ではそう言いながらも、胸の奥は甘く温かく満たされていく。
「なぁ遙。」
悠真の声が耳元で響く。
「抱いていい?」
その言葉と同時に、強く抱きしめられた。
遙の心臓は、壊れそうなほど暴れていた。
あいにく明日は休みだった。
遙は会社近くのカフェで、高校時代からの友人で同僚である翔と久しぶりに会って会社の愚痴を話していた。
「いやー、相変わらずだな。
お前って昔から真面目すぎんだよ。」
翔はケラケラ笑いながらハンバーグを頬張っている。
遙は苦笑しつつ、コーヒーを啜った。
「別に……普通だろ。」
「で、最近どうなん? 彼女できた?」
唐突な質問に、遙はむせそうになる。
「な、なんでそうなる!」
「いや、そういうのも話題のひとつだろ。
……でもなぁ、お前なんか雰囲気変わったよ。
落ち着いたっていうか、なんか……幸せそう?」
(っ……!)
心臓が跳ねる。
すぐに顔を逸らし、コーヒーを飲むふりをした。
夜。
仕事を終えて悠真の家にいくと出迎えてくれた。
「おかえり。どうした? 顔赤いぞ。」
「……別に。」
遙はカバンを下ろし、ソファに腰を下ろした。
悠真が隣に座り込み、覗き込む。
「誰かに何か言われた?」
「……お前と会ってから、俺、雰囲気変わったって。」
「へぇ。」
悠真は口元を緩め、嬉しそうに目を細める。
「じゃあ、もうバレるのも時間の問題だね。」
「ばっ……バレていいわけないだろ!」
慌てて声を上げる遙に、悠真は吹き出した。
「いいじゃん、別に。
“俺の恋人です”って堂々と言ってやるよ。」
「……っ! 言うな!!!」
顔を真っ赤にして怒鳴る遙。
その反応があまりに可愛くて、悠真はソファに倒れ込みながら笑い続けた。
「……マジでバカだ、お前……」
呆れた声でそう呟きながらも、遙の胸は不思議と温かかった。
「“俺の恋人です”って言ってやるよ。」
悠真のからかう声が頭から離れなくて、遙はすっかり不機嫌だった。
ソファで背を向け、スマホを無言でいじっている。
「……おーい、まだ怒ってる?」
悠真が背後から覗き込む。
「怒ってねぇ。」
短く吐き捨てるような声。
「いや、完全に怒ってるじゃん。」
悠真は苦笑しながらも、楽しそうに遙の肩に顎を乗せた。
「やめろ!」
遙は勢いよく身を引き、クッションを抱えて距離を取った。
「……っつーか、からかうなよ。
……俺が本気にしてんの、わかんねぇのかよ。」
ぽつりと漏れた言葉に、悠真の表情が少しだけ真剣になる。
「……ごめん。」
短く謝り、悠真はゆっくりと遙の手からクッションを取り上げる。
「遙が可愛いから、つい。
本気で嫌がるとは思わなかった。」
「……嫌じゃねぇよ。」
遙は視線を逸らしたまま呟く。
「ただ……俺はまだ、慣れてねぇんだ。
からかわれると、余計どうしていいかわかんなくなる。」
その言葉に、悠真はふっと微笑んだ。
「じゃあ、慣れるまで待つよ。」
そう言って、ゆっくりと遙の頭を撫でる。
大きな手の温もりに、遙は観念したように目を閉じた。
「……ほんと、バカだな……」
口ではそう言いながらも、胸の奥は甘く温かく満たされていく。
「なぁ遙。」
悠真の声が耳元で響く。
「抱いていい?」
その言葉と同時に、強く抱きしめられた。
遙の心臓は、壊れそうなほど暴れていた。
あいにく明日は休みだった。
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