この花言葉を君に

silverchaff

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本編

170㎝のチャラ男7

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「いや~今日は夏みたいに暑いよねぇ! 異常気象ってヤツぅ?! ヤバくない? 急いで家から夏服引っ張り出してきちゃったよ~! 集会に間に合わないかとヒヤヒヤしたよマジでぇ~」

 健人との朝ルーティンを終えた5時間後……。

 集会所に派手なアロハシャツと白い綿のハーフパンツ、おまけに素足にアロハと同色の派手色サマーシューズを履いたド派手スタイルで、穂高純仁という男は夕紀達経営者メンバーの前に現れた。

「…………!」
「…………!!」

 たまたま早めの時間帯に集会所へ足を踏み入れたのが良くなかったのだろうか。夕紀と健人は集まりの最前列に立つ事となり、耕太郎の手伝いをしていたらしい純仁とは1メートルもない距離で対峙している。

(ちょっと!! なんなのよ、このド派手アロハ男はっ!!!!)

 昨日みたいにスーツ姿で居てくれれば良かったのに、よりにもよって南国でバカンスしているかのような格好になっているので脳内整理が追いつかない。

「あれぇ~? どうしたの健人けんとぉ! 珍しく怖い表情かおしちゃってさぁ~」
「……」

 5時間前夕紀に「ジュンくんはチャラ男じゃない」と熱弁した手前、健人は目の前でヘラヘラと笑いながら軽快な口調で話しかけている純仁を信じられないような目つきで睨んでおり

「あ~♡ 遠野さん昨日ぶりぃ~♪ 今日もお仕事お疲れ様ぁ♡」
「……」

 夕紀もやはり表情を強張らせている。

(っていうか、私にだけ声甘くない? キモいんだけど!)

 何より、自分にだけハートマークがついていそうな口調で話し掛けてくる純仁の態度が信じられない。
 純仁は元々地声のトーンが比較的高く興奮すると大きくなる性質がある故に声が遠くまで響きやすい。ハイテンションハイトーンボイスで絡まれたら昨日以上に注目を浴びてしまうのだ。

(ちょっとちょっと! マジでやめてよ!!)

 夕紀としてはこれ以上ウザ絡みしてほしくないし、サッサと耕太郎の手伝いに戻って本題に入ってほしいのだが、リーダーの耕太郎は「ジュン坊が帰ってきてくれて本当に良かったなぁ」と呟きながらウンウン頷いているだけで彼を止めようとしない。

(なんでこんな時に限って耕太郎さんが機能してないの?!)

 いつもなら定刻通りに進まないとすぐに機嫌を悪くするというのに、耕太郎は他の長老達と「あのジュン坊が清さんの為に戻ってきてくれてワシらの手伝いしてくれるとは」「あんなに小さかったジュン坊が立派になったもんだ」と無駄話をし始めてしまっていて収拾がつかない。

「ああっ! 遠野さん昨日つけてたピンクのハートちゃんが無いけどどうしたの~? あれ、すっごく可愛くって遠野さんにめちゃくちゃ似合ってるなーって思ってたんだ! もしかして無くしちゃったとか? もしそうなら俺が遠野さんのお耳の寂しさを埋めてあげよっか~? なーんてねっ♪」

 あろう事か純仁は、夕紀が昨日まで身に付けていたピアスの存在をめざとく見つけており、今日それがない事を大声で指摘し始めた。

「!!!!」

 普段ボブヘアで耳が隠れているのだから、ピンク色のピアスを付けていたのを知らないメンバーの方が多く「何もここでバラさなくたっていいのに!」と文句を言いたい気持ちになって、反射的に手で両耳を覆い隠した。

「っていうか可愛いお耳を手で隠さないでよ~♡ ピアス無い遠野さんの可愛いすっぴんお耳も可愛いんだし、愛でさせてよ~♡ ねー、いいでしょいいでしょ?」

 ド派手アロハ男は似合わない「お願いポーズ」と甘え声を出して夕紀へ更に近付いた。

「ちょっ……嫌よ」

 アロハ男に迫られても夕紀は手を解放する気はないし、声のデカさでまた周囲がざわめき始めた。

(やっぱりムカつく! このチャラ男ぉぉぉ!!)

 早く終わってほしい集会がこの日も長引いてしまい、結局「穂高純仁はチャラ男でムカつく」という考えに至る。
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