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本編
165㎝の夕紀5
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[健人からそのエピソード聞いたらさ、昔を思い出したんだ。「遠野さんは会社に居た頃から謙虚で、物持ちが良くて備品一つ一つを無駄なく大事に使う人だったなぁ」って。
7年経ってメイクするようになって服装もオシャレな感じになってピアスを嵌める綺麗なお姉さんになっても、そういうところは変わってなかったんだなぁって、嬉しくなったんだ]
「……」
[昔から大好きだった、遠野さんのイメージそのまま]
「……」
[嬉しかった。やっぱり、好きになって良かったって思った]
メッセージアプリを開いたままなので、純仁側には既読マークが表示されているのだろう。夕紀が何も返信していないのに、彼は勝手にどんどんとメッセージを連投している。
[俺ね、純粋な気持ちで、遠野さんにはオシャレなお姉さんで居てもらいたいなって昨日思ったんだよ。同時に「一つのものを大事にするのは妹さんのピアスで充分に感じてるんだろうな」って遠野さんの気持ちを想像してみた]
「……」
[きっと遠野さんは、俺が高価なブランドの装飾品をプレゼントしても喜んでくれないだろうなって、今も想像してる。
だから敢えてね、そういうのじゃないものを選んでみたんだ。オシャレな遠野さんには、もっと自由にオシャレを楽しんでもらいたいなって純粋に思ってる]
「……」
[俺の今日のイヤリングはね、きっかけになって欲しいって思ってる。この先遠野さんが、もっともっと自由にオシャレを楽しむ人であってほしいから]
「……」
[寧ろ、俺のイヤリングは一回付けただけで棄ててもらいたいとまで思ってる]
「……」
[遠野さんのファーストキスと初体験の相手が俺で、それからどちらも2回目の人が現れてないというのは嬉しい気持ちもあるけど、申し訳ない気持ちもあるから]
「……」
[遠野さんはね、朝香ちゃんとは別の……もっとプライベートなパートナーを作った方がいいんじゃないかと思うんだ。恋愛対象者。]
[これは俺の勝手な意見であって遠野さんに押し付けるのは良くないとも思っているよ]
[だけどね、遠野さんには誰かがそばに居た方が、もっと素敵なんじゃないかなって……そう強く思う]
[恋愛対象者が俺になれば良いなぁなんて夢も、ちょっとはあるよ?]
[だって遠野さん、昔から変わらず美人さんだから。心も綺麗で責任感があって仕事してる姿もかっこよくて……それから、今も5センチくらいのヒールの靴を履いてて「もしかして170㎝になりたいのかなぁ」って思ってしまうくらい可愛らしい人だと思っているから]
「…………なんで」
今日のメッセージは、夕紀の感情を大きく揺さぶっている。
「なんでこの人は……今でも間接的に……愛の告白をしてくるのよ……」
そういえば彼は、昔から夕紀に明るく話しかけてくるような優しい人物であった。
「私は7年前……酷いフリ方をしたのに。自分の恋も、廃棄したっていうのに」
夕紀の胸がチクリと痛む。
(もしかして……私の心の奥底には)
思ってはいけないと……蓋をした気持ちが中から溢れ出しそうになる。
(7年前に棄てた筈なのに)
(棄てきれなかったものが、まだ残っていたというの……?)
それが少しずつ膨らみ……パァンと弾けて、中からクラッカーのような楽しい紙吹雪が体内を彩っていくような感覚がする。
[直接喋っているわけじゃないのに、遠回しな伝え方ばかりしてごめん。
俺ね、7年前のあの時「遠野さんにフラれた」って感覚が全くないの。ただただ、キスをしてホテルのおっきなベッドで遠野さんを抱き締めて「大好き」って気持ちを伝えて……それがすごく幸せだったんだ。居なくなるって分かってたのに、次の日から遠野さんが来なかった事が……それだけが悲しかったっていうだけ。
だからね、俺はね、ずーっと遠野さんに恋をしたままでいるの。
きっと理由は違うんだろうけど、5㎝のヒールを履いて俺と同じ背になっているかっこよくて可愛い遠野さんに今でもキュンってしてる]
「っ……」
スマホ画面に、直径1センチの水玉が落ちた。と気付いた次の瞬間から……
[俺は今でも、遠野夕紀さんが大好き]
「……っ、ぅ」
止めどなく夕紀の両目から涙が落ちていき、画面が見えなくなってしまった。
7年経ってメイクするようになって服装もオシャレな感じになってピアスを嵌める綺麗なお姉さんになっても、そういうところは変わってなかったんだなぁって、嬉しくなったんだ]
「……」
[昔から大好きだった、遠野さんのイメージそのまま]
「……」
[嬉しかった。やっぱり、好きになって良かったって思った]
メッセージアプリを開いたままなので、純仁側には既読マークが表示されているのだろう。夕紀が何も返信していないのに、彼は勝手にどんどんとメッセージを連投している。
[俺ね、純粋な気持ちで、遠野さんにはオシャレなお姉さんで居てもらいたいなって昨日思ったんだよ。同時に「一つのものを大事にするのは妹さんのピアスで充分に感じてるんだろうな」って遠野さんの気持ちを想像してみた]
「……」
[きっと遠野さんは、俺が高価なブランドの装飾品をプレゼントしても喜んでくれないだろうなって、今も想像してる。
だから敢えてね、そういうのじゃないものを選んでみたんだ。オシャレな遠野さんには、もっと自由にオシャレを楽しんでもらいたいなって純粋に思ってる]
「……」
[俺の今日のイヤリングはね、きっかけになって欲しいって思ってる。この先遠野さんが、もっともっと自由にオシャレを楽しむ人であってほしいから]
「……」
[寧ろ、俺のイヤリングは一回付けただけで棄ててもらいたいとまで思ってる]
「……」
[遠野さんのファーストキスと初体験の相手が俺で、それからどちらも2回目の人が現れてないというのは嬉しい気持ちもあるけど、申し訳ない気持ちもあるから]
「……」
[遠野さんはね、朝香ちゃんとは別の……もっとプライベートなパートナーを作った方がいいんじゃないかと思うんだ。恋愛対象者。]
[これは俺の勝手な意見であって遠野さんに押し付けるのは良くないとも思っているよ]
[だけどね、遠野さんには誰かがそばに居た方が、もっと素敵なんじゃないかなって……そう強く思う]
[恋愛対象者が俺になれば良いなぁなんて夢も、ちょっとはあるよ?]
[だって遠野さん、昔から変わらず美人さんだから。心も綺麗で責任感があって仕事してる姿もかっこよくて……それから、今も5センチくらいのヒールの靴を履いてて「もしかして170㎝になりたいのかなぁ」って思ってしまうくらい可愛らしい人だと思っているから]
「…………なんで」
今日のメッセージは、夕紀の感情を大きく揺さぶっている。
「なんでこの人は……今でも間接的に……愛の告白をしてくるのよ……」
そういえば彼は、昔から夕紀に明るく話しかけてくるような優しい人物であった。
「私は7年前……酷いフリ方をしたのに。自分の恋も、廃棄したっていうのに」
夕紀の胸がチクリと痛む。
(もしかして……私の心の奥底には)
思ってはいけないと……蓋をした気持ちが中から溢れ出しそうになる。
(7年前に棄てた筈なのに)
(棄てきれなかったものが、まだ残っていたというの……?)
それが少しずつ膨らみ……パァンと弾けて、中からクラッカーのような楽しい紙吹雪が体内を彩っていくような感覚がする。
[直接喋っているわけじゃないのに、遠回しな伝え方ばかりしてごめん。
俺ね、7年前のあの時「遠野さんにフラれた」って感覚が全くないの。ただただ、キスをしてホテルのおっきなベッドで遠野さんを抱き締めて「大好き」って気持ちを伝えて……それがすごく幸せだったんだ。居なくなるって分かってたのに、次の日から遠野さんが来なかった事が……それだけが悲しかったっていうだけ。
だからね、俺はね、ずーっと遠野さんに恋をしたままでいるの。
きっと理由は違うんだろうけど、5㎝のヒールを履いて俺と同じ背になっているかっこよくて可愛い遠野さんに今でもキュンってしてる]
「っ……」
スマホ画面に、直径1センチの水玉が落ちた。と気付いた次の瞬間から……
[俺は今でも、遠野夕紀さんが大好き]
「……っ、ぅ」
止めどなく夕紀の両目から涙が落ちていき、画面が見えなくなってしまった。
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