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番外編
落ち葉降る1
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「今度の休みにさ、電車に乗って紅葉見に行かない?」
「紅葉?」
秋深まる11月下旬。
亮輔から外デートの誘いを受けたのだが、デートプランの意外さに朝香は首を傾げる。
「紅葉……そっか、もうモミジが紅いんだね。もうそんな時期なのかぁ」
朝晩は寒いのに昼間はポカポカとして、寒暖差の激しさを肌で感じる。落葉樹の色づきにはもってこいの時期だ。
「今がちょうど見頃らしいよ。イチョウ並木なんて木だけじゃなくて地面も真っ黄色でとても綺麗みたいでさ。
朝から歩き回ると疲れるだろうから昼間はゆっくり映画を観て、夕方から紅葉のお散歩ってどうかな? ライトアップされているモミジも綺麗だし、街灯に照らされたイチョウの木からはらはら葉が落ちるのを見るのも綺麗だと思うんだ」
「電車に乗って映画とイチョウ並木のお散歩かぁ……確かに良いかも♪」
大好きな彼から提案されたプランは新鮮味があって朝香の気分は上がっていく。
「あーちゃんもそう思う? この前の山口帰省で秋服もだいぶ増えたし外でいっぱい見てみたいなぁなんて……」
「それってストレートな意味で『私の秋服が見たい』って話?」
外デートのお誘いは嬉しいしデートプランも素敵だと思ったのだが、ニコニコ顔の亮輔から発せられた「秋服」のワードに朝香はハッとしその真意に気付いてしまう。
「……っ」
途端に亮輔の目線が逸れたので朝香の予想は間違っていないのだろう。
「やっぱり! 気まずそうなリアクション取ってるし! 新しく買ったミニスカートを私が穿かずに部屋にかけたまんまにしてるから気になって仕方ないんでしょっ?!」
山口帰省の本来の目的は振袖写真撮影だったのだが、朝香は高校時代の女友達と買い物を楽しみで服を買っていたのだ。
友達に「似合う似合う」って持ち上げられてテンション上がった朝香はノリで手で持ち帰れないほど服や小物を大量買いし、後日こちらへ届くよう段ボールに詰めて宅配便で送る羽目となった。購入品のほとんどは満足しているのだが、ただ1点ミニ丈プリーツスカートだけは恥ずかしくて穿けず部屋のオブジェになりつつある。
亮輔は普段朝香の部屋へ勝手に入る事はないのだが……日常生活を送っているうち部屋の扉の隙間から中の様子が見えてしまうなんて多々あるだろう。
「だって……ミニスカートが見えたんだもん。あれっていつ穿くかなぁとかさぁ……気になるのは仕方ないでしょ」
亮輔は頬を膨らませ、いじけたような口調でそう言い返した。
(やっぱり! りょーくんのエッチ!!)
故意ではなく、視界に入ったからこそ亮輔は期待しているのであろう……が、持ち主の朝香にとってそれはスケベ行為だと思わざるを得ない。何故ならあのスカートを帰宅後に試着して大後悔したからだ。
「だってあのスカート、すっごく丈が短いんだよ? なのに『流行りコーデだから』ってショートブーツしか買ってなくて。ロングブーツも買えば良かったってめちゃくちゃ後悔してるのっ! 今持ってるものだと脚が丸出しになっちゃうからロングブーツを買うまでは穿かないつもりなのっ!!」
(「ショッピング中のテンションやノリってこわい」って実感したんだよぅ。ムチムチの身体じゃあのスカートは公開処刑になっちゃうんだよぅ)
赤面しながら抗議したのだが
「ブーツはあのショートブーツでも良いんじゃない? あーちゃんは脚のムッチリ感を気にしてるみたいだけど、俺はあーちゃんの脚キレイだと思ってるよ」
亮輔はあっけらかんとしていてこちらの意を汲んでくれない。
「太いもんっ! 夕紀さんやミドリさんに比べたらめちゃくちゃ太いもんっ!!」
「比較対象が歳上のお姉さん達じゃダメでしょ。あーちゃんは若くて可愛いんだから脚をドンドン見せてさぁ、もっともっと大勢の女性の脚と比較しなきゃ♪」
「その発言変態っぽいよ~!」
「え~、フツーだよ。これくらいで変態扱いされたら世の中の人みんな露出狂の変態だらけになっちゃう」
「変態だもんっ! 私がその露出狂の変態になっちゃうんだもん! それはイヤなのっ」
流行りとはいえ足首から膝上20㎝の太腿まで丸出しというのは朝香も経験がなくかなり恥ずかしい。彼氏とはいえ、それを外出先で見たいだなんて変態発言としか思えないのだ。
「今度の休みにさ、電車に乗って紅葉見に行かない?」
「紅葉?」
秋深まる11月下旬。
亮輔から外デートの誘いを受けたのだが、デートプランの意外さに朝香は首を傾げる。
「紅葉……そっか、もうモミジが紅いんだね。もうそんな時期なのかぁ」
朝晩は寒いのに昼間はポカポカとして、寒暖差の激しさを肌で感じる。落葉樹の色づきにはもってこいの時期だ。
「今がちょうど見頃らしいよ。イチョウ並木なんて木だけじゃなくて地面も真っ黄色でとても綺麗みたいでさ。
朝から歩き回ると疲れるだろうから昼間はゆっくり映画を観て、夕方から紅葉のお散歩ってどうかな? ライトアップされているモミジも綺麗だし、街灯に照らされたイチョウの木からはらはら葉が落ちるのを見るのも綺麗だと思うんだ」
「電車に乗って映画とイチョウ並木のお散歩かぁ……確かに良いかも♪」
大好きな彼から提案されたプランは新鮮味があって朝香の気分は上がっていく。
「あーちゃんもそう思う? この前の山口帰省で秋服もだいぶ増えたし外でいっぱい見てみたいなぁなんて……」
「それってストレートな意味で『私の秋服が見たい』って話?」
外デートのお誘いは嬉しいしデートプランも素敵だと思ったのだが、ニコニコ顔の亮輔から発せられた「秋服」のワードに朝香はハッとしその真意に気付いてしまう。
「……っ」
途端に亮輔の目線が逸れたので朝香の予想は間違っていないのだろう。
「やっぱり! 気まずそうなリアクション取ってるし! 新しく買ったミニスカートを私が穿かずに部屋にかけたまんまにしてるから気になって仕方ないんでしょっ?!」
山口帰省の本来の目的は振袖写真撮影だったのだが、朝香は高校時代の女友達と買い物を楽しみで服を買っていたのだ。
友達に「似合う似合う」って持ち上げられてテンション上がった朝香はノリで手で持ち帰れないほど服や小物を大量買いし、後日こちらへ届くよう段ボールに詰めて宅配便で送る羽目となった。購入品のほとんどは満足しているのだが、ただ1点ミニ丈プリーツスカートだけは恥ずかしくて穿けず部屋のオブジェになりつつある。
亮輔は普段朝香の部屋へ勝手に入る事はないのだが……日常生活を送っているうち部屋の扉の隙間から中の様子が見えてしまうなんて多々あるだろう。
「だって……ミニスカートが見えたんだもん。あれっていつ穿くかなぁとかさぁ……気になるのは仕方ないでしょ」
亮輔は頬を膨らませ、いじけたような口調でそう言い返した。
(やっぱり! りょーくんのエッチ!!)
故意ではなく、視界に入ったからこそ亮輔は期待しているのであろう……が、持ち主の朝香にとってそれはスケベ行為だと思わざるを得ない。何故ならあのスカートを帰宅後に試着して大後悔したからだ。
「だってあのスカート、すっごく丈が短いんだよ? なのに『流行りコーデだから』ってショートブーツしか買ってなくて。ロングブーツも買えば良かったってめちゃくちゃ後悔してるのっ! 今持ってるものだと脚が丸出しになっちゃうからロングブーツを買うまでは穿かないつもりなのっ!!」
(「ショッピング中のテンションやノリってこわい」って実感したんだよぅ。ムチムチの身体じゃあのスカートは公開処刑になっちゃうんだよぅ)
赤面しながら抗議したのだが
「ブーツはあのショートブーツでも良いんじゃない? あーちゃんは脚のムッチリ感を気にしてるみたいだけど、俺はあーちゃんの脚キレイだと思ってるよ」
亮輔はあっけらかんとしていてこちらの意を汲んでくれない。
「太いもんっ! 夕紀さんやミドリさんに比べたらめちゃくちゃ太いもんっ!!」
「比較対象が歳上のお姉さん達じゃダメでしょ。あーちゃんは若くて可愛いんだから脚をドンドン見せてさぁ、もっともっと大勢の女性の脚と比較しなきゃ♪」
「その発言変態っぽいよ~!」
「え~、フツーだよ。これくらいで変態扱いされたら世の中の人みんな露出狂の変態だらけになっちゃう」
「変態だもんっ! 私がその露出狂の変態になっちゃうんだもん! それはイヤなのっ」
流行りとはいえ足首から膝上20㎝の太腿まで丸出しというのは朝香も経験がなくかなり恥ずかしい。彼氏とはいえ、それを外出先で見たいだなんて変態発言としか思えないのだ。
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