【R18本編完結&番外編更新中】この雨が上がったら一緒にコーヒーを飲みませんか?

silverchaff

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本編

雨上がりの女神2

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⭐︎  ⭐︎  ⭐︎


「私ね、雨上がりの空が好きなの」

 6年前の9月。
 開口一番に彼女は言った。




 あなたを本気で好きになってしまった、次の年の5月。
 
「あのね、この連休にお姉ちゃんの修行先へ行ってみたんだけどね。
 ……そこで、きみと同い年の女の子から『雨上がりの女神さん』って呼ばれちゃったの」

 俺への土産を手渡しながら、その話を聞いて……


 ものすごく……ものすごく、嫉妬した。






「全然、そんなじゃないのにね」———これは、一体どちらが漏らしたつぶやきだっただろうか。




 俺はあなたを「雨上がりの女神さん」だなんて、呼びたくないよ。

 だって俺はその時既に……雨が上がってほしくないって、強く強く望んでいたんだから。



 雨が上がれば、あなたは俺の手を離してしまう。
 雨があるから、俺はあなたを守っていける。
 ガキだった俺は毎日、そう思ってあなたを見つめ続けていた。




 あともう少し生きたら、20歳になる。
 あなたの身長は、とうに超えた。


 この雨の中、俺はどうすればいい?

 あなたの年齢になるまで、雨に打たれていればいい?



 雨粒は冷たい。

 あなたの肌も、同じくらい冷たかった。

 だから、今でも恨めしくなる。

 雨が止んだその瞬間が。

 その先には……何もないと思ってしまうから。





 また、5月がやってくる。

 
《きみには未来があるの》
《私ではない誰かを、絶対に絶対に好きになって》
《幸せになってね》


 俺はいつ、あなたの望みを叶えられるのだろうか?


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