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本編
★初デート4
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*
向日葵さんのおかげで沢山の夏服や小物を選ぶ事が出来た。
ミュールサンダルやツバの大きな帽子は今まで身に付けた事がなく向日葵さんの見立てで選んでもらったからこれから着用するのが楽しみだ。
(向日葵さんと一緒にお店回るのも楽しかったけど、1人でコッソリ買うのも結構良かったなぁ♪)
向日葵さんが自分の靴を見に行っている隙にハーフカップブラのセクシーなランジェリーや向日葵さんがいつだったかか「こういうの似合いそう」と言っていた猫を模したルームウェアを買いに行った。
(部屋着姿や下着姿なんてまだまだ見せられないけど……でもやっぱりテンション上がっちゃうもん)
別に向日葵さんとの今後を期待しているという程でもない。彼が出来ないのなら無理強いしたくないしそもそも朝香には積極的に迫るなどの勇気も出ない。2人の仲はじっくりゆっくりと育んでいけばいいと考えている。
(向日葵さんに内緒で可愛い下着着けて、普通に接するだけでもいいの♡ オシャレは内側からもしておかなくっちゃ!)
今はアパートに帰宅して自分の部屋に荷下ろししたばかり。向日葵さんは「借りていた車を返しに行く」と言ってコンビニへと出たところだ。車はそのままコンビニ駐車場に置いておき、兄が代わりに置いたという彼のバイクに乗ってこちらまで戻ってくるらしい。
(兄弟間の貸し借りってなんかいいなぁ)
朝香は一人っ子なのでそういう事を気軽にし合える向日葵を羨ましく思う。
(私にお姉ちゃんか妹がいたら貸し借りするのかな? あー、でも夕紀さんは妹の皐月さんとそういうのした事ないって言ってたっけ)
4年前の2月に事故死した夕紀の妹 皐月は、姉よりも背が高くまたファッションの趣味も違っていたのだという。朝香は皐月が亡くなる半年近く前に実際会った経験があるので「貸し借りしない姉妹もやはり居るのだ」と思い起こしながら、買ったばかりの服に体を通してみた。
「あ♡ いい感じ!」
爽やかなボタニカル柄のノースリーブワンピースは向日葵さんチョイスの逸品で朝香の素肌の色味と調和しており一緒に購入したバッグやアクセサリーと合わせたら今までの自分じゃないと錯覚してしまうくらいオシャレな女性に見える。
「やっぱり向日葵さんのセンスってすごいなぁ~私じゃ選べないもん」
時間給とはいえ朝香はしっかりと働いているので貯金はある。大半は自分で支払ったのだが、このワンピースとバッグとネックレスとサンダルは向日葵さんからプレゼントしてもらった。
「えへへ♡ せっかくだからバイク乗って戻ってきた向日葵さんに見せちゃお♡」
この4点セットは店の試着室で彼にお披露目したのだが、やはりもう一度着てじっくりと見てもらう方が彼も喜ぶに違いない———そう思った朝香は外階段を降りて向日葵さんが帰宅するのを103玄関扉の前で待つ事にした。
時刻は既に夜8時を回っており、外は真っ暗だ。帰路が混んでいたので2人とも夕食を食べ損ねており「俺の部屋でコンビニ弁当食べようか」と事前に話し合っている。
「早く帰って来ないかな~♪ あ! 帰って来た帰って来た♪」
暗がりの中に眩く光るフロントライト。それがアパートの駐輪場でエンジン音と共に消灯されたのだから、逆に彼でない筈がない。
「向日葵さんおかえりなさーい」
ニコニコ顔で朝香が手を振り向日葵さんを呼び寄せると
「あっ! あのワンピースだ!」
ヘルメットを外した向日葵さんが目の前に立ち、目を細めて微笑んでくれる。
「せっかくだから着てみちゃった♡ 似合う?」
試着室で一度見せた癖に、朝香はまた彼に感想を求めた。
「うん……」
さっきは笑ってくれていたのに、鍵を開ける向日葵さんの表情は何故か浮かない。
(あれ? 向日葵さんの顔が私と近い?)
嬉しくなかったのだろうか? 今の向日葵さんは少し辛そうな表情になっているし、いつもよりも背中を丸めて屈んでいるようにも感じる。
「中、入って」
ガチャリと扉を開きながら、向日葵さんは朝香の背中に手を置いて軽くポンッと押してきた。
「わ!」
慣れないサンダルなのもあり、朝香は前に倒れバランスを崩してしまう。
「っ……と、あぶない」
朝香の身体は向日葵さんの両腕に支えられ、転倒を防げたのだが
「っ!!」
次の瞬間、朝香に緊張が走る。
(えっ?)
玄関の中に入った直後、朝香は扉の内側を背にして立たされたのである。
(これってもしかして……)
恋愛小説で時々見掛ける、壁ドンのポーズ。
朝香と向日葵さんは今まさにその体勢になっているのだ。
(えっ、嘘……リアルでもあるんだ!)
リアル世界で経験した壁ドンにただただ驚くしか出来ないでいる朝香に対して向日葵さんは
「っはぁ……はぁ」
荒い呼吸を朝香の耳にたっぷりと振りかけている。
(吐息すごい! めっちゃ近い!!)
実際の壁ドンはこんなにもハァハァ音が聞こえるらしい。そして体と体の距離が近過ぎる。
(向日葵さんのハァハァがやばい……いつものハグとは段違い!)
吐息音が半端ないので朝香の胸のドキドキもそれに呼応し、体温の上昇もハッキリと感じられる。
「ぁ……」
すると向日葵さんは、吐息の他に小さな声を漏らした。
「んっ」
瞬間的に朝香が両目をギュッと閉じる。
今から何が起こるか見当つかない中での、ささやかな防衛反応であったのだが
「!!!!」
ワンピースの裾をたくし上げられ、脚と脚の間に彼の片脚が挿入されたところで
「 」
朝香の頭はショートする。
(えっ……何?)
下腹部に硬いものが当たっている。
「っはぁ……あーちゃ」
吐息混じりの、潤んだ声が鼓膜を震わせる。
「かわいい……」
褒められている筈の声が、いつもよりも幾分大人びていて……
「おれ……のっ……もの、に、したい」
苦し紛れに途切れる声がなんともセクシャルで
「あ」
閉じていた瞼の筋肉は弛緩し、口元も弛んでポッカリと開いていき
「あぁぁ♡」
自分の口から出たとは思えないくらいセクシャルな吐息と声が出た。
「あーちゃん……すき」
吐息のハァハァの中に彼は好意を朝香に伝え
「んぁ」
やわらかな唇が朝香の左頬に押し当てられたと思ったら今度は
「あぁ……あぁ♡」
左耳にヌルッとした感触のものが這っていく。
向日葵さんのおかげで沢山の夏服や小物を選ぶ事が出来た。
ミュールサンダルやツバの大きな帽子は今まで身に付けた事がなく向日葵さんの見立てで選んでもらったからこれから着用するのが楽しみだ。
(向日葵さんと一緒にお店回るのも楽しかったけど、1人でコッソリ買うのも結構良かったなぁ♪)
向日葵さんが自分の靴を見に行っている隙にハーフカップブラのセクシーなランジェリーや向日葵さんがいつだったかか「こういうの似合いそう」と言っていた猫を模したルームウェアを買いに行った。
(部屋着姿や下着姿なんてまだまだ見せられないけど……でもやっぱりテンション上がっちゃうもん)
別に向日葵さんとの今後を期待しているという程でもない。彼が出来ないのなら無理強いしたくないしそもそも朝香には積極的に迫るなどの勇気も出ない。2人の仲はじっくりゆっくりと育んでいけばいいと考えている。
(向日葵さんに内緒で可愛い下着着けて、普通に接するだけでもいいの♡ オシャレは内側からもしておかなくっちゃ!)
今はアパートに帰宅して自分の部屋に荷下ろししたばかり。向日葵さんは「借りていた車を返しに行く」と言ってコンビニへと出たところだ。車はそのままコンビニ駐車場に置いておき、兄が代わりに置いたという彼のバイクに乗ってこちらまで戻ってくるらしい。
(兄弟間の貸し借りってなんかいいなぁ)
朝香は一人っ子なのでそういう事を気軽にし合える向日葵を羨ましく思う。
(私にお姉ちゃんか妹がいたら貸し借りするのかな? あー、でも夕紀さんは妹の皐月さんとそういうのした事ないって言ってたっけ)
4年前の2月に事故死した夕紀の妹 皐月は、姉よりも背が高くまたファッションの趣味も違っていたのだという。朝香は皐月が亡くなる半年近く前に実際会った経験があるので「貸し借りしない姉妹もやはり居るのだ」と思い起こしながら、買ったばかりの服に体を通してみた。
「あ♡ いい感じ!」
爽やかなボタニカル柄のノースリーブワンピースは向日葵さんチョイスの逸品で朝香の素肌の色味と調和しており一緒に購入したバッグやアクセサリーと合わせたら今までの自分じゃないと錯覚してしまうくらいオシャレな女性に見える。
「やっぱり向日葵さんのセンスってすごいなぁ~私じゃ選べないもん」
時間給とはいえ朝香はしっかりと働いているので貯金はある。大半は自分で支払ったのだが、このワンピースとバッグとネックレスとサンダルは向日葵さんからプレゼントしてもらった。
「えへへ♡ せっかくだからバイク乗って戻ってきた向日葵さんに見せちゃお♡」
この4点セットは店の試着室で彼にお披露目したのだが、やはりもう一度着てじっくりと見てもらう方が彼も喜ぶに違いない———そう思った朝香は外階段を降りて向日葵さんが帰宅するのを103玄関扉の前で待つ事にした。
時刻は既に夜8時を回っており、外は真っ暗だ。帰路が混んでいたので2人とも夕食を食べ損ねており「俺の部屋でコンビニ弁当食べようか」と事前に話し合っている。
「早く帰って来ないかな~♪ あ! 帰って来た帰って来た♪」
暗がりの中に眩く光るフロントライト。それがアパートの駐輪場でエンジン音と共に消灯されたのだから、逆に彼でない筈がない。
「向日葵さんおかえりなさーい」
ニコニコ顔で朝香が手を振り向日葵さんを呼び寄せると
「あっ! あのワンピースだ!」
ヘルメットを外した向日葵さんが目の前に立ち、目を細めて微笑んでくれる。
「せっかくだから着てみちゃった♡ 似合う?」
試着室で一度見せた癖に、朝香はまた彼に感想を求めた。
「うん……」
さっきは笑ってくれていたのに、鍵を開ける向日葵さんの表情は何故か浮かない。
(あれ? 向日葵さんの顔が私と近い?)
嬉しくなかったのだろうか? 今の向日葵さんは少し辛そうな表情になっているし、いつもよりも背中を丸めて屈んでいるようにも感じる。
「中、入って」
ガチャリと扉を開きながら、向日葵さんは朝香の背中に手を置いて軽くポンッと押してきた。
「わ!」
慣れないサンダルなのもあり、朝香は前に倒れバランスを崩してしまう。
「っ……と、あぶない」
朝香の身体は向日葵さんの両腕に支えられ、転倒を防げたのだが
「っ!!」
次の瞬間、朝香に緊張が走る。
(えっ?)
玄関の中に入った直後、朝香は扉の内側を背にして立たされたのである。
(これってもしかして……)
恋愛小説で時々見掛ける、壁ドンのポーズ。
朝香と向日葵さんは今まさにその体勢になっているのだ。
(えっ、嘘……リアルでもあるんだ!)
リアル世界で経験した壁ドンにただただ驚くしか出来ないでいる朝香に対して向日葵さんは
「っはぁ……はぁ」
荒い呼吸を朝香の耳にたっぷりと振りかけている。
(吐息すごい! めっちゃ近い!!)
実際の壁ドンはこんなにもハァハァ音が聞こえるらしい。そして体と体の距離が近過ぎる。
(向日葵さんのハァハァがやばい……いつものハグとは段違い!)
吐息音が半端ないので朝香の胸のドキドキもそれに呼応し、体温の上昇もハッキリと感じられる。
「ぁ……」
すると向日葵さんは、吐息の他に小さな声を漏らした。
「んっ」
瞬間的に朝香が両目をギュッと閉じる。
今から何が起こるか見当つかない中での、ささやかな防衛反応であったのだが
「!!!!」
ワンピースの裾をたくし上げられ、脚と脚の間に彼の片脚が挿入されたところで
「 」
朝香の頭はショートする。
(えっ……何?)
下腹部に硬いものが当たっている。
「っはぁ……あーちゃ」
吐息混じりの、潤んだ声が鼓膜を震わせる。
「かわいい……」
褒められている筈の声が、いつもよりも幾分大人びていて……
「おれ……のっ……もの、に、したい」
苦し紛れに途切れる声がなんともセクシャルで
「あ」
閉じていた瞼の筋肉は弛緩し、口元も弛んでポッカリと開いていき
「あぁぁ♡」
自分の口から出たとは思えないくらいセクシャルな吐息と声が出た。
「あーちゃん……すき」
吐息のハァハァの中に彼は好意を朝香に伝え
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やわらかな唇が朝香の左頬に押し当てられたと思ったら今度は
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左耳にヌルッとした感触のものが這っていく。
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